「老猫ホーム」が必要になるかもしれない
みなさん、「老猫ホーム」をご存知でしょうか?
もしあなたに万が一の事態が起こったとき、飼っている猫の面倒を見てくれる人はいますか?
考えたくないかもしれませんが、生き物の命を預かっている以上、一度は真摯に向き合っておきたい問題です。病気や事故だけではありません。猫を飼えない環境に引っ越さざるをえない状況もあります。
そうなったらあなたの猫はどうなるのでしょう。
生まれてすぐの子猫だったら里親募集はしやすいです。
ですが、あなたと共にもうかなりの年数一緒に暮らしてきた老猫だったらどうでしょう。あと何年生きるのか分からない。もしかしたら病気になってしまうかもしれない。既に病気を持っている猫の面倒は見切れない。そんな不安から里親のなり手は少ないと思います。
昔からの知り合いで快く猫を引き取ってくださる人がいるならいいでしょう。実家のご両親、兄弟姉妹、成人したあなたのお子さん・・・彼らが快く引き取ってくださるならいいですが、それでもやはり問題はあると思います。
あなたのために猫を引き取ってくれた人達ははたして本当に猫好きでしょうか?猫の飼育経験もなく、引き取ったものの飼い方がよく分からず、猫も人も不幸になってしまうかもしれません。
ずっと家猫として暮らしてきた猫が、外に放り出されて野良猫になって生き延びるのはとても難しいのです。
鼠が餌になるとしてもずっと屋内で飼われてきた猫はおもちゃの鼠しか知りません。そんなことで上手く狩れるでしょうか。真冬の戸外の寒さも知らず、野良猫や烏の攻撃から身を守ることも知りません。
残り少ない猫生をそんな過酷な環境で過ごさせるのはあまりに可哀想ですし、やってはいけないことです。
では、どうすればいいのか?
安心して預けられる先、その一つが「老猫ホーム」になります。「え、そんな場所があったんだ」と思われたかもしれません。老犬ホームは様々なメディアに取り上げられたりしてかなり認知度は上がっていますが、老猫ホームはまだまだこれからです。老犬ホームの中に最近猫を受け入れるようになったというところもありました。
ペットとして飼われるのが、犬より猫のほうが多くなった現在。これからますます老猫ホームの需要は増えていくでしょう。
老猫ホームでの生活
老猫ホームのスペース
猫は1日の大半を寝て過ごします。年老いた猫ではなおさらです。老猫ホームでは清潔なケージを猫ごとに用意してくれますし、室温もしっかり管理されているので、安心してゆっくり眠れるというのが猫にとっては素晴らしいことですよね。
老猫ホームでのケア
老猫ホームでは昼間は広い部屋で自由に遊ばせてくれるところもあります。猫好きのスタッフが遊び相手になってくれるかもしれません。グルーミングや爪切りも定期的にやってくれるようです。
老猫ホームの食事
老猫ホームでの食事は年齢に合ったものが用意されていますし、療法食が必要な場合は対応してもらえます。食欲の有無も毎日チェックされます。
老猫ホームの預け方と料金
まずは預け先を捜しましょう。
『老猫ホーム』というキーワードでインターネットで検索するのが良いでしょう。ご自分の住まいの近くで見つけることが出来るとよりいいですね。見つかったら連絡し、まずは事情を相談しましょう。預けることが決まったら、連れて行く日時や移送方法なども相談しましょう。ご自身で連れて行けない場合は、有料ですがご自宅まで引き取りに来てくれる老猫ホームもあります。
老猫ホームは2種類
老猫ホームにはNPO団体(特定非営利活動法人)経営のものと会社経営のものがあります。2つの一番の違いは、NPO団体の老猫ホームでは料金の支払いではなく、寄付という形で必要な費用を支払うことになります。寄付の金額はそれぞれの猫の状況によって違い明記されていないので、飼い主さんと施設側とで相談して決めることになります。
老猫ホームの料金
預け方にも何種類かあって、「短期」「1年」「終生」などがあり、料金も変わります。
会社経営の老猫ホームの場合、1年では30~40万くらい、終生ですと50~90万くらいが必要になることが多いようです。持病があって特定の投薬や注射、治療が必要な場合は別途請求されることになります。
老猫ホームでは信託活用プランという選択肢も
終生預かりを頼みたいが、高額な料金をまとめて支払うことに不安がある場合には、信託会社に費用を預け資金の管理を依頼する「信託活用プラン」という方法を取り入れている老猫ホームもあるので検討してみてください。
老猫ホームに預ける際に注意したいこと
猫が重度の病気や障害を抱えている場合は老猫ホームに正直に伝えましょう。対応してくれる老猫ホームもあります。
預ける前に基本のワクチンを接種しておくことも、共同生活に送り出す際には必要ではないでしょうか。避妊去勢手術が住んでいることも、受け入れてもらう条件になります。
老猫ホームに預けた後も面会には行けます。老猫ホームの都合もありますから、会いたい気持ちが溢れていてもまずは連絡・確認をしてください。
おすすめ老猫ホーム2選
老犬&老猫ホームひまわり
筑波の大自然の中にある老犬と老猫ホーム「ひまわり」です。のびのびとした敷地の中には動物病院も併設していますので、愛猫のもしもの時にも安心して預ける事が出来ますね。
老猫ホームの中はお外を眺めながら日向ぼっこができるようキャットタワーなども取り付けられています。猫達がとても穏やかな表情で暮らしています。
東京ペットホーム
東京都の大田区にある老猫、老犬ホーム「東京ペットホーム」さんです。都内にありながら猫達がのびのびと暮らせるよう日向ぼっこスペースや、個室、集会できる場所もあります。都内で暮らしている飼い主さんも会いに行きやすい利便性も兼ね備えた老猫ホームですね。料金やサービス内容については以下のサイトをご覧ください。
まとめ
老猫ホームについて今回はお話してきました。いかがだったでしょうか。
飼い主様が元気ならばいろいろな手続きも問題なく進められると思いますが、もし猫より先に亡くなってしまったらどうなるでしょう。同居するご家族もないおひとりさまだったら。
そこで私がお薦めしたいのは遺言形式で老猫ホームに預けるように書き残しておくことです。信頼できる後見人を指定して、遺産の一部で支払うようにお願いしておくのです。
こうして書いておけば、遺された猫も安心して余生を過ごせるのではないでしょうか。
ここで紹介されている施設は一例に過ぎませんが、同様の施設は全国的に増えているようです。起こって欲しくはないけれど、万が一のことが起こった時のために対策を講じたりご家族で話し合ったりしておくことは、動物を飼う上でとても大事なことですね。