猫から人に伝染する菌と病気の症状や予防法

猫から人に伝染する菌と病気の症状や予防法

様々な菌による感染症の中には猫から人にうつるものがあります。場合によっては重症になってしまう感染症があり注意しなければいけません。どんな菌による感染症が危ないのか、また猫を飼育するうえで気をつけるポイントなどをお話しします。

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監修:獣医師 平松育子先生

(ふくふく動物病院)

猫から人に伝染する菌とは

カラーをしている猫

猫から人に感染する?

感染症の中には猫を含め、動物から人に伝染する感染症がありそれは「人獣共通感染症(ズーノーシス)」と呼ばれています。原因となる病原体は細菌やウイルス、寄生虫などがあり感染症の種類は約200種類以上といわれています。その感染症の中には人に感染すると命に関わるものや重篤な症状を発症したり、場合によっては後遺症を残すものまで様々あります。もちろん猫から人にうつる人獣共通感染症もあり気をつけなければいけません。

猫から人に伝染する感染症の中には、元々猫が保有している菌が原因だったり、猫に感染しても症状はないが人に感染すると重い症状をひきおこす菌もいます。

猫から人に伝染する菌 どんな菌があるのか?

細菌類

細菌は1つの細胞からできており球菌や桿菌、らせん菌の3つの形が違う細菌があります。細菌は猫を含む動物や人の体の中に入ると細胞分裂をおこない、細菌の数が増えていくのが特徴です。

猫の細菌の中には酸素がなければ増殖することができず生きていくことができない「好気性細菌」とその逆に酸素がない環境でも生存ができる「嫌気性細菌」の2つに大きく分類することができます。また猫の細菌は細胞壁のつくりが違うものがあり細胞膜とその外側に分厚い細胞壁がある「グラム陽性菌」と細胞壁はあるが薄く、外側に外膜が存在する「グラム陰性菌」があります。

抗生物質により猫の細菌の増殖を抑えることができますが、猫の細菌といっても細胞の構造や酸素の有無など違いがあるため、それに対応する抗生物質の種類が変わります。

真菌類

猫の細菌よりも大きく高等生物の真菌があり、いわゆるカビや酵母といったものです。細菌は核がありませんが真菌には核があり、核には遺伝情報であるDNAが存在するため細菌と構造が違います。猫の真菌は糸状の細胞である「菌糸」と単細胞から構成されている「酵母様真菌」の2つに大きくわけられます。

猫の菌糸は成長によって菌糸が伸び枝分かれするので分裂せずに枝分かれした同士がくっつき菌糸体をつくります。また胞子によって数を増殖することができます。酵母様真菌は分裂したり、出芽によって数を増殖します。猫の真菌は細菌にとって効果のある抗生物質が効かず症状が悪化する場合がありますので真菌の治療には補助的に使用します。真菌には抗真菌薬で真菌の増殖を抑制することができます。

猫から菌が伝染して発症する病気

菌に感染している猫

細菌によるもの

猫ひっかき病

  • 傷口が腫れ上がり膿が出る
  • リンパ節が腫れる
  • 脳に炎症、ケイレン発作の可能性
  • 発熱
  • 食欲低下
  • 寒気
  • 発疹
  • 関節痛

バルトネラ菌を持っているノミに刺され吸血されたことにより猫は感染します。その感染した猫に噛まれたり、ひっかかれた傷口からバルトネラ菌に感染します。またバルトネラ菌を持っているノミに直接感染する場合もあります。主に子猫が多く感染しているといわれていますが、猫にとってバルトネラ菌は常在菌の一種なため感染しても症状がありません。

しかし人に感染してしまうと噛まれたり、ひっかかれた数日〜約2週間後に傷口が真っ赤に腫れあがり膿が出ることもあります。またリンパ節も腫れてしまい大きくなることもあり押すと激しい痛みを伴います。場合によってはリンパ節が腫れてから約1ヶ月以内に脳に炎症をおこし、ケイレン発作をおこしたり場合によっては意識がなくなることもあります。

他にも発熱し、それにより食欲低下や寒気を感じたり体中に発疹が出でくることもあります。ひどい場合だと関節も痛みがおこるようになります。

サルモネラ症

  • 胃腸炎
  • 血便

サルモネラ菌は土や河川などの自然環境下で生息しているため、それらに汚染されている食品や手から直接口に侵入することで感染します。またサルモネラ菌は牛や豚などの家畜で約30%、犬や猫で約10%、カメでは約90%以上の確立で感染しているといわれています。そのため感染している動物に触れることでもサルモネラ症を発症します。

人も猫もサルモネラ菌に感染してしまうと腹痛や下痢、嘔吐、発熱など胃腸炎を発症します。人の場合は軽症なら1週間ほどで回復しますが重症化すると血便をおこしたり命に関わります。一方猫は水様性の下痢を頻繁におこし、脱水症状や菌が全身にいきわたり炎症をおこす敗血症ショックになることがあります。

パスツレラ症

  • 傷口が腫れ激しい痛み
  • 骨髄炎
  • 敗血症ショック
  • 呼吸器に炎症
  • 肺炎

パスツレラ菌は犬で約80%、猫で約100%の確率で保有しており常在菌の一種で口腔内にいるといわれています。そのため噛まれたり、ひっかかれた傷口からパスツレラ菌に感染します。また口移しなどの過度なスキンシップでも感染します。

感染された場合、傷口が赤く腫れて激しい痛みがでます。元々免疫不全の疾患をもっていた場合症状が重症化しやすく、骨髄炎や敗血症ショックになることがあります。また感染した約60%の確率で咳などの呼吸器に炎症がおこり、喘息がある場合は肺炎になることがあります。

真菌によるもの

皮膚糸状菌

原因となる菌は「犬小胞子菌」、「白癬菌」、「表皮菌」の3つの真菌といわれています。人も猫も真菌との接触や感染している猫に触れてしまうことでも安易に感染をおこします。特に猫は免疫力が低い子猫や高齢猫に感染しやすいといわれています。

人に感染すると腕や頬などに赤く丸い発疹がいくつもでき、痒みをおこします。まれにその部分が水泡になることもあります。一方猫の場合も痒みの症状がおこし、顔や耳、手足の毛が抜けて大量のフケやカサブタが出てきます。

猫から人に菌を伝染させないためには

注射を受けている猫

猫を完全室内飼いにする

ほとんどは室内のみで飼育していますが中には外に出入りしている猫がいます。外に出入りするとその分、猫が菌や保有している虫に感染するリスクが高くなります。そのため猫を完全室内飼いにすることで外から感染するリスクを減らすことができます。

猫との過度なスキンシップを避ける

人獣共通感染症の中には元々猫に持っている菌が原因であるものがあります。そのため直接猫にキスしたりなどの過度なスキンシップにより感染症をひきおこしてしまうことがあるため、控えることが大事です。またこまめに手を洗うことで食品から介しての感染ルートを遮断することができます。

生活環境を常に清潔にする

生活環境が良くないと菌が増殖しやすく感染されやすくなるため、猫の排泄物はすぐに処理したりこまめに清掃することが必要です。特にソファーやカーペットは繁殖しやすいので特に注意です。

まとめ

聴診器と猫

猫の感染症の中には人にうつってしまうものがあり重篤な症状をひきおこすものがあります。そのため猫から人にうつる感染症について知識を持つことが必要で、常に意識を持って猫と生活することが大事です。

猫から人にうつる感染症の中には猫と人両方症状をおこすものもあれば、人にしか症状を出さないものがあります。そのため特に感染源となる猫の排泄物の処理後は必ず手を洗い、猫に顔を近づけるなど過度なスキンシップを避けなければいけません。またその感染症の中にはノミなどの虫を介して感染するものがあるため予防薬を使ってあげることも防ぐことができます。

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