猫の薬の飲ませ方 嫌がる場合の対策や注意点

猫の薬の飲ませ方 嫌がる場合の対策や注意点

概要

  • 猫に薬を飲ませるには錠剤・カプセルの場合は斜め上を向かせ薬を口の奥に押入れる。粉末・シロップの場合は注射器などを用いる。
  • 薬を飲んでくれない時はタブポケットを使ったり、薬を香りつきにしたり、エサなど何かに混ぜて与える。
  • 投薬後には水も飲ませて、薬を吐きださないように最後までしっかり飲ませる

猫が病気になった時の治療として「飲み薬」を出されることは多いです。でも、猫の薬の飲ませ方に苦労している方は多いと聞きます。猫は人間のように薬をスルッと受け入れられるとは限りません。もちろん口の中に入れてスムーズに飲んでくれる猫もいますが、嫌がって中々飲んでくれない猫もいます。この記事では基本的な薬の飲ませ方から飲んでくれない時の対策や注意点などをお伝えします。

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記事の監修

北里大学獣医学科卒業。埼玉県内の動物病院で勤務医をしながら教育・研究にも携わっており、大学では『伴侶動物の鉄代謝』をテーマに研究しています。『猫は小さな犬ではない』という格言のもと、何よりも猫ちゃんの健康と福祉の向上を一番に考え、日々の診療に励んでおります。

猫への薬の飲ませ方

薬を飲みたくない猫

猫に薬を飲ませる方法は、錠剤や粉薬などの薬の形状によっても様々です。また、飲んでくれない時には道具を使ったり、何かに混ぜて飲ませたりという方法もあります。様々な方法がありますので、愛猫に合った飲ませ方で行うと良いでしょう。

猫の薬の飲ませ方 基本編

薬を飲ませる基本的な方法を錠剤・カプセル、粉薬・シロップに分けて説明します。出来れば2人で行ない、1人は猫を抑え、もう1人が薬を飲ませる方がやりやすいです。

錠剤・カプセルの飲ませ方

手順① 猫の頭を持ち(利き手と反対の手で)上を向かせます

頭を上に向ける

75度位の角度に頭を向けさせます。この時顎を持つと猫が嫌がるので、頭を利き手と反対側の手で持つようにします。頭の角度が45度位だと失敗しますので、75度位になるように注意します。

手順② 薬を利き手で持ちます

この手順では薬を持つのに利き手を使用します。利き手の親指と人差し指で薬をつまんで持ってください。中指は口を開けさせるのに使うため、ここでは使わない方が良いです。

手順③ 口を開けさせます

口を開ける

薬をつまんだまま、中指で猫の前歯(切歯)に指をかけて口を開けます。前歯は噛まれてもそれほど痛くありませんので、猫の健康のためと、怖がらずに行うのがコツと言えるでしょう。

手順④ 薬を口に入れます

薬を入れる

口を開けさせたらすかさず舌の根元をめがけて薬を落とします。飲み込むまで頭を抑えている手を離さずに、そのまま上を向かせ続けます。

手順⑤ 少量の水を飲ませます

薬やカプセルはそのままだと食道に張り付いてなかなか胃まで到達しないこともあるので、注射器を使って5ml程度の少量の水を飲ませます。注射器の使い方は、後述の「粉薬・シロップの飲ませ方」をご参照下さい。

または少量のバターを猫の鼻先に塗ると、猫が舐めることで薬が胃に到達しやすくなるようです。どうしても水を飲ませられない猫の場合はこの方法が良いでしょう。ただバターの与えすぎは良くありませんので量に注意しましょう。

粉薬・シロップの飲ませ方

粉薬は0.5cc程度の水に溶かしてから飲ませます。薬を溶かした液を注射器に入れます。シロップはそのまま注射器に入れましょう。

手順① 頭を75度にします

錠剤やカプセルの時と同じように、利き手と反対側の手で猫の頭を持ち、75度の角度で上に向かせます。

手順② 注射器を利き手で握ります

注射器の握り方

薬を溶かした液を入れた注射器は、握るように持ちます。

手順③ 犬歯の後ろに注射器の先端を入れ、流し込みます

犬歯

猫の犬歯の後ろに注射器の先端を差し込み、ゆっくりと液を注入します。あまり強く差し込むと、歯肉に傷をつけてしまいますので注意しましょう。液を全て流し込んだらそのまま飲み込むまで頭を上に向かせたままにします。

猫が薬を飲んでくれない時の上手な飲ませ方

中には「お薬が大嫌い!」という猫もいることでしょう。しかし薬を飲んでもらわないと困る…そんな状況になってしまったらちょっと慌ててしまいますね。では、どうしても嫌がって薬を飲んでくれない時にはどうしたら良いのでしょうか?上手な飲ませ方をご紹介します

手段① タブポケットを使う

タブポケットとは、猫が薬を飲み込んでくれるように、薬をつつみこむ投薬用の補助品です。オブラートのようなもので中に薬を入れて飲ませるのですが、噛むと薬が出てしまいますので少し注意が必要です。

手段② 香り付きの薬にする

猫の嗅覚を利用した方法です。猫の使用頻度が高い薬は猫が好む香りが付いているものがあります。処方された薬の動物用のものがないか、獣医師に確認してみましょう。

手段③ 投薬器を使う

噛んで飲んでくれない猫に、動物用の投薬器を使うことがあります。動物病院で販売していないか確認してみましょう。ネット通販でも購入することができます。猫が投薬器自体を噛んで誤飲しないように注意が必要です。

手段④ 何かに混ぜる

ウェットフードやささみ、シロップやバター、ヨーグルトなどに混ぜて与える方法もあります。シロップやバター、ヨーグルトなど嗜好品は驚く程簡単に飲んでくれる事もあるようですが、猫の体にはあまり良くない可能性がありますので、与える前に獣医師に相談しましょう。

猫の薬の飲ませ方での注意点

じっと見つめる猫

ここまで簡単に猫への薬の飲ませ方を書いてきましたが、人と同様、猫の身体と言うのはどこもデリケートな箇所ばかり。猫に薬を投与する際に注意したいことを知っておくことで、より安全に行うことが出来るはずです。ですのでこの項では、猫に薬を飲ませる上での注意点をお伝えしていきます。

錠剤・カプセルの場合の注意点

投薬後に水を飲ませる

せっかく薬を飲ませた!と思っても実は食道などの途中でくっついて胃まで到達していないことがあります。水を飲ませた場合には、1分以内に胃に到達することが分かっています。水を飲ませないと食道に薬がつまってしまったり、薬によっては食道炎を起こしてしまったりすることもあるようです。

前述したように投薬後に注射器を使って5ml程度の水を飲ませてあげましょう。注射器は動物病院やホームセンター、小鳥用品を扱っているペットショップやネット通販で購入することが出来ます。

吐き出してしまわないようにする

器用に舌を使って薬を吐き出してしまったり、飲んだと思ったらポロッと出てきてしまったりすることがあります。またウェットフードなどに錠剤を混ぜた場合、薬を避けて食べることもあります。

粉薬・シロップの場合の注意点

きちんと飲ませる

ウェットフードなどに粉薬を混ぜた場合、薬の味がして食べないことも。必ずきちんと全部を飲んだか確認しましょう。もし食べない場合は他のものと混ぜるなどして工夫しましょう。

薬の量に注意

粉薬やシロップは、こぼれてしまうと正確な投与量を与えられない事があります。愛猫が暴れて薬がこぼれた!手が滑って薬の多くを消費してしまった!なんてミスがないよう注意が必要です。

ケガに注意!

薬を飲ませる時に猫に飼い主が噛まれることや引っ掻かれることがあります。飼い主がケガをして血だらけになってしまっては大変ですよね。あまりに暴れて飲ませられない猫はたとえ獣医師でも飲ませるのが難しいことがあるくらいなので、あまり無理をせず、どうしても難しい場合は獣医師に相談してください。

薬が合わないことがある

猫の体質によっては、薬が合わないことがあります。投薬後に嘔吐した場合は薬が合わない可能性があります。同じような効果で違う種類の薬があることがありますので、獣医師に相談しましょう。

まとめ

かわいい子猫

では最後にこの記事を振り返ってみましょう。猫の薬の飲ませ方についてのまとめです。

猫への薬の飲ませ方はいくつかあります。基本的には猫の頭を上に向かせ、錠剤・カプセルの場合は口を開けさせて投薬します。粉薬やシロップの場合には注射器で流し込みます。どうしても嫌がる猫の場合には、投薬器を使ったり、他のものに混ぜたりして与えます。また、オブラートのようなタブポケットを使う、香り付きの薬があればそちらを飲ませる手段もあります。

錠剤やカプセルの場合には、投薬後に少量の水を注射器で飲ませると、薬がしっかりと胃まで到達します。それにより食道に薬がつまり炎症を起こすのを防ぐことが出来ます。また飲んだと思った薬を吐き出したり、避けてしまったりすることがありますので、きちんと猫が飲んだか確認をしましょう。粉薬やシロップの場合にもちゃんと薬を飲んだか確認が必要です。薬の形状からこぼれやすい性質がありますので、投与量を正確にする為にも、こぼさないように注意しましょう。

薬が体質に合わない場合もありますので、投薬後に猫が嘔吐や下痢をした場合は獣医師に相談しましょう。飼い主自身も、薬を飲ませる時のケガには注意です。どうしても飲ませるのが難しい場合には無理をせず、獣医師に聞くことをおすすめします。

猫に薬を飲ませるのは中々難しい場合もありますが、病気を治すには有効な手段です。愛猫を病気の苦しみから開放してあげる為にも、飲ませる工夫が必要です。愛猫に合った方法を見つけてあげてくださいね。

投稿者

30代 女性 IZM

猫ちゃんの投薬、苦労しますよね。

頭を押さえ、片手で口を開けさせ、歯の隙間から薬を入れる…よく聞きますが、それが出来たら苦労しませんよね~

私が紹介したいのは、正攻法では上手くいかない場合のアドバイスです!
うちの子は保護施設出身で、昨年我が家に来たばかり。まだ警戒心が強く、抱っこも嫌いです。あまり強引な事をしたくなくて、探しだした方法です。

○錠剤の場合

・ピルポケットを使う
・シーバの中に入れる
・猫用チーズに挟む
・砕いてウェットフードに混ぜる
・砕いてちゅーるに混ぜる

私は全て試し、全て成功しました。と言っても、途中感づかれ失敗したら、次の策へ移していました。すぐ方法を変えたので、それ以降そのフードを食べなくなった、等はありません。

・ピルポケット
ピルポケットは病院で貰ったのですがとても便利です!チキン味とサーモン味があります。
初めはこれをぺろっと食べてくれてとても助かりました。
粘土のような感触で、穴が空いているところへ薬を入れ、指で丸めて蓋をする感じです。

しかーし!
5回目あたりから、
「これおいしくない!」というように、フイっとするようになりました。

そして、ふと、思い付いたのです。
この子、シーバデュオが大好き…この中に入れちゃえ!と。

・シーバ
我が家は普段、健康指向なフードをあげているのですが、たまに少量シーバをトッピングしてみたり、おやつ感覚で数粒あげることがあります。
すごく美味しいようで、いつもちゅーる並みの食いつきです。

錠剤は半分に割り、
シーバも半分に割ります。(指で)
シーバ(半分)へ割った薬を入れ、蓋(残りのシーバ半分)をします。(薬が小さい場合は割らずにそのまま入れてOKです!)
★錠剤を半分に割る場合は二粒作ることになります。

この時上手く付かなければ、水を付け蓋を。
薬がはみ出てしまく場合も、大丈夫!
シーバを一粒細かく砕き、はみ出た部分にパラパラコーティングするだけです。
思いっきりはみ出てる場合もうちの子はシーバ食べたさに気にせずペロリでした。

・猫用チーズ
猫用チーズもうちのこはペロリでした。
少し大きめの錠剤もすっぽり包めて、うちの子は丸飲みしてくれました。笑
こちらもオススメです!

砕いて、ウェットフード、ちゅーるに混ぜるのは説明不要ですね。

○粉の場合

・水を少し混ぜ固めて錠剤のようにして、ピルポケット、シーバ、チーズを使う。
・水で少し溶いたものを鼻、口周りに付けてしまう。
・好物のウェットフードに混ぜる、
・ちゅーるに混ぜる
・猫用ミルクに混ぜる

ピルポケット、シーバ、チーズを使う為に、粉薬を錠剤のようにする方法です。
水を数適足らし、指で丸めて錠剤のようにすると、上記同様に包めます。

鼻や口に付けてしまう方法は少し強引ですが、舐めてくれます。
私は口内炎予防にマヌカハニーを口や手にチョン、と付けて与えていました。

混ぜて与える場合はそこだけ食べない、混ぜたものを完食してくれない、全く食べてくれなかった、などのリスクがあります。薬が無駄になってしまうことがあるので、気を付けて下さい。

すぐ手に入るものなので、試してみやすいと思います。
この他にも薬を包むオブラートや、ペースト状の物など多種多様にあるようです。色々試して、その子に合うものを見つけてあげて下さい。
お薬上手に飲んで、早く元気になりますように!
投稿者

40代 女性 まかぶらあろたる

健康優良児なわが家のブチ猫、あろはさんは、今まで大小問わず病気を一度もしたことがないので、なかなか薬を飲ませる機会はありませんが、こうしたクスリの飲ませ方は、知っておくに越したことはないですよね!
一度だけ錠剤を飲ませたことはあります。避妊手術をした後に、抗生剤が処方されました。わが家にはわんこがすでに2匹いたので、飲ませ方はおんなじ感じでいいかなぁとは思っていたので、同じようにやってみました。
口を大きくあけさせて、少し上を向かせ、のどの奥に錠剤をおくと、そのままゴックンします。
ただこの記事を読んで初めて知ったのですが、水もできたら飲ませないといけなかったのですね。喉の途中で止まってしまう可能性があるという内容で、よく何事もなく無事だったなぁと少しひやっとしました。
薬を飲ませなければならない機会は、ないに越したことはないですが…
今後はそのことも踏まえて、注意しないといけないなと思いました。
ちなみに写真は、避妊手術が終わり薬を飲ませた直後の、どんより凹んでいる様子です(笑)いつも態度の大きなあろはさんが、滅多にしない香箱座りをしています。
投稿者

40代 女性 あいちゃん

腎不全と診断された、慢性便秘と鼻炎の18歳のにゃんこがいます。
以前は粉薬を水に溶かして与えていましたが、初めて処方された吐き気どめの薬が相当苦かったのか?泡をぶくぶくさせるくらいよだれを出して吐いてしまってから、大丈夫だった他の粉薬も同様に吐いてしまうようになりました。
今は食欲もないため、ウェットフードをミキサーにかけたものに粉薬を混ぜて強制給餌しています。

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