猫に錠剤の薬を嫌がらずに飲ませる2つのコツ

猫に錠剤の薬を嫌がらずに飲ませる2つのコツ

動物病院で錠剤の薬を処方された際、飼い主さんが自家で猫に錠剤の薬を飲ませるのは、なかなかに大変です。猫に錠剤の薬を飲ませようとしても吐き出して飲まなかったり、暴れてちゃんと飲んでくれないなど悩みの種は多くありますね。今回は、そんな困った状況に役立つ猫に錠剤の薬を嫌がらずに飲ませる2つのコツについてご紹介します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 吉本 翔
  • (東京大学獣医学専攻博士課程 ペンシルバニア大学客員研究員)

北海道大学獣医学部を次席で卒業。日本獣医師会会長賞受賞。東京大学にて動物のがんに関する研究を行いつつ、埼玉県にある動物病院で夜間救急獣医師として勤務していました。2018年よりアメリカのペンシルバニア大学に留学し、動物のがん免疫に関する研究をしています。国際学会発表や論文執筆を多数経験しており、獣医学研究に貢献できるよう日々精進しています。

猫に錠剤の薬を飲ませる方法

錠剤の薬と猫

動物病院で錠剤の薬を処方された際に、猫にどうやって薬を飲ませるのが一番と言える飲ませ方でしょうか?

まずは錠剤の薬と水で猫に錠剤の薬を飲ませる方法をご紹介していきますが…、猫たちは一度嫌がると次から暴れる原因になるので、無理に飲ませるのではなく、素直に錠剤の薬を飲む子にだけ行ってくださいね。

それでは、飼い主の皆さんが気になる、猫に錠剤の薬を飲ませる方法についてご紹介します。

猫に錠剤の飲ませ方と手順

①頬骨を持ち猫を固定する

利き手の反対側(左手など)で猫の顔、目の真横にある頬骨を挟んで持ち上げ固定する。
猫の鼻先が75度くらいの角度が好ましいです。猫が錠剤を飲み込むときの気道を、確保できるような角度をイメージしてください。

②利き手で錠剤の薬を持つ

利き手(右手など)で錠剤の薬を持ちましょう。

③利き手の中指で猫の口を開ける

利き手の反対側で猫の顔を固定したまま、錠剤の薬を持つ利き手の中指で、猫の口(下の前歯)に指をかけて開けます。

④猫の喉の奥に錠剤を落とす

錠剤の薬を猫の喉の奥、舌の付け根に向かって落とすようにしてください。
錠剤の薬を飲み込むまでしばらくの間、離さずにそのまま猫の顔を上に向けていてくださいね。

⑤錠剤を飲んだ後のフォロー

錠剤の薬の投薬後は約5ミリの水をスプーンやスポイトなどで飲ませる、猫のフォローは忘れずに行ってください。
猫の喉の奥に錠剤の薬が張り付いて炎症が起こる原因になります。

猫に錠剤を嫌がらずに飲ませるコツ

薬の匂いを嗅ぐ猫

上記では猫に錠剤の薬を飲ませる方法をご紹介させていただきましたが、やはり飲ませ慣れていないと猫が錠剤を吐き出すこともあります。

そんなときには、猫に錠剤を嫌がらずに飲ませる以下の2つコツを試してみましょう。

  • おやつに錠剤の薬を混ぜる
  • 錠剤の薬を砕く

では、錠剤の薬を嫌がらずに飲んでもらうための詳しいコツを見ていきましょう。

錠剤の薬を猫のおやつに混ぜる

スプーンのおやつを舐める猫

猫が錠剤の薬を吐き出す際には、猫が好むおやつに混ぜるのがコツです。
猫が好むものでは、シロップ、バター、マーガリン、などの嗜好品に混ざるのも良いですが、人用の食べ物なのであまりお勧めできません。

このため猫用のおやつ、特に液体タイプのものに錠剤の薬を混ぜて与えると、錠剤の薬を嫌がる猫は「おやつだ!」と思って喜んで食べてくれるので、非常に効果的です。
万が一、猫が錠剤の薬を飲まないという場合に備えて、猫が好きなおやつを把握してあげておくことが大切です。

錠剤の薬を砕く

スプーンの上の粉末の薬

猫が錠剤の薬を吐き出す際には、錠剤の薬を砕くというコツも大切です。
液体タイプのおやつにそのまま錠剤の薬を混ぜて与えると、錠剤の薬に気付いた猫が薬を残してしまう場合や、口の中に入れて吐き出してしまう場合があります。

このため、錠剤の薬はスプーンの裏側などであらかじめ砕いて粉末状にしたあとに、液体タイプのおやつに混ぜて与えましょう。
また、錠剤の薬を猫に与える際にはできるだけ小さなお皿で与えることが好ましいです。

以下に簡単な手順を記載しておきますのでご参考にしてみてくださいね。

  • ①小さなお皿を用意する
  • ②錠剤の薬はスプーンの裏側などで、あらかじめ砕いて粉末状にする
  • ③液体タイプのおやつに混ぜる(しっかり混ぜることが大切)

ポイント:水気が足りないと感じたら、ほんの少し水を足しても良いです。

猫が錠剤を飲むとき暴れたら

怒って威嚇する猫

もちろん絶食など、獣医師の方から指示を受けている場合や、受けている治療によっては、猫におやつを使えないこともあります。
このときは飼い主の方が何とか猫に錠剤の薬を飲まさなくてはいけません。

しかし、錠剤の薬を飲まそうとした時点で嫌がって暴れることも多々あります。
猫が暴れるとふだんとは違い、鋭利な爪で引っ掻かれたり、深く噛まれたりする危険性もあるので、飼い主の皆さんは十分な注意が必要です。
ここで以下のような対処法を知っておくことが大切です。

  • 洗濯ネットを使う
  • タオルを使う

このような適切な対処を取ることで、猫が錠剤を飲むときに暴れても、飼い主の方の怪我を防げるだけでなく、猫が大人しくなるというメリットがあります。
では、猫が錠剤を飲むとき暴れたら…を予想して、それぞれの対処法を見ていきましょう。

洗濯ネットを使う

洗濯ネット

猫が錠剤を飲むとき暴れたら、ご自宅にある洗濯ネットを利用してみましょう。最初は、猫を洗濯ネットに入れるのは可哀想、と思われるかもしれません。

ですが猫は、洗濯ネットに入れられると途端に大人しくなるのは事実なんです。これは猫が柔らかい素材と相性がいいことや、狭い場所に落ち着く猫の習性があることが理由です。

洗濯ネットに猫を入れて、顔だけ出るようにしてすっぽりと包んであげましょう。このあとに、ご紹介した手順で錠剤の薬を飲ませてあげてください。

タオルを使う

タオルで包まれ保定された猫

猫が錠剤を飲むとき暴れたら、ご自宅にあるタオルを活用してみましょう。
洗濯ネットが見付からない場合や、急いで薬を飲ませたいときは、家にあるタオルを使って猫をすっぽりと包んであげることで洗濯ネットと似たような効果があります。

猫たちは柔らかくて肌触りの良いものを好みます。また、包まれることに安心感を覚えるので、落ち着いて薬を飲んでくれることがあります。

もしもどちらを試しても錠剤の薬を飲んでくれない場合や、暴れてしまって大変ということがあれば、無理をせず獣医師の方に相談してみましょう。

まとめ

見つめ合う女性と猫

今回は、猫に錠剤の薬を嫌がらずに飲ませる2つのコツについてご紹介しました。

猫に錠剤の薬を嫌がらずに飲ませるのはなかなか難しいことですね。
猫におやつを使って与えるのが一番簡単ではありますが、使えないときももちろんあります。

猫を飼う上では、動物病院での通院や車での移動など、洗濯ネットを利用する面が増えるので、百円均一などで一枚買っておいておくのも良いかも知れません。また、洗濯ネットは災害時などの非常事態にも猫の安心できる居場所として活用できます。

猫に錠剤の薬を嫌がらずに飲ませる2つのコツをマスターして、上手に薬を飲ませてあげてくださいね。

投稿者

40代 女性 なつき

猫ちゃんに錠剤のお薬を飲ませるのには苦労しますよね!
私はいつも、お薬を砕いてから減塩バター少量にこねて、猫ちゃんの口の中の頬の部分に素早く塗りつけます。すると、必然的にナメナメして薬を飲んでくれます。
昔、錠剤を無理矢理飲ませようと頑張っていたら、お薬が喉につまりかけたことがありまして、怖くなってから、減塩バターに混ぜることを思いつきました。今のところは、うまくいっています。バターは、ごく少量に薬を混ぜるのがコツです。素早く終わらせることで、猫ちゃんへの負担も減らすことができますね。

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