猫がラベンダーで死んでしまう!知っておきたい危険性とは?

猫がラベンダーで死んでしまう!知っておきたい危険性とは?

猫にとってラベンダーは命を脅かす毒になってしまうことをご存知ですか?花壇の虫よけにハーブであるラベンダーを庭に植えてしまったという花が好きな飼い主の方もいらっしゃるかと思います。今回は猫の飼い主なら是非、知っておきたいラベンダーの毒性についてをご紹介していきます。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫がラベンダーで死んでしまう危険性

ラベンダーの写真

ラベンダーの香りは毒になる

猫がラベンダーを食べることはもちろん、アロマのラベンダーや部屋に置く植物としても危険です。それは『ラベンダー』の香りそのものが、猫の命を脅かす毒性を含んでいるからだったんです。そして実際に、植物のラベンダーを部屋の中に置いたことにより、ラベンダーの香りを嗅いでしまった飼い猫が死亡してしまったケースもあるようです。

そして、この時はまだ猫に対するラベンダーの毒性の知名度が低く、このような悲しい事態が起きてしまいましたが、これにより多くの飼い主の方が猫に対するラベンダーの毒性を知ることになりました。

猫にアロマは危険です

アロマ

ラベンダーのアロマだけが危険と言う訳ではありません。猫が居る部屋でアロマを焚くことが危険なんです。もしアロマの成分に含まれている精油がティートゥリーであれば猫は中毒症状を引き起こしてしまいます。このティートゥリーの精油が猫にとって有害な物質と証明されているんです。

ティートゥリーはアロマだけでなく以前はノミ防除用の商品に含まれていました。しかしティートゥリーの精油が含まれるノミ防除用の商品の使用後に中毒症状を起こす猫が増えたため、1998年にアメリカのコーネル大学で猫に対するティートゥリーの危険性を調べる実験を行いました。その結果、実験に使われた3匹の猫、3匹ともに中毒症状が現れました。
これにより、ティートゥリーが猫にとって有害という事実が判明したのです。

ティートゥリーの中毒症状は以下になります。

  • 神経過敏
  • 震え
  • 脱水症状
  • 昏睡状態
  • 低体温
  • 運動失調

精油の成分の確認

ラベンダーの写真

猫は人より皮膚が薄く、表皮の厚さは人の半分以下と言われています。その為、皮膚から体内に毒性が吸収されやすいんですね。それ以外には、空気中に漂うアロマの香り成分は呼吸する時に微量ながら血液中に入るといわれています。さらに、呼気中に含まれた成分は脳に直接作用する場合もあります。

ノミ取り首輪やシャンプーにアロマ成分が含まれている場合は猫には使用しない。猫のいるご家庭では焚いたり、スプレーしたりしないほうが無難です。が…もし、どうしてもアロマを焚きたい時、アロマに含まれる精油が猫にとって有害な精油でないことを確認する必要があります。

またアロマを使用する注意点として、猫には肝臓の働きの一つである解毒機構がないので、精油の一部が分解されず身体に残ってしまうと言えます。体調不良や肝臓の異常が出ないように、有害でない精油も長期の使用は控えた方がいいと言えますね。

猫が死んでしまうラベンダーの6種類

ラベンダー

ラベンダーにも種類が様々ありますが、猫が死んでしまう危険性を持つラベンダーの種類は以下の6種類になります。

  • アングスティフォリア系
  • ラバンディン系
  • ストエカス系
  • デンタータ系
  • プテロストエカス系
  • 種間交配種系

猫がラベンダーで死んでしまう理由

ナースの格好をした猫

ラベンダーは猫の体内組織に影響を与える

ラベンダーの猫に対する毒性は、ラベンダーを食べたり、嗅いだりすることによって猫の体内に吸収されることで猫の肝臓や腎臓の組織に影響を与えると言うことが分かりました。また猫の年齢や体調などで死に至るとされているので、老猫や子猫、身体の弱い猫が居る場合は植物ラベンダー、またラベンダーの成分のある商品などは買わない方が良いとされています。

猫のラベンダーによる中毒症状

病院にいる子猫

猫がラベンダーにより中毒症状を引き起こした場合、以下の症状が現れます。

  • 運動失調
  • 異常行動
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • めまい
  • 筋肉の痙攣
  • 元気がない

もし自宅にラベンダーがあり、ラベンダーを食べた場合や上記の中毒症状が現れた場合などは、すぐに動物病院に連れて行く必要があります。異常に気付いて迅速かつ適切な処置を受けることで重症化を防ぐことが出来ます。

ラベンダーが猫に中毒を起こすまでの期間

布団の上で寝ている猫

ラベンダーやティートゥリーなど中毒性のあるものを食べた、または多量に皮膚から体内に吸収した場合、約2時間~8時間以内に中毒症状を起こすと言われています。ラベンダーの毒性は中毒症状を起こすと共に約3日~1週間で肝臓や腎臓の組織を壊し、腎不全などを引き起こすとされています。

  • 中毒症状:約2時間~8時間
  • 組織破壊:約3日~1週間

猫のラベンダーによる中毒の対処法

ラベンダーの写真

ラベンダーを部屋に持ち込まないことや、ラベンダーの成分が含まれた商品、芳香剤やアロマなどを使わないことが一番の対処法と言えますが、もしも道や近所の花壇にラベンダーがあり、それを飼い猫が口にしてしまったなど思わぬ事態が起こらないとは言えません。ここでは猫がラベンダーの中毒を起こしたときの治療について紹介します。

猫がラベンダーの中毒を起こしたときの治療

具合の悪そうな猫

中毒症状の早期発見が出来れば、獣医師によって点滴や皮膚の洗浄など適切な処置を迅速に行って貰うことにより、通常は約2~3日で回復すると言われています。

以下がラベンダーの中毒を起こしたときの治療法となります。

  • 点滴:注射
  • 皮膚の洗浄
  • 下剤の投与

まとめ

ラベンダーの写真

今回はラベンダーの毒性をご紹介しましたが、猫は薬や毒を代謝・排泄するグルクロン酸抱合が弱く、ラベンダーの持つ作用や毒素を分解出来ないのではないかと考えられているんですね。個体差にもよりますが取り込んだ量やその日の体力によって、毒素がそのまま体内にとどまることで、腎臓や肝臓を破壊してしまうということです。

また毒性をもつのはラベンダーだけではなくハーブは全般的に危険があります。ハーブの中でも虫よけ効果が強いもの、そのほか腎臓に影響があるとされるオレガノ、タイムなど、猫には意外と危険な物が多いと言えます。猫が居る場合、万が一を考えてハーブの栽培やラベンダーを買うことは控える必要があります。

投稿者

30代 女性 しおり

昔、ラベンダーの精油で猫ちゃんの体調が悪くなり心配したことがありました。
ティートゥーリーのせいだったのですね。
それ以来、アロマをたかなくなりますと、猫ちゃんの体調は戻り元気になりました。
猫ちゃんを飼うと、アロマはたかない方がいいと聞いていましたが、害があるとは思っていませんでしたので獣医師に教えていただいた時には驚きました。猫ちゃんが病気になる前にアロマをやめることができましたが、今後も猫ちゃんを飼っている方にはラベンダーのアロマの恐さを教えてあげようと思いました。

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