猫が出血をしている時の症状や対処法

猫が出血をしている時の症状や対処法

猫が出血している時に疑うべき病気には、どんなものがあるのでしょうか。この記事では、猫が出血している時に疑うべき16の病気と、対処法、注意点についてご紹介します。いざという時に冷静に判断するためにも、猫の出血に関する知識を再確認しておきましょう!

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫が出血する病気

獣医師と寝転ぶ猫の写真
  • 猫が出血をする原因は外傷によるもの
  • 副鼻腔炎や口内炎等の口の病気
  • 膀胱炎や子宮がんなどの病気
  • パルボウイルスやトキソプラズマ症の感染症による物

猫が出血している場合は、まずはどこから出血しているのかを特定しましょう。出血箇所によって考えられる病気をご紹介します。

猫が外傷(怪我)によって出血している時

黄色の包帯をする猫

猫が怪我をした時の症状

猫が外傷(怪我)によって出血している場合に考えられる症状は以下のようになります。

  • 咬傷や切り傷
  • 爪が折れる、割れる
  • 肉球の怪我

外飼いの猫は出血を伴うケガをしやすい

猫が家を自由に出入りしている場合、他の猫との喧嘩や落下などによって怪我をすることがあります。完全室内飼いの場合でも、爪が引っ掛かって割れてしまったり、肉球に傷が付くことで出血することもあります。

出血をしている時はエリザベスカラーを使う

まずは、出血している箇所を特定し、怪我の状態を確認しましょう。傷自体は小さくても、猫が執拗に舐めることで悪化する可能性もありますので、エリザベスカラーなどを利用するといいですね。

猫が口、鼻から出血している場合

寄り目な猫

猫が口、鼻から出血する病気

猫が口、鼻から出血している場合に考えられる病気は以下のようになります。

  • 猫の副鼻腔炎(ふくびくうえん)
  • 猫のクリプトコッカス症
  • 猫の歯周病
  • 猫の口内炎
  • 猫の扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん)
  • 猫の気管支炎(きかんしえん)
  • 猫の肺炎

猫が鼻から出血している場合は、ウイルス感染やアレルギーが原因となった副鼻腔炎やクリプトコッカス症などの病気にかかっている可能性があります。

また、口から出血している場合は、歯周病や口内炎など、口腔内のトラブルによる出血なのか、気管支や肺からの出血(喀血)なのかを把握する必要があります。

気管支や肺からの出血には注意

特にこの「喀血」と呼ばれる出血は、咳と同時に血が吐き出されたり、呼吸をする度に血混じりのあぶく状のものが鼻から出るのが特徴で気管支炎、肺炎など、症状が重篤化している可能性があるので、注意が必要です。

猫が外陰部から出血している場合

尻尾だけ出している猫

猫の外陰部から出血がある病気

猫が外陰部から出血している場合に考えられる病気は以下のようになります。

  • 猫の膀胱炎
  • 猫下部尿路疾患
  • 猫の子宮がん
  • 卵巣腫瘍追記
  • 猫の子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)

猫が外陰部から出血している場合は、上記のような病気にかかっている可能性があります。

性別で異なる猫が出血する病気

膀胱炎や猫下部尿路疾患はオスメス共通の病気ですが、比較的尿道の短いオスの方が発症率が高いとされています。また、子宮がんや宮蓄膿症といったメス特有の病気については、避妊手術を行うことで予防の効果が期待できます。

猫の尿や便に出血(血尿・血便)かある場合

トイレにいる猫

猫のおしりに血が付いていたり、おしっこやうんちに血が混じっていた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。主に血尿、血便といった症状を引き起こす病気は以下の通りです。

猫の尿や便に出血(血尿・血便)がある病気

  • 猫の膀胱炎
  • 猫下部尿路疾患
  • 猫の熱中症
  • 猫の胃腸炎
  • 猫パルボウイルス感染症
  • 猫のトキソプラズマ症
  • 猫の肛門嚢炎(こうもんのうえん)

猫の尿に出血(血尿)がある病気

猫の場合、上記の中でも膀胱炎や下部尿路疾患、熱中症の脱水による血尿が多く見られます。また、胃腸炎や感染症などが原因の下痢が続くことでゼリー状の血便が出る場合もあります。

猫の尿に出血(血尿)がある病気肛門嚢炎とは

猫の肛門嚢炎とは、猫の肛門の左右にある「肛門嚢」と呼ばれる分泌物を溜める袋状になった臭腺が、炎症を起こしている状態のことを言います。通常、この肛門嚢に溜まった分泌物は、ウンチなどと一緒に排泄されるのですが、上手く排泄できずに固まり、破裂してしまうことがあります。

肛門嚢が破裂して出血した場合

肛門嚢が破裂してしまった場合、肛門の横の傷口がパックリと開くので、出血し、外傷と間違える人も多いようです。肛門嚢が破裂し出血等がある場合、細菌感染する可能性もありますので、必ず動物病院を受診し、症状を繰り返さないよう、獣医師に指示を仰いでください。

その他出血(血尿・血便)のある病気

上記の他にも、腸内に悪性腫瘍やポリープができる事で出血する場合もあります。血尿や血便が出た場合は、可能であればラップに包むなどして動物病院へ持ち込みましょう。

猫が出血している時の対処法

猫の足に包帯をまく獣医師の写真

猫が出血している時の対処法についてご紹介します。

猫の出血箇所を特定する

まず、猫の出血に気付いたらすぐに出血している箇所を特定しましょう。全身の皮膚や、鼻、口、足、爪、肉球、陰部、肛門などをチェックします。

出血が止まらない時の対処法

外傷の場合で、出血が止まらない時は、包帯できつく固定し、動物病院へ急ぎましょう。ちなみに、出血が鮮やかな鮮血(動脈血)の場合は、出血箇所よりも心臓に近い部分に、出血が暗い赤や紫に近い赤の場合(静脈血)は、出血箇所を包帯で固く巻いて止血するのが効果的です。

固く巻いたままだと血流が途絶えてしまい、長時間に及んだ場合は壊死してしまいますので数分ほど圧迫したら緩めて止血できたかどうかを確認することも大切です。

猫が出血をしている時は自己判断で消毒や、人間用のキズ薬を使用するのは避けましょう。

出血箇所が分からない場合

出血箇所が分からず、出血も少量である場合は、少しの間猫の様子を観察しましょう。歩き方や、行動に異変はないか、食事や水分は摂れているかをチェックして下さい。と言っても、当日中に動物病院を受診するのが最善なので、時間に余裕がない場合は獣医師にそのまま伝えましょう。

出血箇所の写真や現物を動物病院へ持ち込む

出血箇所や、その他の異変がない場合も、出血をスマホで撮影したものや、血尿血便を持って動物病院を受診しましょう。猫が出血している場合は、必ず自己判断せずに早めに受診することを心がけて下さい。

猫が出血している時の注意点

猫の親子の写真

猫が出血している時の主な注意点は、以下の2つです。

猫は血液の量が少ない

猫の出血は、人間にとっては大したことがない出血量でも、猫にとっては大量出血で貧血を引き起こしてしまう可能性も十分にあります。猫が出血している時は、たとえ少量の出血に見えても油断してはいけません。すぐに動物病院を受診しましょう。

猫の血液量は、体重の約6%程度とされています。人間の血液量が男性で約8%、女性で約7%であるのに対しても、猫の血液量が少ないことが分かります。また、体重50キロの女性の血液量は約3,500mlあるのに対し、一般的な大きさの猫(5キロ前後)の体重は、300ml程度しかありません。

猫の血液量が、350mlの缶ジュースよりも少ないということをしっかり覚えておき、少しの出血であってもしっかり獣医師に診てもらうよう心がけたいですね。

猫には出血をする生理がない

人間の女性や、メスの犬などには出血を伴う「生理」と呼ばれる生理現象があります。しかし、猫には出血を伴う「生理」がありません。と言うのも、猫の妊娠のメカニズムが人間や犬とは異なるからです。人間や犬は、決まった周期で体が妊娠するための準備を始めます。

「排卵」もその一つで、卵巣から卵子が放出されることを言います。猫の場合、この排卵は「交尾」によって誘発されるのです。交尾の刺激によって排卵を行うので、定期的に排卵する習性はありません。

つまり、猫には定期的な出血を伴う「生理」という概念自体が存在しないのです。避妊手術をしていないメス猫が、陰部から出血した場合「生理かな」と勘違いしてしまう人も多いようですが、猫が陰部から出血する場合は「不正出血」です。

卵巣や子宮などに何か問題がある可能性が高いので、すぐに動物病院を受診しましょう。

猫が出血をしている時のまとめ

獣医師に触診される猫の写真

猫が出血している時に疑うべき病気や、注意点などについてご紹介しました。猫が出血をしている時、なぜ出血をしているのか飼い主はしっかりと状況を判断する必要があります。

ケガによる出血である場合は出血箇所を見極めて病院へ、おしりから出血があったり、血便、血尿がある場合は病気である可能性が大変高いので急いで動物病院に連れて行くようにしましょう。

特に泌尿器系の疾患にかかりやすい猫の場合、オシッコやウンチの状態チェックも欠かさず行いましょう!

 
投稿者

20代 女性 うみか

昔飼っていた、猫ちゃんが喧嘩をして鼻を怪我して鼻血を出しました。
なかなか止まらなくて焦りましたが、ティッシュで強めに押さえていると鼻血は止まりました。猫ちゃん同士の喧嘩だったので、それ以降は気をつけて激しくならないように目を光らせていました。あとは、猫ちゃんが紐で遊んでいた時に摩擦で手の皮膚が少し切れて出血しました。
辺りの絨毯は猫ちゃんの血がついた足あとだらけで、驚きました。抗生物質の軟膏を薄く塗ってあげると2日ほどで治りました。
怪我をするときもありますが、重症化しないように注意をしてあげましょう。

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