TNR活動の現場に突如現れた新顔さん
今回の主役はキジトラの梅ちゃん。推定5歳の女の子です。
梅ちゃんを保護した日、和歌山県に用事があったという飼い主さん。「和歌山といえば梅干し!」ということで、梅ちゃんと名付けたのだそう。
さらに、梅ちゃんが当時妊娠中だったこともあり、「元気な赤ちゃんをうんでね!」というメッセージを込めたそうです。
そんな梅ちゃんとの出会いは、仕事帰りのことでした。
その日は早く仕事を切りあげることができたため、個人的にTNR活動をしている現場の様子を見に行くことにしました。そこには、いつもお世話をしているさくら猫達に紛れ込む新顔さんの姿があったそうで……?
「初めて見かけました。明らかに妊娠している様子。お腹がパンパンで今にも生まれそうでした」
恐らく明日には誕生するであろう小さな命。しかし、飼い主さんが活動しているこのエリアにはカラスが多いそうで、「ここで子猫たちが生まれても生き残る確率は低いかもしれない」と感じたそう。
「生まれるまでに間に合うのなら、保護して安全な環境で産ませてあげよう」と、梅ちゃんを連れ帰ることにしたそうです。
偶然にも早く帰宅することができ、活動エリアに寄ることができたことを「今思えば、出会う運命だったのかもしれない」と語る飼い主さん。
「TNRの活動的には野良猫を増やさないようにするためのものだけど、もう明日にも生まれそうな命を堕胎してしまうのはどうなのかととても悩みました」と胸のうちを明かしてくれました。
心優しい飼い主さんに助けられた梅ちゃんは、無事に出産することができました。当初は梅ちゃんも含めて里親さんを探すつもりだったそうですが、事情が変わったのだそう。
「エイズキャリアということもあり、家で迎えようという結論に至りました。子猫達も私の身内に迎えてもらいました」
元々2匹の保護猫ちゃんと暮らしていた飼い主さん。流血沙汰の喧嘩に発展しなければエイズが移ることはないと思いつつも、猫達皆の幸せを願って梅ちゃん専用の部屋を用意したそうです。
なんと、梅ちゃんのために丸々1部屋を改装したのだとか。先住ちゃん達とは柵越しに触れ合えるそうで、2匹が大好きな梅ちゃんはいつも「遊ぼうよ」とアピールしているそうですよ。
飼い主さんの機転によって難を逃れた梅ちゃん。子猫達も無事に育ち、心穏やかな美猫さんへと成長したのでした。
「ニャー」の声でいっぱいの賑やかな家庭に♡
出会った当時は逞しい妊婦さんだった梅ちゃん。最初は警戒していたようですが、慣れてくるとゴロゴロ甘えるようになったといいます。
「指を出して挨拶をすると頭を擦り付けてきます。でも、触って欲しくない時などは表情ではっきりわかります(笑)」
穏やかな性格だという梅ちゃんは、猫が大好きなのだそう。「猫に対してはとても社交的です」と教えてくれました。
そんな愛らしい梅ちゃんが家族に加わったことで、とても賑やかになったと語る飼い主さん。
「子猫4匹を含めて身内の間で5匹の猫が増えたので、家族の家のどこに行っても猫がいます。我が家もご飯前のにゃーにゃーの声が増えました(笑)」
かねてよりTNR活動に尽力してこられた飼い主さん。「少しでも辛い思いをする猫が減るようにと思っています。でも、野良猫がいるからといってすぐ保護したらいいというわけでもないと思うんです」と語ります。
「家に猫が溢れてしまって多頭飼育崩壊になってしまっては元も子もないですし。その猫ちゃんにとって、どうしてあげるのが良いのかを見極めていくのが難しいところですね」
活動の中では常に迷いや葛藤があるのだそう。それでも飼い主さんには、ある信念があるといいます。
「まだまだ外で厳しい生活をしている野良猫はたくさんいます。保護された猫達はそれぞれ辛い思いをしてきた子達です。そんな子達に『もう頑張らなくていいんだよ』と、安心して暮らせるずっとのお家を見つけていってあげたいですね」
こうして、ずっとのお家と巡り会うことができた梅ちゃんと子ども達。これからも、飼い主さんやご親戚の皆さんに見守られながら幸せに過ごしていくことでしょう。
梅ちゃん、飼い主さん、素敵なエピソードをシェアしてくださり、本当にありがとうございました!
※この記事は、取材協力者さまのご了承をいただいたうえで制作しています
取材/ねこちゃんホンポ編集部
文/めろんぱん
うめちゃんをチェック♪
▼▼ Twitterはこちら ▼▼
https://twitter.com/hogoneko_nikki