猫は人の顔を覚えるのが苦手
実は猫は人の顔を覚えるのが苦手と言われています。ここでは、なぜ猫は人の顔を覚えるのが苦手なのかご紹介していきます。
猫は視力が悪く、人の顔がよく見えていない
猫は獲物を狩る肉食動物のため、動体視力や暗視能力がとても優れています。しかし、遠くを見るための視力は悪く、およそ0.1〜0.2と言われており、人間の約10分の1しかありません。さらに解像度も低く、静止しているものは霞んでみえます。
色彩も、人間は光の三原色と言われる赤、緑、青が認識できますが、猫は赤が認識できず、緑と青の2色のみしか認識できません。そのため、猫から見て飼い主を含む人間の顔はぼやけてしまい、はっきりと認識することができません。そのため、人の顔を覚えることができないと言われています。
猫は長期記憶よりも、短期記憶に優れている
猫は記憶力が悪いと認識している人も少なくありませんが、実は猫は記憶力が劣っているわけではありません。
記憶は持続時間の長さによって長期記憶と短期記憶に分けられますが、猫は長期記憶よりも短期記憶に優れており、短期記憶の記憶力は人間の20倍も優れています。
しかし、猫は長期記憶は苦手なため、苦手、不安、恐怖と言った嫌な思い出や食べ物に関する記憶は長期間覚えていられますが、長い間会っていない人や、離れ離れとなってしまった親猫や兄弟猫のことは忘れてしまうことが多いのです。
猫同士の顔は覚えられる
猫は人の顔を見分けることはできませんが、猫同士の顔は見分けることができます。
実際に、たくさんの猫の写真のなかに一緒に暮らす同居猫の写真を入れて混ぜた中から写真を選ばせるという実験をしたところ、多くの猫が一緒に暮らしている同居猫の写真を選択したそうです。この実験結果から、猫は人間の顔を識別することはできないが、猫の顔を識別することはできると言われています。
猫は飼い主を何で判別しているの?
猫は人の顔を覚えることはできませんが、飼い主さんとそうでない人のことは見分けることが可能です。ここでは、猫はどのようにして飼い主か飼い主でないかを判別しているのか、その方法をご紹介します。
飼い主の声を聞き分けている
猫は視力があまりよくありませんが、聴力は非常に優れていて、人間の約4倍の聴力を持っています。そのため、音や声で人や物を認識、判別しています。
ある実験で、飼い主が猫を呼ぶ声と飼い主以外の同性の人が猫を呼ぶ声をそれぞれ録音し、誰もいない部屋で猫に聞かせたところ、20匹中15匹の猫が、飼い主が呼ぶ声に大きく反応するという結果になったそうです。
この実験結果から、猫は飼い主の声質やしゃべり方、声のトーンなどを聞き分けて飼い主かそうでないかを判別していると言われています。
飼い主の匂いで判別している
猫は、聴覚だけでなく嗅覚も優れていて、人間の数千万倍もの嗅覚を持っています。そのため、わずかに残った匂いも判別することができ、猫同士でもお尻の匂いを嗅いで仲間かどうか判断したり、嗅覚を使って猫同士コミュニケーションを取っています。
このように優れた嗅覚を持っているため、飼い主の匂いはしっかりと判別することができ、例えば一緒に暮らしていたけれど、実家をでて猫と離れて暮らすようになった等というケースはよくあることだと思いますが、洗濯洗剤や柔軟剤等の匂いが変わっていたとしても、しっかりと飼い主であることを認識することができます。
猫は人間の言葉がわかるの?
皆さんの飼っている猫は人間の言葉を理解していますか?飼っている猫に人間の言葉が通じているように感じるというのはよく聞くケースですが、本当に人間の言葉を理解することができているのか、気になりますよね。ここでは、猫は人間の言葉を理解しているのかどうかご紹介します。
猫は2歳程度の知能がある
猫は人間のこどもでいうと1歳半から2歳程度の知能があると言われており、人間の言葉も単純なものであれば理解することが可能と言われています。
また、人間の言葉を理解するだけではなく、獲物が隠れてしまっても正しい場所を探すことができる他、獲物を捕まえるためにあえて騙すという行動をとるなど、優れた知能を持っています。
また、人間の言葉を理解していないように見える猫も存在しますが、実際には人間の言葉を理解できていないのではなく、人間の言葉を理解しているが無視しているという方が正しいと言われています。
猫は単語を理解している
猫は約80個の単語を覚えることができると言われています。毎日呼ばれる自分の名前や、食べ物である「ごはん」「おやつ」「カリカリ」「チュール」などは覚えている猫は多いようです。
また、猫は単語を経験と結びつけることで覚えることができ、「ごはん食べる?」などといった言葉をかけながらごはんを与えることで、「ごはん」の単語と美味しい食事をもらえたという経験が結びつき、覚えることができます。
しかし、良い記憶だけではなく嫌な記憶とも結びつくため、「病院」「爪切り」などと聞くと隠れてしまう猫も多くいます。
そのため、猫を叱る時に名前を呼ぶと、名前を呼ばれたイコール嫌なことをされると記憶してしまうため、叱るときには名前は呼ばずに「ダメ」などといった単語を使い、名前を呼ぶときは褒めるときなど猫が喜ぶタイミングで呼ぶようにしましょう。
声のトーンや雰囲気でなんとなく理解している
猫は単語の区別だけではなく、声のトーンや雰囲気でなんとなく飼い主の言っていることを理解しているとも言われています。
飼い主が話しかけている時の声のトーンや雰囲気で自分が褒められているのか、叱られているのかを区別できるほか、飼い主が喧嘩していることを察して仲裁に入ったり、隠れてしまったり、飼い主が落ち込んでいるのを察して寄り添ったり慰めるなどの行動も見られます。
猫に顔を覚えてもらうには嫌がる行動をしない!
猫を飼っているのに、なかなか猫に覚えてもらえないという人はいませんか?
猫は飼い主にはべったりと甘えますが、飼い主以外の人には警戒心も高く冷たい印象があるので、猫に顔を覚えてもらいたいですよね。猫は自分に害のない人を好むため、猫におぼえてもらうためには猫が嫌がる行動をしないのが1番です。
猫に構いすぎない
猫はとてもマイペースな生き物なため、自分が構ってほしくないタイミングで構われることをとても嫌がります。猫好きほど構いすぎて嫌われて、逆に猫に興味がない人ほど好かれると言いますが、これは猫が構われるのを嫌がるからなのです。
猫を飼い始めると猫可愛さに遊んだり抱っこしたくなる気持ちらとても分かりますが、そこを我慢して猫から甘えてきてくれるのを待ちましょう。
猫に話しかけず構わずで放っておくと猫から寄ってきてくれるので、そうした時に様子を見ながら撫でてあげたり遊んであげることで猫からも良い印象がついて覚えてもらうことができます。
できるだけ高いトーンの声で話しかける
猫は低いトーンの声よりも高いトーンの声を好みます。そのため、声の低い男性よりも声の高い女性の声を好むと言われています。
低いトーンの声は猫からしても叱られているように感じて嫌な印象が付いてしまいやすいので、猫に話しかける時はできるだけ高いトーンで話しかけることで、猫と仲良くなることがでけます。
じっと見つめない
猫社会では目をじっと見つめるのは喧嘩を売っているというサインになります。人間は目を見るのが好印象であり、目を見ずに話すと無愛想だったり機嫌が悪いという印象があるため、目を見て話しかけがちですが、猫からは嫌がられます。
飼い主と猫の間に信頼関係ができていればアイコンタクトは大丈夫とも言われていますが、猫とはできるだけ目は合わせず、目が合ってしまったときはゆっくりとそらしてあげるようにしましょう。
まとめ
今回は猫は人の顔を覚えられるのか、どこを見て判別をしているのかなど猫の記憶力についていろいろとご紹介しました。
猫は優れた聴覚や嗅覚を使って人の顔を判別することができ、また高い知能から人間とコミュニケーションもとることができます。皆さんも愛猫に顔を覚えてもらってたくさんコミュニケーションをとってみてはいかがでしょうか。