猫が毛づくろいしながら体を噛む理由
毛づくろいの延長で噛んでいるなら安心ですが、体の異変やストレスの緩和のために噛んでいる可能性もあるので、どんなふうに噛んでいるのか猫の様子をよく見てみましょう。子猫も生後1ヶ月頃から毛づくろいを始めますので、確認してみてください。
体についた汚れや臭いを落としている
猫は噛むように毛づくろいをして、体の汚れや臭いを落とす場合があります。体の毛や肉球を舐めている途中で、ときどき噛みしめているような音が聞こえた経験はありませんか?
そんな時はこびりついた汚れや臭いを落とすために一生懸命に噛んでいます。毛づくろいの延長でよりきれいにするために噛んでいるため、舐める・噛むを繰り返してある程度で終わるなら心配はありません。
毛のもつれをほぐして毛並みを整えている
毛づくろいは汚れや臭いをとるだけではなく、毛並みを整えるときにも行います。ザラザラとした舌をブラシがわりにして、毛をとかして余分な毛を取り除いて毛玉を防止しています。
しかし舌だけではうまく毛のもつれをほぐせないときは、噛んで毛並みを整えます。毛づくろいしながら噛むようなら、体ではなく毛の一部をカミカミして整えている可能性があるのでよく見てくださいね。
かゆみや違和感を解消しようとしている
猫は軽いかゆみがあれば、後ろ足を使ってかくこともありますが、噛んで解消する場合もあります。手を噛むときは爪とぎがわり外側の古い爪をお手入れして違和感を取り除いています。
しかし、軽いかゆみではなくて、皮膚病や寄生虫による刺激からくる強いかゆみに対して、噛んで対処しているなど、さまざまな理由から噛んでいる場合があると覚えておきましょう。
体の痛みやストレスを紛らわせようとしている
体の痛みや恐怖や不安からくるストレスを紛らせるために、噛む場合があります。これは「転位行動」といって、原因とは関係のない行動をとって気持ちを落ち着かせるのです。
たとえば
- 体の一部が痛い
- 高い場所にうまく飛び乗れない
- 寝ているのに起こされた
- 多頭飼いの環境下で、苦手な猫と会った
- 突然大きな音がして驚いた
など、思っていた通りに行動ができなかったり、予期せぬ状態に陥ったときに、毛づくろいをするように噛んで落ち着かせています。
猫が毛づくろい中に体を噛む時の注意すべき症状
猫の噛み方に異常を感じたら、他にも気になる行動がないかチェックしてみましょう。明らかに噛みすぎて、夢中になりすぎと感じるなら、何か病気が隠れている場所もあります。
噛む頻度や噛んでいる最中の猫の様子がいつもと違う
体をきれいにするための、毛づくろいのレベルを超えた噛み方には注意が必要です。
体の一部をしつこく噛む
全身をまんべんなく舐めたり噛んだりしていれば安心ですが、決まった一部だけをしつこく噛むならその部分に異変がある可能性が高いです。
その場所が痛かったり、皮膚に異常があると考えられます。猫が嫌がらない範囲でチェックしてみましょう。
声をかけてもやめずに続ける
飼い主さんが声をかけてもやめずに噛み続けるなら、ダニやノミによるかゆみなど皮膚に影響があるかもしれません。
また、ストレスの原因を取り除きたくて、夢中で毛や皮膚を噛んでいるのかもしれません。どちらの場合も、毛を整えるのが目的ではないため、噛んだ場所やその付近を確認すると良いでしょう。
毛をむしるように噛む
毛のもつれを取るような優しいものではなく、毛を抜き取るほど強く噛んでいるなら注意しましょう。毛玉が取れなくてむしるというレベルではないため、皮膚炎やその他の体調不良の可能性が高いです。
毛をかきわけて見ると猫の皮膚や爪先に異常がある
噛み続けるようなら、毛をかきわけて皮膚や爪先に異常がないかチェックしてみましょう。
部分的な脱毛や赤み
噛みすぎることで、毛を抜いている場合もあります。また、皮膚に異常があり、毛が抜けていたり赤くなっていたりするため、噛んでしまっているケースもあります。
かさぶたや出血がある
毛をかきわけた皮膚や、爪先にもかさぶたや出血があれば注意しましょう。皮膚の異常で起きた場合と、違和感があるために猫が噛みすぎてしまった場合どちらの可能性もあります。
しっぽの付け根辺りや体の一部に黒い点が付着している
毛や皮膚の中に黒い点が付着していたら、ノミの糞かもしれません。体にノミがいるため、かゆくて噛んでいる可能性があります。また、ノミは猫も人間も刺されるため、早めに獣医師に相談して処置するのをおすすめします。
猫が体を噛む以外の痛みのサインを見せている
猫は膀胱炎になると痛みや違和感がある下腹部あたりの毛を舐めたり噛んだりします。また、関節痛の場合も同様に痛みが発生している付近を噛む場合もあります。
このように病気につながる時は、噛む以外にも痛みのサインが出ていますので確認してみましょう。
噛んでいる部分を触ろうとすると怒る
普段は触れても怒らないのに、噛んでいる場所に触れようとするだけで怒るなら何か体調が悪い可能性があります。猫は痛いと隠そうとする動物なので、普段と違う態度の時は注意してみてあげましょう。
排泄をする
膀胱炎の場合排尿時に痛みがともなうため、いつもなら発しない鳴き声を出す場合があります。痛みから感じる不安やストレスで噛んでいるのかもしれないので、排泄時にも注目してみてください。
人目につかない隅でじっと静かにしている
痛みのせいであまり動きたくない、触れられたくないと隅でじっと過ごすことが増えます。
もともと室内でよく走り回り、キャットタワーにジャンプをしてのぼっていたのに、しなくなった時は関節痛や病気の可能性が考えられますので、獣医師に相談するのをおすすめします。
体のケアが行き届いていない
猫は体に何かしら異変があると、ケアが行き届かなくなり、ほとんど無臭の猫が臭くなる場合もあります。
健康だと毛づくろいや爪とぎなど体のケアが行き届くため、毛の状態も良く、爪も古い爪をはがして常に新しいとがった状態を保ちます。体の一部をしつこく噛んでいるなら、体のにおいや爪のチェックも一緒に行ってみてください。
猫が毛づくろいしながら体を噛む時の対処法
すぐにやめさせた方が良いときや、動物病院へ連れて行った方が良い噛み方と、少し様子を見てからでも大丈夫な場合があります。気持ちを落ち着かせるために行なっているときは、止めるのを控えた方が良いため見極めが必要です。
脱毛や皮膚の異変があればすぐに獣医師に相談
噛む以外にも明らかな異変があれば、すぐに獣医師に相談するのがおすすめです。すぐ目につく脱毛や、かさぶた、出血はわかりやすいですが、基本的に猫は体調不良を隠そうとする動物です。
そのため、触れようとするだけで怒る、じっと動かなくなるなど、猫の行動に違和感があれば痛みや、かゆみなどのつらい症状を隠している可能性が高いです。なるべく早めに獣医師にどう対処すればいいのか相談をして、処置をしてもらいましょう。
ストレスの原因があれば猫が過ごしやすい環境に改善
毛を噛んでいるときに声をかければ、その場ではやめてくれるので、異常な行動と感じない場合もあるでしょう。しかし、回数が多く感じるなら、ストレスがたまっている可能性があります。
体調不良以外で考えられるストレス例はこちらです。
寝床が気に入らない
清潔でなかったり、寝心地が悪いなど猫によって理由はさまざまです。使っているタオルをきれいにしたり、寝床を静かな暗い場所に移動したり、試してみると良いでしょう。
トイレが汚い、数が少ない
きれい好きな猫は排泄物が溜まっていると、ストレスになるため、最低でも1日1回は回収しましょう。多頭飼いなら猫の数+1個トイレが設置されているのが理想です。
遊び足りていない
キャットタワーのような高い場所にのぼる環境がなかったり、飼い主さんと一緒に遊ぶ時間が足りなかったりしてもストレスがたまる可能性があります。
もし現在、遊ぶ時間を作っていないなら15分程でいいので、一緒に遊びましょう。生き物がすばやく動いているように、おもちゃを動かすと楽しんでくれる可能性が高いです。
家族が増えて環境が変わった(新しい猫や人間の赤ちゃんなど)
急な環境の変化が猫は苦手なため、自分のテリトリー内に急に知らない猫や人が入るとストレスがかかります。時間はかかりますが、最初は距離を置いて過ごし、猫から興味を持ち始めたら距離を縮めると、大きなストレスがかかりにくいです。
噛むしぐさが続くなら無理をさせずに、猫が安心して過ごせる狭いスペースや好きな場所で過ごさせてあげましょう。
毛づくろいの一環で噛んでいるなら無理に止めない
毛づくろいをしている流れで、毛についた汚れや毛のもつれを取るために噛んでいるなら、止めなくて大丈夫です。換毛期で毛がよく抜けて、毛玉になりやすい時期なら、飼い主さんがブラッシングをして手助けをするといいかもしれません。
また、体をきれいにしているのに、噛んでいるからと止められると、それがストレスになる場合もあります。
見極めが難しいですが、噛みすぎていたり、元気がなかったり、急に怒ったりしなければ、安心といえますので、すぐにやめさせずに様子をみるのをおすすめします。
まとめ
猫が毛づくろいの一環で噛むことはありますが、噛み方や噛む以外の行動にも異変があれば病気が潜んでいる場合があります。噛む以外にも体調が悪そうな時や、普段出さない声を発する、どこかに隠れてしまうなら、猫の体をチェックしてみましょう。
普段通りに元気なら安心です。体のお手入れや気分転換で毛を噛んでいる可能性があるので、そんなときは無理に止めないでくださいね。
しかし、見極めが難しかったり、様子を見てもあまり変わらず不安な時は、一度獣医師に相談してみてくださいね。