大きい猫の特徴
大きい猫には「大型」ならではの特徴があり、通常のサイズの猫とは違った魅力があります。ここでは、大きい猫の主な特徴を3つに分けて紹介します。
一般に5kgを超える猫が大型猫と呼ばれる
明確な基準はありませんが、一般的に大型猫とは「体重が5kgを超える猫」を指します。通常、猫の小型種は2~3kg程度、中型種は3~5kg程度であることから、大型猫の大きさがある程度イメージできるのではないでしょうか?
品種によっては10kgを超える場合もあり、犬よりも大きい猫も存在します。実際、ギネスブックには体重15.9kg、体長123cmを超える猫が登録されており、まるで人間のこどものようなサイズ感があります。
穏やかな性格で人になつきやすい
大きい猫は優しく穏やかな種類が多く、人になつきやすいといわれています。猫の種類や個体差もありますが、ゆったりとした動きやのんびりした雰囲気も、大きい猫の魅力といえるでしょう。大きな体に似合わず甘えん坊な猫が多いため、コミュニケーションをたくさん取りたい方にも人気があります。
筋肉質で長毛種が多い
大きい猫は筋肉質で、骨格がしっかりしています。一般的に、猫の成長は生後10ヵ月ほどで止まりますが、大型猫は成長期が長く、生後2~3年まで成長することも珍しくありません。重い体重を支える丈夫な骨格と筋肉を作るため、ゆっくり時間をかけて育っていくのですね。
また、長毛が多いのも大型猫の特徴です。大型の猫は寒い地域で生まれた品種が多く、寒さに耐えられる長い被毛を持っています。ちなみに短毛種の大型猫としては、サバンナキャットやハイランダーなどがありますが、どちらも日本で見かけることはほとんどありません。
5kg以上になる大きい猫5種類
ひとくちに大型猫といっても、その種類はさまざま。一見よく似ているように思えますが、見た目・性格の特徴は品種によって異なります。ここでは、5kg以上に成長する大型の猫のうち、特に人気が高い猫種5つの特徴や性格について紹介します。
メインクーン
家猫のなかで世界一大きいといわれる猫が、メインクーンです。メインクーンはアメリカ原産の猫で、オスは6~9kg、メスは6kg程度に成長します。
がっしりした体つきがたくましく、大きい猫のなかでも特に存在感があるといえるでしょう。耳の先にはピンと上向きに生えた毛「リンクスティップ」があり、ヤマネコの血を色濃く引き継いでいることが分かります。
メインクーンはもともと、ネズミを駆除するワーキングキャットとして活躍してきました。とても賢く、適応能力が高いため、ほかの猫はもちろん、犬や小さな子供とも仲良くできます。簡単な芸ならすぐ覚えることができ、物を投げて取ってくる遊びも好むため、まるで「犬のような猫」と呼ばれることもありますよ。
性格はとても穏やかで、優しいメインクーン。「穏やかな巨人」という異名を持つほど大人しく、毎日のんびり過ごします。ベタベタ触られるのは苦手ですが、いつも飼い主の目が届く場所に寝そべるなど、可愛らしい一面もあります。
ラグドール
ラグドールはアメリカ原産の猫で、地域の土着猫とペルシャの交配により生まれました。体重はオスが6.5~9kg程度、メスが4. 5~7kg程度。
被毛はややクリームがかったホワイトで、耳や手足、しっぽにはオレンジや茶色のポイントが入ります。なお、生まれたばかりのラグドールは全身まっしろですが、生後数週間たつと徐々にポイントが現れます。
ラグドールは物静かな性格で、大きな声で鳴いたり、飛んだり跳ねたりすることはほとんどありません。ラグドールという言葉は日本語に訳すと「ぬいぐるみ」という意味になりますが、その名の通り抱かれるのが大好きで、抱っこされると全身の力を抜いて甘えます。
ノルウェージャン・フォレストキャット
ノルウェージャン・フォレストキャットは、ノルウェー原産の大型猫です。体重はオスが4.5~7kg程度、メスは3.5~5. 5kg程度。逆三角形の頭とまっすぐな鼻筋が特徴で、がっしりした体格をしています。
あまり知られていませんが、実はノルウェージャン・フォレストキャットには、しっかりした体格のヨーロッパ系と線が細めのアメリカ系が存在します。個体差はありますが、ヨーロッパ系の個体のほうがより大きく成長する可能性が高いといえるでしょう。
ノルウェージャン・フォレストキャットの性格は、明るく陽気、活発などが挙げられます。大型猫には珍しく運動量が多いため、成猫になってもよく遊びます。
高い場所が好きで、室内ではキャットタワーの上部で過ごすことが多いでしょう。人や他猫とのコミュニケーションを好むことから、ムードメーカー的存在ともいえますね。
サイベリアン
サイベリアンはロシアの土着猫であり、主にネズミ退治を目的として飼育されてきました。体重はオスが6.5~9kg程度、メスは4.5~7kgですが、大きいオスでは10kgを超えることも。全体的に丸くがっしりとした体形で、丸い瞳とまっすぐなしっぽが特徴です。
サイベリアンは温和で愛情深く、辛抱強い性格です。テリトリー意識が強いため、見知らぬ人や猫にはやや慎重に接しますが、味方と判断すると途端に甘える可愛らしさもあります。
また、サイベリアンは水を怖がらない猫として知られています。一般的に猫は水に濡れるのを嫌がりますが、サイベリアンの場合はみずから水の中に飛び込んで、魚を獲ることもあるのだとか。犬のように簡単な芸を覚えるなど、猫には珍しい特徴が多いのも魅力のひとつといえるでしょう。
ラガマフィン
ラグドールを直系祖先に持つ猫が、ラガマフィンです。ラグドールを作出したブリーダーのもとから独立した愛好家が新たに生み出した猫種であり、体重はオス6.5~9kg程度、メスは4.5~7kg程度と、サイズもラグドールとまったく同じ。
見分けがつきにくい2つの猫種ですが、白をベースとした毛色をもつラグドールと違い、ラガマフィンには毛色の規定がないため、豊富なカラーバリエーションがあります。
ラグドールと同じく、性格は穏やかで優しく、「猫のテディベア」と呼ばれるほど、落ち着いた気質を持っています。闘争心がほとんどないため、飼い主はもちろん、先住猫や小さな子供とも仲良くできるでしょう。好奇心旺盛で遊び好きな一面もあり、おもちゃにも機敏に反応します。
大きい猫を飼うときの注意点
抜群の存在感をほこる大型猫。「猫と暮らすのは初めてだけど飼ってみたい」「大型猫と暮らすのが夢」という方も多いでしょう。大きい猫との生活はとても楽しいものですが、身体が大きいぶん飼育には苦労や手間がかかることも。
ここでは、大きい猫を飼うときの注意点や心構えについて解説します。お互いが不幸にならないためにも、大型猫を飼う際は十分に理解しておいてくださいね。
通常の大きさの猫よりお金がかかる
猫を飼うとなると、食費・医療費などさまざまな費用がかかりますが、大型猫の場合は通常の大きさの猫よりも多くのお金が必要です。トイレやキャリーケース、ケージなど、通常サイズでは窮屈なことが多いため、大きめサイズのものを用意する必要があるでしょう。
また、動物病院で処方される薬は体重に比例した量で計算されるため、通常サイズの猫よりも高くなります。万が一大きな病気や怪我をした際の治療費についても、きちんと想定しておきましょう。
栄養豊富な食事を用意する
大きい体を健康に維持するためには、栄養バランスの整った良質な食事が必要です。大型猫は骨や関節に負担がかかりやすいため、毎日の食事で丈夫な体作りを意識することが大切。消化しやすい工夫がされているものや原料にこだわっているものなど、猫の健康に配慮された食事を選びましょう。
大きいキャットタワーを用意して補強を行う
室内にキャットタワーを設置するときは、できるだけ大きく安定感のあるものを選んでください。大型猫は通常の猫より2~3倍も体重があるため、キャットタワーも重量のあるものが必要です。大きい猫が飛び乗ってもグラつかない、最低10kg以上の耐荷重があるものを選びましょう。
なお、キャットタワーをそのまま設置しただけでは、転倒の危険があります。天井に突っ張り棒を入れたり、丈夫なロープで天井や重い家具に固定したりなど、必ず補強するようにしてくださいね。
ブラッシングなど抜け毛対策は必須
身体が大きいぶん、大きい猫の抜け毛量はかなり多め。猫種によっても違いますが、大型猫のほとんどは長毛種のため、更に抜け毛の量は多くなります。毎日こまめにブラッシングをして、月に1回程度はシャンプーで抜け毛を取り除くと良いでしょう。
なお、抜け毛を放っておくと毛が固まって毛玉になったり、毛づくろい際に大量の毛を飲み「毛球症」を起こしたりする可能性があります。特に春と秋に訪れる換毛期では、普段とは比べ物にならないほどの毛が抜けるため、より注意が必要です。
運動不足で肥満にならないようにする
個体差はありますが、大きい猫は運動量が少ない場合が多いです。そのため、運動不足による肥満を起こしやすく、一度太ってしまうとなかなか痩せられません。
肥満は関節に負担をかけるため、食事量には十分気を付け、肥満にならないよう注意しましょう。猫じゃらしや猫用ボール、障害物などを使って、猫の運動量を増やす工夫も大切です。
まとめ
大型猫には、堂々とした風格と優雅な毛並み、どっしりとした力強さがあります。性格は穏やかで優しく、甘えん坊な子が多いのも、大型猫の大きな魅力といえるでしょう。
抜群の存在感で飼っていて楽しい猫である一方、通常サイズの猫と比べると手間と費用はそれなりにかかります。注意すべきポイントも多いため、迎える際はよく検討し「こんなはずじゃなかった…!」ということがないようにしてくださいね。