猫の脳梗塞とはどんな病気?
脳梗塞とは脳の血管が何らかの理由により詰まってしまう病気の事です。
脳梗塞が起こる仕組み
脳機能に障害を起こす『脳血管疾患』で最も良く知られているのが『脳卒中』でしょう。脳卒中は発症の過程により次のように分類され、脳梗塞もその中の一つです。
- 脳梗塞…脳へ血液を送る血管が血栓で詰まり、脳の一部が壊死する
- 脳出血…脳内の細い血管が破れて脳の表面に血液が広がり、脳を圧迫したり破壊したりする
- くも膜下出血…脳の太い血管にできたコブ(動脈瘤)が破裂して脳の表面に血液が広がり、脳を圧迫したり損傷したりする
脳卒中の中でも特に発症数が多い脳梗塞では、血の固まり(血栓)が血管を塞ぐことで、その先の脳へ酸素や栄養を届けることができなくなります。結果、脳の一部が壊死してしまい、様々な障害を起こすのです。
猫が脳梗塞になる原因
人間では3大生活習慣病に数えられるほど対象者が多い脳梗塞を含む『脳血管疾患』。運動不足や喫煙、飲酒などが大きな原因とされています。他にもストレスや寝不足、加齢、肥満なども要因として挙げられます。では、お酒やたばことは無縁の猫が脳梗塞になる主な原因とは何でしょうか。
猫の脳梗塞で考えられる原因
猫の脳梗塞の原因ははっきりとは解明されていませんが、基礎疾患が原因である可能性が指摘されています。また、高齢の猫の方が発症しやすい傾向にあります。
猫の脳梗塞の症状
脳梗塞の症状は突然起こることが特徴です。脳が損傷を受けた部分により症状は異なりますが以下のような症状が見られたら脳梗塞が疑われます。
- 麻痺や痙攣を起こす
- 意識がなくなる
- 普通に歩行できない
- 嘔吐する
- 旋回などの行動異常をとる
- てんかん発作を起こす
急激に症状が進行すると意識を失って、そのまま命を落とすこともあります。
猫の脳梗塞の診断と治療方法
猫の脳梗塞の検査方法
猫の脳梗塞は次のような検査を行い診断します。これらの設備がない病院もあるので、予め病院の設備について調べておく必要があります。なぜなら脳梗塞は一刻も早い診断・治療が重要だからです。
- MRI検査
- CT検査
- X線検査
猫が脳梗塞になったときの治療方法
脳梗塞の治療は、主に脳へのダメージを防いだり、低酸素状態を改善したりするために行われます。
主な治療方法
- ステロイド剤の投与
- 酸素吸入
- 輸液、利尿薬などを投与
猫の脳梗塞後の後遺症とリハビリ
猫の脳梗塞の後遺症
脳梗塞を発症しても、発見が早く処置が適切に行われれば軽度の症状で済み、回復して元気になる可能性があります。しかし、重度の脳梗塞の場合、歩行障害や飼い主の顔がわからないなどの認知障害が残ることもあります。後遺症は、その後の生活に大きく影響するため、飼い主さんにとって大変深刻な問題です。
脳梗塞後の猫のリハビリは必要?
猫が脳梗塞になった後歩行障害や長期の入院などで歩かないでいると、猫は筋力が衰えてしまいます。寝たきりにならないためにもリハビリで筋力を回復させることが大切です。
猫のリハビリはどこでやるの?と思われる飼い主さんも多いと思いますが、実は犬に比べて猫のリハビリメニューが充実している病院はあまり多くありません。
普段から散歩などで歩くことを習慣にしている犬に比べて、猫はリハビリが必要ないと考えられているのでしょう。
しかしリハビリを行うのと行わないのとでは、体の機能の回復は全然違ってきます。脳梗塞による歩行障害などが残ったら、ぜひともリハビリをしてあげてください。
猫におすすめのリハビリメニュー
- マッサージ
- 関節や筋肉を動かす運動
- 簡単な運動
- 物理療法
家でも簡単にできるのがマッサージです。リンパの流れや血行を良くし、筋肉をほぐす効果も期待できます。
本格的なマッサージは素人が行うと逆効果になることもあるので、家では優しく撫でる程度でよいでしょう。
猫は犬のように人間の命令に従うことが難しいので、犬のような歩行訓練は現実的ではありません。家で運動させるなら、おもちゃで遊ばせるなど工夫が必要です。
物理療法とは電気や超音波などの機械を使って行うリハビリです。専門の機械が必要なので病院で行うのが一般的です。
まとめ
- 猫の脳梗塞は基礎疾患が原因と考えられる
- 猫が脳梗塞になると麻痺や痙攣を起こす
- 意識がなくなる
- 普通に歩行できない
- 嘔吐する
- 旋回などの行動異常をとる
- てんかん発作を起こす
突然発症する脳梗塞は人間であっても、命に関わる恐ろしい病気です。体調不良を訴えることができない猫の場合は定期的に健康診断を受けるなどして予防することが大切ですね。
早い段階で治療を受ければ、ほとんど障害が残らず元気に回復することもありますが、症状が進行すると、脳の損傷により重い障害が残り、死に至るケースもあります。脳梗塞を繰り返した場合、余命に影響する可能性もあるでしょう。
猫の脳梗塞の原因は、はっきりとはわかっていませんが、脳障害を起こさないためには人間同様健康的な生活を送ることが基本です。適度な運動をさせ、栄養バランスの良いフードを食べさせるようにしましょう。
脳梗塞になって、もし後遺症が残っても猫は大切な家族です。回復を目指してリハビリし、ずっと寄り添って励ましてあげたいですね。
40代 女性 かな
はじめの症状は、少しよたるのと、よだれが出ることと、食欲不振で嘔吐を繰り返していました。なんだかおかしいので、獣医さんに診ていただくとやはりくも膜下出血で、手遅れだといわれました。ですから、余生を我が家で過ごさせてあげることにしました。猫ちゃんは、喜んでいました。他の兄弟猫も待っていましたし、家族で最後を看取りました。とても、穏やかな顔をしていました。