猫を飼うのにかかる費用はどのくらい?
猫を飼いたいと思った時に気になるのは「猫を飼うにはいくらかかるのか?」です。
毎日の食事や、日用品や消耗品、万が一の医療費など思った以上にお金が必要になるため、飼う前に把握しておくことはとても大切です。
そこで今回は、猫を飼うのに必要なお金について、初期費用、1ヶ月の費用、一生にかかる費用などを解説します。
猫の平均寿命に合わせて一生にかかる費用を考える
猫の平均寿命はご存じですか?2021年の調査によると15.6歳、10年前に比べ寿命は1. 3歳延びています。また、完全室内飼いの飼い主さんは82.6%、室内飼いの猫の平均寿命は16.2歳とさらに長いと言われています。
安全な飼育環境に加え、獣医療の進歩とともに、さらに猫の寿命が延びる可能性があります。猫の一生にかかる費用を考える上でとても重要なことです。
猫を初めて飼う時にかかる初期費用
初めて猫を飼う時にかかる初期費用について、猫に必須なグッズや、あると便利なグッズの平均費用を紹介します。初期費用の中には猫そのものにかかる費用は含まれていません。
猫に必ず必要な物の費用
キャットフード:500円~
毎日の主食として与える総合栄養食のキャットフードには、必要な栄養素が全て含まれています。水とキャットフードだけで栄養摂取ができるので、手軽に与えることができ、一袋500円~と種類も豊富です。
主食のキャットフード以外にも、猫缶やウェットフード等のおやつにかかる費用は、月800~1,000円程度です。
猫用トイレ・猫砂、ペットシーツ:2,000~3,000円
猫用トイレには、スタンダードな箱型で、猫砂を入れるタイプ、すのこの上に猫砂と下の引き出しにペットシーツを敷くシステムトイレタイプなどがあります。
また、砂の飛び散り防止用にトイレの上部にカバーがあるものや、猫が上から出入りする形のトイレなどさまざまなタイプがあります。
自動で排泄物を片づけてくれるタイプもありますが、50,000円以上と高額になります。
キャリーバッグ:3,000円~
動物病院に連れていく時など、お出かけする時に必要になります。ハードタイプのプラスチック製、ソフトタイプの布製、肩掛けタイプやリュック型などさまざまなタイプがあります。
ファスナーを開くと拡張できるものや、外の景色が見えやすいように透明窓がついたりメッシュ素材など、猫への負担軽減を考えたり、成長しても問題のない大きさを選ぶのがおすすめです。
爪とぎ:1,000~3,000円
爪とぎは猫の本能なのでやめさせることはできません。迎え入れる前に準備しておくことで、猫のストレス解消にも役立ち、室内の壁や家具への傷つき防止にもなります。
ダンボール製や麻、カーペット、木材などの素材や、縦置きやポール型、横置きやベッド型などバリエーションも豊富です。消耗品なので安価なものがおすすめですが、愛猫の好みに合わせて変えてあげることも大切です。
猫用食器(フード用と水用):各500~1,500円程度
フード用とお水用の食器は、愛猫の大きさを考慮して食べやすい高さのものを選ぶことが大切です。
適切な高さにすることで食べやすい姿勢になり、吐き戻し防止になります。食べこぼしに配慮した形状の食器などは、日々のストレス軽減にもつながります。
食器そのものに高さがあるタイプや、高さや角度調節のできるスタンドもあります。
ブラシ:1,000円~
猫の抜け毛除去だけでなく、マッサージ効果や猫とのスキンシップなど、ブラッシングはこまめに行うことで体調管理にもつながります。
ラバータイプやスリッカーブラシ、獣毛ブラシなど用途によってさまざまな種類がありますが、短毛や長毛など毛質に合わせたブラシを選ぶだけでなく、愛猫の好みを重視して気持ちよくブラッシングできるものを選ぶことが大切です。
おもちゃ:300円~
猫は1日中家の中で過ごすため、ストレスや運動不足の解消にもなるおもちゃは重要なアイテムです。
誤飲の恐れのある小さいものや、噛みちぎってしまうタイプのものは注意しましょう。猫によって好みははさまざまなので、いくつか購入してお気に入りを見つけてあげましょう。
あると便利な物にかかる費用
キャットタワー:10,000円程度
猫は高いところに上ったり下りたりする上下運動を好みます。また、本能で外敵から身を守れる高いところが安心できる場所でもあるようです。運動不足の解消にも役立つので、部屋の広さや予算に余裕があれば購入をおすすめします。
ケージ 10,000円~
来客時や掃除の時などの避難場所、脱走防止やお留守番の時のいたずら防止など、生活環境によってあると便利です。
ケージ内に食事やトイレも設置できるので、環境に慣れてない時などにも安全な猫の空間を作ることが可能です。2段式、3段式、サークル型などがあり、部屋の広さや用途によって形やサイズを選ぶことができます。
猫用ベッド:3,000円~
猫は状況によって寝る場所を変える習性があるので、必ず必要ではありませんが、あると便利です。やわらかい布製や、籐製のカゴ、わらでできた猫ちぐらなどさまざまなものがあります。
タオルや毛布、ダンボール箱の中を好む子もいるので、愛猫の好みを確認した上で揃えても遅くはありません。
爪切り:1,000円程度
愛猫の爪を自分で切りたいという人におすすめです。人や猫自身のケガ防止や、カーテンやカーペット、壁や家具へのキズ防止にもなります。
猫は日々の爪とぎで古い爪を剥がして新しい爪に変わるため、動物病院などに連れて行って切ってもらうのが大変な場合に1つ持っていると便利です。ただし、爪切りを嫌がる猫が多いので、暴れて猫自身がケガをしたり、飼い主さんがケガをしないよう無理せず、十分注意しましょう。
リード付き猫用ハーネス:1,000円~
散歩をしない猫に必要なの?と思うかもしれませんが、災害時などもしもの時に装着させることで、脱走防止などにも役立つので、あると安心できるアイテムです。
避難所で過ごさなければいけないこともあるかもしれません。そんな時リード付きのハーネスがあるとケージの外に出しても行動範囲を制限できて安心です。普段から慣らしておくといいですよ。
迎え入れてすぐの健康診断や去勢・避妊手術の費用
健康診断:5,000円~
健康診断にはさまざまな検査項目がありますが、基本的な検査項目は、身体検査・尿検査・便検査・血液検査や、糞便検査、血液検査で、動物病院によって費用はまちまちですが、5,000~10,000円が目安です。
その他には、お迎え直後に受けたい検査として感染症検査、遺伝子検査がありますが、これらの検査はペットショップやブリーダーなどで検査済みの場合もあります。
去勢手術:5,000~20,000円程度
オスの場合、去勢手術では5,000~20,000円が相場となっています。このほか、麻酔の費用や入院費用などが必要なケースもあります。費用は動物病院によって大きく変わることもあるので、事前に問い合わせて確認しましょう。
避妊手術:10,000~30,000円程度
メスの場合、避妊手術で卵巣のみを摘出する場合、手術にかかる費用の相場は10,000~30,000万円。卵巣と子宮を摘出する場合の費用は、10,000~40,000が相場です。のほか、麻酔の費用や入院費用などが必要なケースもあります。費用は動物病院によって大きく変わることもあるので、事前に問い合わせて確認しましょう。
猫の避妊手術・去勢手術に助成金を用意する自治体もあります。自治体によって異なりますが、3,000~5,000円程が一般的なので、お住まいの地域の市町村役場で助成があるか確認してみましょう。
初回のワクチンは子猫も成猫も2回必要
ワクチン接種費用:3,000円~
ワクチン接種は、生後2~3ヶ月の段階で1回目を、その1ヶ月後に2回目を行い、成猫になってからは年に1回の追加接種が推奨されています。
猫用のワクチンは、病気を予防する複数のワクチンを組み合わせた「混合ワクチン」で、3種混合(猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症)~5種混合(3種混合ワクチンに猫白血病ウイルス・猫クラミジア感染症)の種類があります。また猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)のワクチンは、混合ではなく単独で接種する必要があります。
費用は動物病院によって異なりますが、3種混合で3,000~5,000円程度、5種混合で5,000~7,500円程度が一般的と言われています。
猫との暮らしで1ヶ月にかかる費用
猫の1ヶ月の暮らしにかかる費用は、フードやトイレ周りのほかに、光熱費も考える必要があります。さらにペットの保険料や医療費などをご紹介します。
フード・消耗品・光熱費
キャットフード(主食+おやつ):4,500円程度
一般社団法人ペットフード協会「令和3年 全国犬猫飼育実態調査」によると、1ヶ月あたりの猫の主食フードとおやつの平均金額をあわせると4,500円程度です。
主食のキャットフード以外に、猫缶やおやつなどは、なかなか食べてくれない時の水分と栄養補給の代わりにもなり、スキンシップやしつけのご褒美にも使えます。おやつ代の平均は800~1,000円程度です。
猫砂:1,000~1,500円程度
猫砂には、おしっこをすると固まり色がかわるタイプの一般的な猫砂と、おしっこを吸収せずすのこ下のペットシートに通すシステムトイレ用と大きくわけて2種類があります。
一般的な猫砂は10~15Lで1,000~1,500円。システムトイレ用の猫砂は1ヶ月あたり約1,000円です。
交換のタイミングや猫砂自体の仕組みに違いはありますが、どちらのタイプも1ヶ月の価格にほとんど差はありません。
ペットシーツ:300~500円程度
システムトイレ専用のペットシーツの1ヶ月あたりの費用です。吸収力・消臭効果も高く、1枚で1週間ほど使用可能でなので、思っているより費用はかかりません。
消臭剤:300円程度
猫のおしっこ臭が気になる時に使う置き型の消臭剤やスプレーです。スプレーは日々の使用量によって変わりますが、置き型タイプは2~3ヶ月程度の使用が可能です。
光熱費:5,000円程度
室内で過ごす猫の健康維持のためには、エアコンや暖房器具などによる室温管理は大切です。夏場は27~29℃、冬場は23~25℃を目安に調整すると良いと言われています。夏冬の電気代やガス代は、人間の暮らしにかかる費用に、5,000円程度プラスして考える必要があります。
駆虫薬やワクチンなどの予防医療費も計算しておく
駆虫薬(ノミ、マダニ、フィラリアなど):約1,500円
駆虫薬は、動物病院で行う場合は1,500円程度、自宅で行う場合は800円程度かかります。動物病院にお願いするのか、自宅で行うのか等も含めて、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
ペット保険に加入する場合は月々の費用が増加する
ペット保険料:2,000円程度
ペット保険料は月々平均2,000円程度です。保険会社によっても異なり、猫の年齢や加入するプランによっても費用は大きくかわります。
病気やケガなど万が一の時に治療費の心配が少ないので、保険内容や月々の費用を把握して、愛猫にあったプランに加入することをおすすめします。
猫を一生飼い続けるためにかかる費用
猫自身の一生にかかる費用と、飼い主さんが猫の面倒をみられない状況になった時の、費用の備えについて解説します。
飼い主さんが一人暮らしで、急な体調不良で猫の面倒をみることができないなんて状況になる可能性も。近くに頼れる家族や友人が必ずいるとも限りませんので、今一度考えてみましょう。
猫の一生にかかる費用の平均金額
一般社団法人ペットフード協会「令和3年 全国犬猫飼育実態調査」によると、医療費を含む猫の生涯必要経費の平均金額は、1,535,678円です。(猫の平均寿命で15,6歳とした場合)
猫を迎え入れる際、15~6年かけてこれだけの費用が最低必要になることを心に留めておくことと、長ければ約20年という月日を過ごしていくという心構えも大事です。
猫の病気やケガの治療費が必要になることもある
猫の食事や日用品などについてはおおよその金額を把握することができますが、今後どのくらいかかるのか予測が難しいのが医療費です。
老猫になると、腎臓病や悪性腫瘍などのリスクが高くなる傾向があります。年齢とともに急な病気やケガの治療費が必要になることも想定し、若いうちにペット保険に加入したり、万が一の貯金をするなども考えておくことが大切です。
飼い主の万が一の事態に備えた費用も準備しておく
飼い主さん側に万が一何か起きた場合の費用を備える必要もあります。
一時的なケース
一人暮らしの飼い主が病気やケガになってしまった場合、猫をペットホテルなどに預けなくてはならない状況になることもあります。また、自宅でペットシッター等をお願いすることもあるでしょう。
永続的なケース
飼い主さんと一緒に入れるペット可の高齢者施設や、猫自身に介護が必要な場合、飼い主さんが長期入院などで面倒がみれなくなった場合に、老猫対応のホームに預ける費用が必要になります。
通常かかる費用とは別に、万が一のことを考えて備えておくことは、家族として迎え入れる覚悟とともにとても大切なことです。
まとめ
猫を迎える前に考えなければならない猫にかかる費用をご紹介しました。
猫の平均寿命は15年以上、長ければ20年余りの月日を過ごすのです。猫の生涯かかる費用に対する心構えとともに、猫の一生を預かり、最後まで面倒をみることをくれぐれも考えてから家族に迎えることを忘れないでください。