猫は病気の時にも「ゴロゴロ」と喉を鳴らす

猫は病気の時にも「ゴロゴロ」と喉を鳴らす

猫ちゃんがゴロゴロと喉を鳴らしているのをみると、リラックスしているのかな~、とこちらも嬉しい気持ちになったりしますよね。しかし、猫ちゃんがゴロゴロと言うのはリラックスしている時だけではないって知っていましたか?実は病気の時にもゴロゴロと喉を鳴らす場合があるのです。猫ちゃんが喉を鳴らす病気の種類や理由についてまとめていきたいと思います。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫が病気の時ゴロゴロ言う理由

リラックスする猫

猫ちゃんがゴロゴロと喉を鳴らす時というのは、一般的に嬉しい時や落ち着いている時、甘えている時などが考えられますよね。しかし、それ以外の時にもゴロゴロと喉を鳴らす場合があります。

自分自身を落ち着かせようとしている

猫ちゃんが鳴らすあの「ゴロゴロ」と言う音は、治癒促進効果や痛みを和らげる効果があります。そのため、病気や怪我によって痛みを感じている、それにより苦痛を感じている時、猫ちゃんはあのゴロゴロ音を出して自分自身を落ち着かせ、痛みや苦しみを和らげようとします。

死期が近い

死期が近いと、鎮痛作用のある脳内麻薬が無意識のうちに放出されて、ゴロゴロと喉を鳴らすことがあります。病気で弱っている猫などが急に喉を鳴らしたりするとお別れの時が近づいているといわれています。必ずこのような状態に当てはまるわけではありませんが、しっかり様子は見てあげましょう。

飼い主さんに訴えている

猫ちゃんのゴロゴロ音は、本来母猫とのコミュニケーションを図るために出されるものです。
しかし不思議なことに、猫ちゃんはゴロゴロという音はほとんど聞こえていません。猫ちゃんにとってあのゴロゴロ音は、かなり聞き取りづらい周波数なのです。

それではどうやって母猫とコミュニケーションを図っているのかというと、ゴロゴロと喉を鳴らすと僅かに揺れますよね。あの振動を利用して母猫に「ここにいるよ、元気だよ」と伝えているのです。

このように、飼い主さんに対しても何か伝えたいことがある時に喉をゴロゴロと鳴らすことがあります。

痛い、苦しい、助けてほしいと言った意味がある可能性もありますので、猫ちゃんの表情をよく観察し、ふだんより顔がこわばっている、ふだんと比べて様子がおかしい、と感じたらすぐに病院に連れていって、少しでも早く痛みや苦しみを和らげてあげましょう。

猫のゴロゴロは他の動物の病気も癒す

猫と犬

猫ちゃんが自分自身を癒すために出すゴロゴロ音は、なんと他の生き物の治療にも役立っているのですよ。

骨折の治療に効果がある

猫ちゃんは骨折の治りが早いという説があるのをご存知ですか?
猫ちゃんが鳴らすあの喉のゴロゴロは、25~150Hzの周波数だと言われています。試しにその周波数に近い15~50Hzの超音波をウサギの骨折の治療に使ったところ、治りを早めたという実験結果が出ているのです。

このことから、私たち人間の骨折の治療にも利用できる可能性は十分にあると考えられています。

癒しの効果

風邪をひいて寝込んでいる時、ストレスが溜まっている時、嫌なことがあってイライラしている時に、猫ちゃんが鳴らす喉のゴロゴロ音を聞くと心が落ち着いて楽になった経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

怪我の治療に役立つほどのチカラをもつ喉のゴロゴロは、副交感神経を優位に立たせ、身体をリラックスさせる効果も持っているのです。

このゴロゴロ音による効果は、ストレスの軽減、疲労回復、免疫力アップ、ホルモンバランスを整える、血圧を下げるなどなど…、こんなにたくさんの良い働きがあるなんて本当に驚きですよね。

フランスでは猫ちゃんのゴロゴロを治療の一部として使い、「ゴロゴロ・セラピー」という名前のリラクゼーションまであるほどなんですよ。
日本でも、アニマルセラピーで猫ちゃんに癒されて寿命を延ばすというものがありますよね。

猫のゴロゴロ音がおかしい病気

病気の猫

猫ちゃんから聞こえるゴロゴロ音、いつもと少し違う?と感じたら、それは病気によるゴロゴロなのかもしれません。

猫風邪

猫ウィルス性鼻気管炎症、猫カリシウィルス感染症、クラミジア感染症、これらを通称猫風邪といいます。

この猫風邪にかかると、鼻からゴロゴロとイビキのような音が鳴ったり、時折「ガハッ」っと痰が絡む、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、咳、発熱、目ヤニ、食欲減退、元気がないなど人間の風邪と似たような症状が多くみられたりします。

放っておくと肺炎など様々な合併症を引き起こし、最悪命を落としてしまうこともあるので、決して人間の風邪と同じにして甘くみてはいけません。

肺炎

呼吸が荒い、鼻水、鼻詰まり、元気がない、鼻からゴロゴロと音がする、ゴロゴロ音がおかしいなどの症状がみられる場合、肺炎にかかっている可能性があります。
肺炎は重症化すると命に関わるとても危険な病気です。

喘息

喘息にかかると、猫の呼吸が早い、苦しそう、ゴロゴロ音がおかしい、時々咳き込むなどの症状がみられます。
肺炎の症状とも似ています。レントゲンを撮ると肺の異常で心臓の位置がズレ、それにより喘息が分かるケースもあります。免疫力が落ち、二次感染で肺炎を併発してしまうこともあるので油断は禁物です。

まとめ

窓際で寝る猫

猫ちゃんが鳴らす喉のゴロゴロと言えば、猫ちゃん自身の喜びの表現だけではなく、実際に治療に一役買ってくれることや、コミュニケーション、リラックス効果などとても良いイメージがあるので、病気と関わりがあるかもしれないなんて思いもよりませんよね。

猫の体調が悪い時は、ゴロゴロ音がおかしいのに伴い、元気がなくなったり、鳴き声が変だったりと様々な変化がみられます。

もしかしたらゴロゴロと喉を鳴らして飼い主さんに何かを訴えている可能性もあります。少しでもいつもと違うと感じたら、猫ちゃんの様子をよく観察し、病院に連れて行ってあげましょう。

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