猫が「ごめん寝」で寝る理由とは?かわいい寝方に隠された注意点

猫が「ごめん寝」で寝る理由とは?かわいい寝方に隠された注意点

猫のかわいい寝方「ごめん寝」とはなにか、なぜ「ごめん寝」で寝るのかについて解説しました。飼い主さんに覚えてほしい注意点もいくつかありますので、ぜひチェックをして今後の愛猫との生活に役立てましょう!

猫の「ごめん寝」とはどんな寝方?

目を隠す猫

今回は猫の特徴的な寝方のひとつ、「ごめん寝」について詳しく解説します。

実は同じ寝方でもごめん寝以外にも呼び名があるのはご存じですか?飼い主さんの中には呼吸ができているのか心配に思うかたもいらっしゃいますよね。

まずはこのような「ごめん寝」の基本から少しずつお話していきます。

猫が伏せをして前足や床面に顔をうめて寝る姿

いわゆる土下座をしてごめんねとあやまっているようにみえる寝姿です。顔を手や床におしつけて頭のてっぺんがよく見える状態になっています。手の位置はさまざまで顔の下だったり体の中に折りこんでいたり、猫によってバラバラです。

ごめん寝の姿にバリエーションがあるので、ぜひ一度「ごめん寝」で画像検索してみてください。多くの飼い主さんが投稿したごめん寝姿の猫がたくさんみれますのでおすすめです。

さらに、同じ寝姿でも「ごめん寝」以外の呼び方が多くあります。

  • ごめん寝コ
  • 土下座寝
  • すまん寝

などとひねりもありつつ特徴も捉えていて呼びやすい名前です。やはりどの名前も「謝罪」の意味が含まれていますね。

ごめん寝で寝ていても窒息する心配はない

香箱座りの体勢のまま顔全体をおおって寝ているためとてもかわいくみえる反面、息はしっかりできているのか不安になる飼い主さんもいますよね。健康な猫であれば息苦しいときに呼吸のしやすい姿勢に変えています。

人間も枕にうつぶせになって寝ても、自然と寝返りをうって調節していますよね。同じようなイメージで、猫も息苦しくないように自然に調節していますので窒息の心配はありません。安心してくださいね。

中にはまったくごめん寝をしない猫もいますが、愛猫がごめん寝の体勢で寝ないからと心配しなくて大丈夫です。

ごめん寝で寝る、寝ないは猫の個体差によるところが大きいため、必要性を感じていない場合や、単に好みの寝方ではないというだけですので、こちらについてもご安心ください。

猫がごめん寝をする理由

眩しそうにまるまる猫

ごめん寝で寝るのにはいくつか理由があります。実は「まぶしい!」「うるさいなぁ」などと思っている可能性が高いです。さらに寒さを防ぐのに適した寝方でもあるため、寒さを感じている場合もあります。

しかしリラックスの延長でそのまま寝てしまった姿がごめん寝だった場合も考えられます。このようにストレスを感じている場合とリラックスしている可能性どちらもあります。

次では詳しい理由についても一緒にまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。

室内の光がまぶしくて遮りたい

猫は眠いときにまぶしいと感じるとごめん寝をします。実は猫の目には人間にはない「タペタム」が網膜の後ろにあります。タペタムとは、たくさんの光を反射するための反射板のようなものです。

人間の目は光を吸収しますが、猫の目はタペタムに反射した光が網膜に届くことによって視野が明るくなります。この効果のおかげで猫は真っ暗な夜でも歩くことが可能です。

フラッシュ付きで写真を撮ったときや車のライトで猫の目が光って見えた経験はありませんか?あれがタペタムの効果によるものです。

さらに猫の目は人間の目とくらべると7分の1の光の量で問題なく活動できるため、人間にあわせた室内の光は思っている以上にまぶしく感じています。

目をつぶるだけでは感じてしまう光を防ぎながらも、明るい部屋で寝る必要があるときにはごめん寝の体勢で寝ているのです。

周囲から聞こえる音がうるさい

猫は視力以上に聴覚が優れていて、その能力は人間の4倍といわれています。眠たいけれど周囲がうるさいとき、耳のいい猫はそのまま眠ることができません。

しかし耳が下向きになるごめん寝なら、音を遮断しながら寝るのにぴったりな体勢です。また、猫の聴力はどれほどなのかというと、獲物のかすかな動きや鳴き声を聞き分けて狩りに役立てられるほど優れています。

寝ていたと思ったらむくっと起き上がって意識を外に集中しているなんて姿見たことありませんか?そんなときは私たち人間には聞こえないかすかな音をキャッチして危険がないか様子をうかがっているのです。

音を遮断するためにごめん寝の体勢で寝ていたのに、なぜ猫はかすかな音に反応して起きられるのでしょうか?それは猫の眠りのほとんどが浅い眠りだからです。

猫は人間と同じように浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」を交互に行っています。しかし猫には狩りをしていた時代の本能がきざまれているので、寝ている間も敵の気配をキャッチできるように睡眠の80%が浅い眠りの「レム睡眠」です。

猫の睡眠時間は平均で16時間、子猫やシニア猫では20時間程です。これだけ長時間寝ていますが、熟睡できている時間は3~4時間ほどしかないということです。

ちなみに警戒して寝る必要がない人間は猫と全く逆の睡眠サイクルで、睡眠の80%が深い眠りの「ノンレム睡眠」です。

ごめん寝の体勢で寝ている猫は、うるさいと不満を抱えながら熟睡をせずに寝ている可能性が高いと覚えておきましょう。

何となく眠くなった時に偶然伏せの姿勢だった

スフィンクス座りや香箱座りをしているときに眠くなってきてそのまま寝てしまうこともあります。

とくに前足を中に折りたたみ、すぐに動きだせる姿勢ではない香箱座りをしている猫の心理は、落ち着いていてリラックス状態にあることを意味しています。

くつろいでいたら気持ちよくなって寝てしまったんだろうなと想像すると、とても微笑ましくみえてきますね。

寒いので少しでも冷気を感じる部位をなくしたい

ごめん寝に近いくるりと丸くなって眠るアンモニャイトも、香箱座りと同じくリラックス状態をあらわしています。さらに寒さから身を守ろうとしている寝相です。

猫も人間と同じようにお腹を出していると体が冷えてしまいます。そのため寒い季節になると、体の熱を逃がさずにくつろいだり眠ったりできるごめん寝やアンモニャイトで寝る猫が増えます。

どちらの体勢も顔やしっぽを密着させて全身をぎゅっと寄せて眠っていますよね。より冷気に触れる部分を減らして体の熱を逃がさないようにしているのがわかります。

猫がごめん寝の姿勢で寝ている時の注意点

眩しそうにする猫

これまでご紹介した光や音の影響でごめん寝をしていたらすぐに対処してあげましょう。かわいい寝姿なので写真や動画のおさめる場面も多いと思いますが、その場合も光や音に注意が必要です。

また、ごめん寝に似た病気のサインもあります。見分け方を詳しく解説していますので、注意点とあわせて一緒に確認していきましょう。

光量や音量を落として睡眠環境を整えてあげよう

さきほどご説明した通り、ごめん寝をしている猫は「まぶしいよ!」「うるさいなぁ…」と思っている可能性が高いです。もしごめん寝の体勢で眠る姿をよくみかける場合は、猫の睡眠環境を見直す必要があります。

もともと猫は薄暗い環境を好む動物です。日中の明るい時間でも,、よりリラックスして寝てもらえるように薄暗く静かな場所に寝床をつくりましょう。

たとえば、猫がもぐりこめるタイプのベッドや箱を新しく用意してもいいですね。または現在使っているベッドを暗い場所に移動したり、ケージを使用しているなら上からタオルをかけて目隠しをしたり、工夫をこらすだけでも快適な寝床に変えることもできます。

また、音対策も考えてあげましょう。猫のリラックススペースはテレビやパソコンなどの音の出る製品や、人が多く通るドア付近から遠ざけてあげてください。

このように場所を移動するだけでも効果はありますが、普段使っている機器の音量を下げるとより快適な環境をつくることができますよ。

かわいい寝方につられて猫の睡眠を邪魔しない

ごめん寝の寝姿はとてもかわいいので写真におさめたくなりますよね。しかしカメラにはシャッター音とフラッシュ機能がついています。

眠りの浅い猫にとって写真撮影は負担になると覚えておきましょう。人間では気にならないようなかすかな音も聞きとってしまうので、もし写真におさめたいときは短時間で終わらせてくださいね。

ごめん寝に似た病気のサインでないかよく観察する

体調不良をあらわす行動に「ヘッドプレス(ヘッドプレッシング)」という、壁や柱に頭を押し付けて動かない状態があります。この姿がごめん寝に似ているため、万が一のためにも異変がないか観察してください。

たとえば

  • ぐったりとしている
  • ずっと隅にいて動かない
  • 普段しない動きを頻繁にする

などです。ヘッドプレスとあわせてこのような異変があったら危険な場合があるので、すぐに動物病院へ行きましょう。

まとめ

ごめん寝

「ごめん寝」で寝ている猫は光や音からストレスを感じている可能性があります。しかしリラックスをしていた延長でそのまま眠っているときもありますし、寒さを防いでいたり、楽な姿勢と感じていたりする猫もいます。

気になるときは室内にある猫の寝床環境を今一度チェックしてみましょう。ほかには猫に体調不良がなければ問題ありませんのでご安心ください。

飼い主さんが忘れたころに猫はごめん寝をするかもしれませんね。そんなときぜひ本記事を思いだして活用していただけたらうれしいです。