猫は死期が近づくと姿を消すって本当?
「猫は自分の死期が近づくと姿を消す」なんて話を聞いた事はありませんか?
猫に限らず、ほかの動物でも「死期が近づいた時に普通とは違う行動をとった」という話が多くあります。
また、ねこについても情報の多さから、死期を察した時に行動が変わる事があるのは確かなようです。
もし、前兆があるのなら愛猫が安らかに旅立てるようにお世話したり、お別れまでの心の準備をしたいと思う飼い主さんも多いかと思います。
今回はそんな疑問を検証すべく、「亡くなる間に愛猫がとった行動は?」というアンケート調査を実施いたしました。
「甘えるようになった」約3割を占め一番多い結果に
- 甘えるようになった 34%
- 寝る事が多くなった 20%
- 身を隠すようになった 18%
- 姿を消した 12%
- 大声で鳴いていた 11%
- その他 5%
アンケートの回答でもっとも多かったのは、「甘えてくるようになった(34%)」でした。
その他のご意見では「同居猫と距離を置くようになった」「いつもと変わりなかった」という声も。
それでは、それぞれの行動について詳しく見ていきましょう。
死期を悟った猫がとる行動
甘えてくるようになる
愛猫が亡くなる前の行動として最も多かったのは「甘えてくるようになる」でした。
実際に死期が近いと悟った猫は、飼い主さんに寄り添ったり元気な姿を見せようとしたりすることが多いとされています。
甘えた声を出したり抱きしめてほしいとねだったり、その行動そのものは様々ですが、いずれもそれらは「感謝の気持ち」や「飼い主さんへの愛情」を伝えようとしていると考えられています。
アンケート結果では、
「寝たきりだったが、ずっと腕枕をして欲しいと離れなかった。」
「具合が悪く入院していたが、今日が山かもしれないと言われ連れ帰ったら、ゴロゴロゴロゴロ甘えてきた。」
という声もありました。
寝る事が多くなる
次に回答が多かったのが「寝る事が多くなった」でした。猫は死期が近づくと食欲もなくなり、毛づくろいもしなくなったりととにかく活動する時間が激減することも珍しくありません。
なかには
「寝たきりだったが、最期の日だけは朝から元気だった頃の行動(私の出勤準備を見守り、玄関まで見送る)を取り、帰宅を待ち息を引き取った」
という経験をされた飼い主さんもいらっしゃるようです。
狭い所や暗い所に隠れるようになる
愛猫が亡くなる前にとっていた行動として18%の飼い主さんが「暗い場所や狭い所に隠れるようになる」と回答。
「TVの後ろや外に出て車の下など、私の手の届かない所に入ってしまった。」
「普段は行かないところとか、狭いところへ入り込む」
という声もありました。
猫は本来、体の痛みや不調を隠す習性があります。そのため、弱った体を守るためにも人目につかない暗くて狭い場所に隠れると考えられています。
姿を消す
「猫は死期が迫ると姿を消す」という言葉を聞いたことがある方は多いかもしれません。
12%の飼い主さんが愛猫が亡くなる前にとった行動として「姿を消す」と回答されています。
猫のこの行動の真意は未だ解明されていないものの、近年では「死期を感じて猫自ら姿を消しているのではない」という意見も。
体を回復させるために身を隠した場所でそのまま亡くなってしまうことで、「死期を感じて姿を消した」と飼い主の目に映るのではないかと考えられているのです。
お別れできなかった事を後悔する飼い主さんも
前述したように、猫は不調を感じると弱った体を外敵から守るためにひと目につかない場所に隠れる習性を持ちます。
こればかりは真相は謎のまま、猫のみぞ知る…なのですが、
「1匹は姿を消し、1匹は腕の中で亡くなりました。 姿を消した愛猫を未だ探してしまう自分がいたりします。」
と、最期を看取ることができなかった場合、死を受け止めるのが尚難しくなるという声もありました。
大声で鳴くようになる
愛猫が亡くなる前の行動として「大声で鳴くようになる」という意見もあります。これは、ただただ甘えたくて飼い主さんを呼んでいるだけの場合もあれば、病気や認知症などの症状が関係している場合もあるためその理由は一概にはいえません。
しかし、「抱き上げると鳴き止む」という猫ちゃんも多く、最期の力を振り絞って元気な姿を見せよう、飼い主さんの気を引こうとしていることが多いようです。
ポイント
「急に元気になる」「普段見せない行動を急に取るようになった」など、猫の行動に「急な変化」がみられた点が共通しています。
特に、老猫のねこちゃんを飼っている方は、普段の行動を良く観察して、お別れのタイミングを見落とさないようにしてあげましょう。
亡くなる直前に猫がする行動
【亡くなる直前のサイン】
- 呼吸が苦しそうになる
- 手足に力が入らなくなる
- お漏らしするようになる
- そわそわする
呼吸が苦しそうになる
死期が近づいている多くの猫に「呼吸障害」がみられます。
「舌を出して苦しそうに呼吸をしていた。」
「意識が無くなり、呼吸がゆっくりになり…時々身体を動かすけれど、口を開けて呼吸を始め、最期は眠るように息を引き取りました。」
という声もありました。
猫が口呼吸をするのは体調が悪い場合が殆どです。特に死期が近いと獣医師から診断されている場合、呼吸に変化が表れた場合はなるべく側を離れないようにしましょう。
手足に力が入らなくなる
「手足に力が入らなくなり、立てなくなり寝たきりになって数日で亡くなった。」
「一度出て行こうとして、体がおもうように動かず玄関で倒れてしまった。その後、甘えて来て膝の上でなくなりました」
と、体の様々な機能が失われていくなかで手足に力が入らず、思うように動くことができなくなることも珍しくありません。
そんな状態でも
「きついだろうに、家族それぞれの部屋に来てしばらく過ごしていた。必死に2階に上がる姿が忘れられない。」
「もう階段も登れないのに、二階の私の自室に挨拶に来てくれた。」
と、必死に力を振り絞って飼い主さんの側へ行こうとする行動をとる猫ちゃんもいます。
お漏らしするようになる
手足に力が入らず、思うように体を動かせなくなるとお漏らしをするようになることも。
「全く立てなくなって、排泄はオムツに失禁でした。3時間前から痙攣を繰り返して亡くなりました。」
「お漏らしをするようになり出したら、お風呂場に潜り込む事が多くなった。」
猫はトイレに関して神経質な子が多く、トイレ以外の場所で用を足す場合は何らかの原因があると考えなければなりません。なかには体を引きずるようにして懸命にトイレへ移動しようとする猫ちゃんもいるようです。
そわそわする
死期が近づいた時の様子として「そわそわする」「ウロウロする」など、とにかく落ち着きがなくなるという意見もあります。
「寝たきりのはずが、起き上がり、家の隅々まで見に行きました。確認するように。」
「他の猫達に甘えようとしていました。亡くなる15分程前に倒れてそのまま亡くなりました。」
「病院から帰って来てから、落ちつきなく、フラフラ、ソワソワしていた。」
などの声がありました。その理由は「家族への挨拶」「最期のパトロール」など、残された時間でできることを探しているようにも感じさせられますね。
まとめ
死期の向き合い方は千差万別
死期が近づいた愛猫の行動についてご紹介しました。「愛猫の最期」との向き合い方については、愛猫の性格や環境、飼い主さんの考え方などによって千差万別であっても良いと思います。
きっと、正解なんてものは存在しないのです。
愛猫との最後の時間「エンジェルタイム」を大切に
ただ、実際に愛猫との別れを経験されている方のお話を聞けば聞くほどに「エンジェルタイム」を大切にしなければならないという気持ちが強くなります。
このエンジェルタイムとは往診専門動物病院「わんにゃん保健室」の院長である江本宏平さんの言葉であり”死期を悟った愛猫と、飼い主さんの最期の時間”を指します。
愛猫と虹の橋のふもとで再会するまで、しばしの別れを告げるための大切な時間。エンジェルタイムをどのようにして過ごしたいのか、いつかくる別れのその時までに考えておきたいですね。