あらゆる動物を「感受性のある生き物」として扱う新法がスペイン下院で可決!
今月2日、「今後は動物を感受性のある生き物としてみなす」とする新たな法律が、スペインの下院で可決されました。
スペインでは今後、飼育動物、野生動物を問わずあらゆる動物がただの生物ではなく、「感受性のある生き物」として扱われることになります。
したがって夫婦が離婚したり別居したりする際も、犬や猫などのペットの保護や福祉を考慮せずに、どちらかが飼い主として勝手に連れて行くことができなくなります。
つまり人間の子供で言えば、勝手に親権を取り上げることができないのと同じ扱いということです。
動物に関する法的枠組みを改正する今回の新法はスペイン下院で圧倒的に支持され、反対したのは極右政党のVoxのみでした。
刑法だけでなく民法でも対象に
この新たな法律の制定に伴い、民法や不動産担保法・民事訴訟法なども改正され、ペットか野生かを問わずすべての動物に適用されるようになります。
これまで欧州法や地域行政法、スペインの刑法などでは、権利や利益を考慮しなければならない「感受性のある生き物」として動物をみなしていましたが、資産や家族、離婚などに関わる民法では動物を感受性のある生き物として扱っていませんでした。
このため、弁護士は離婚案件などで飼い猫や飼い犬の処遇といった特定の問題に対処する際の法的根拠を示せずにいました。
今後は民法でも、人間と同様に犬や猫をはじめとするペットの利益に配慮した決定が下されることになります。
「感受性のある生き物」とは?
2013年に発表された動物の感受性に関する論文「Searching for Animal Sentience: A Systematic Review of the Scientific Literature」によると、動物の感受性とは楽しみや喜び、痛みや恐怖を感じたり経験したりする能力であるとされています。
「動物にはポジティブなこともネガティブなことも経験する能力があり、これこそ動物福祉運動が起こり、動物保護法が存在する理由である」そうです。
ちなみに、先月は英国でも動物福祉法案の適用範囲が拡大され、感受性のある生き物としてイカやタコ、ロブスターなども追加されることが発表されました。
動物福祉の先進国が多いヨーロッパでは、動物を確実に保護するための法整備が各国で着々と進んでいるようです。