猫に対し思いやりと独創性のある貢献をした個人に贈られる「猫の福祉大賞」
2021年12月、米国ミネソタ州で障害を持つ猫を預かり世話をするクリス・カイザーさんが、名もなき英雄に贈られる「2021 Unsung Heroes Awards」の「AdvoCat of the Year(猫の福祉大賞)」を受賞しました。
この賞はペット用品メーカー「Arm & Hammer Cat Litter」が主催する賞で、猫に対する思いやりと独創性のある貢献が認められた動物福祉団体のスタッフまたはボランティア1名に贈られます。
カイザーさんが世話をしているのは、主に小脳低形成のような病気で運動機能に障害のある猫たちです。
小脳低形成の猫は、歩いたりバランスを取ったりすることは上手くできませんが、痛みを伴ったり伝染したりすることはありません。
そのため飼い主が通常よりも手間をかけて世話をすることができれば、幸せな生活を送ることができます。
カイザーさんは、「少し余計に手間はかかるものの、こうした猫はとても愛情深く素晴らしい絆を築くことができます」と言います。
創意工夫を凝らして障害のある猫をサポートする一人の女性
カイザーさんは、ミネソタのツインシティ周辺で子猫の保護活動を行う団体「Bitty Kitty Brigade」のためにボランティアをしています。
彼女が初めて障害のある猫の里親になったのは2016年のこと。「ロージー」「デイジー」「カルビン」という兄弟猫で、いずれも小脳低形成でした。
3匹をカイザーさんの自宅で預かったのはカーペットが敷いてあったのが理由です。
さらに彼女は、その後スロープや猫が食事中に転んだりしないように工夫を施した専用の食事台も使用するようになりました。
この3匹をとても気に入ったカイザーさんは、結局その後正式に家族として引き取ることにします。
その後さまざまな障害のある子猫を預かる
また、以降も様々な障害のある子猫を預かり世話をしてきました。
カイザーさんが現在預かっているのは盲目で小脳低形成の「ナタリー」と、前肢が不自由で平衡感覚がほとんどない「スナップル」です。
スナップルはまだ成長段階にあることからオーダーメイドの車いすを注文できないため、カイザーさんは他のボランティアスタッフと協力してパッドと車輪の付いた歩行器を作りました。
たいていの猫用車いすは後ろ肢が不自由な猫向けに作られているため、カイザーさんらが作ったこの歩行器は、まさにスナップルのためだけに作られた特注品。
カイザーさんによると、スナップルはとても明るく好奇心旺盛で、カイザーさんに構ってもらうととても喜ぶそうです。
「スナップルが満たされた生活を送るにはいくらか人間のサポートが必要なのです」と、彼女は言います。
SNSを最大限活用して障害のある猫たちの魅力をアピール
カイザーさんは一時預かりの子猫たちや自身の3匹の猫をSNSで紹介し、障害のある猫の生活が恥ずべきものではないことを示そうとしています。
カイザーさんの元には多くの愛猫家から声援のメッセージが届くそうです。
また、ソーシャルメディアで猫の写真を紹介すると、引き取り手が見つかりやすくなるという利点もあります。
実際、12月の初めには1組のカップルがわざわざハワイからスナップルに会いに訪れ、彼を正式に引き取ることを決めました。
受賞者の所属する福祉団体には多額の寄付金を授与
カイザーさんはこれまでの思いやりと独創性のある活動が認められ、今回「AdvoCat of the Year」を受賞することとなりました。
受賞賞金として、彼女がボランティアとして働く「Bitty Kitty Brigade」には1万5000ドル(約170万円)が寄付され、カイザーさんには猫たちのためにArm & Hammerの猫砂1年分が贈られます。
4万5000名もの応募者があった2021 Unsung Heroes Awardsですが、カイザーさんのほかに、ニューヨーク州に住むエリン・インシンガさんが「Compassion Award(思いやり大賞)」を、コロラド州に住むアシュレー・マズリンさんが「Creativity Award(独創性大賞)」をそれぞれ受賞しました。
この2人が所属する福祉団体にはそれぞれ7500ドル(約86万円)が寄付され、もちろん2人には猫砂が贈られます。
Arm & Hammer Pet Careのブランドマネージャーであるレベッカ・ブランク氏は、「受賞者をはじめ思いやりと独創性溢れる様々な方法で猫を助けようとする人々を称賛しています。
今回の受賞者カイザーさんも素晴らしいですが、海外には動物の福祉活動家を評価するこのような賞がたくさんあるのも素晴らしいところですね。