人を癒す優秀なセラピー猫の活動に密着

保護からの始まり

セラピー猫として活躍する3歳のスプートニクは3年前、生後3日の時に母猫から育児放棄され動物シェルターのNaperville Area Humane Societyに保護されました。

シェルターでは子供のいる別の母猫が、スプートニクを含む数匹の子猫の面倒を引き受けたそうです。

また、Naperville Area Humane Societyの猫を預かり世話をしていたソニア・ストワーズさんが、この母猫とスプートニクを含む6匹の子猫をまとめて世話することになります。

名付けのテーマは宇宙

ソニアさんは自分が世話をする猫に、いつも何かのテーマにちなんだ名前を付けていました。

今回は「宇宙」をテーマとして、6匹の子猫にそれぞれ「カッシーニ、アルテミス、ハッブル、スプートニク、アポロ、ジェミニ」という名前を付け、母猫はルナと名付けます。

好奇心旺盛で冒険好きなスプートニクには、この人類初の人工衛星の名前がぴったりでした。

スプートニクは、正式な里親を見つけなければならない時期になってもソニアさんのそばを離れたがらなかったため、結局ソニアさんのもとに留まることになります。

セラピー猫スプートニクの誕生

それから2カ月後、Naperville Area Humane Societyはペットセラピープログラムに参加する猫を探していました。

良いセラピー動物の資質は人の注目を浴びるのが好きなこととされています。こうした資質がスプートニクにも当てはまることを知っているソニアさんは、セラピー活動に必要な基本的スキルを身に付けるべくトレーニングを開始します。

やがて、4ヶ月間のトレーニングを経てスプートニクとソニアさんは、ホスピスや学校などを訪問するセラピー活動を開始しました。セラピー猫スプートニクの誕生です。

スプートニクとソニアさんのセラピー活動

セラピー猫はハーネスを大人しくつけ、静かな環境や騒がしい環境でも落ち着いている必要があります。

またセラピー活動は飼い主とチームで行うため、飼い主との間に確かな信頼関係がなければなりません。

通常こうした施設を訪問する際は、猫用にカスタマイズしたバギーカーにスプートニクを乗せていきます。

このため、スプートニクはのんびりくつろぎながら撫でてもらうことができ、ソニアさんも容易にスプートニクを移動させることができます。

新型コロナウィルスで自粛

コロナのパンデミックの影響でセラピー訪問の依頼がなくなるまで、スプートニクとソニアさんは月に5~15施設を訪問していましたが、自宅待機期間に入るとスプートニクは明らかに戸惑いを見せていたそうです。

とはいえ、ソーシャルメディアに写真を投稿してスプートニクのファンを喜ばせたり、以前に訪問した施設にEメールを送ったりするなど、スプートニクとソニアさんは何かしら活動をしていました。

380日間の休業後、久々にセラピー訪問を行ったスプートニクは、帰宅後嬉しそうに自宅を跳ね回っていたそうです。

1時間ほどのセラピー訪問はスプートニクとソニアさんにとって、とても有意義な時間です。「人を助けて喜んでもらった分だけ自分たちも幸せな気分になれる」と、ソニアさんは言います。

今後必要性が増すセラピー猫の存在

Naperville Area Humane Societyには102のセラピーチームがありますが、その中で猫のセラピーチームはわずか6チームのみです。

スプートニクとソニアさんは、セラピー猫に対する認知を世界に広げるためのボランティア団体「I-CAT」の一員でもあります。

動物によるセラピーを必要としている人の中には大の猫好きもおり、犬ではなく猫が訪問することで明るい気持ちになれる人もいるとのこと。

犬に比べると気まぐれでマイペースなイメージのある猫ですが、猫の性格も様々です。人懐っこく人を喜ばせるのが大好きなセラピー猫が、世界中で多く活躍するようになるといいですね。