分離不安症の犬を癒やした保護猫たち|強い絆で結ばれた犬と猫が一つの家族に

分離不安症を抱えた犬に訪れた予期せぬ変化

8歳になるピットブルミックス犬の「デイジー」は、分離不安症を抱えています。

飼い主のローズマリーさんと散歩から帰ってくると、たいてい家の中にひとりで取り残されるのを恐れて家の中に入ろうとしません。また、彼女が外出しようとすると、デイジーはいつもドアの前を陣取って外出を阻止しようとします。

一方ローズマリーさんは、2012年からアメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)で動物一時預かりのボランティアをしており、これまでデイジーはこうした動物たちとも上手に交流してきました。

2匹の子猫が家に来てからデイジーに変化

ローズマリーさんが「チューリップ」と「スパークルズ」という2匹の子猫を連れてきてから、デイジーに思わぬ変化が訪れます。

チューリップとスパークルズがニューヨーク市にあるASPCAの子猫飼育施設に収容されたのは生後わずか数週間の時。施設に収容された直後、チューリップとスパークルズは結膜炎と上気道感染症にかかっており、ノミにも寄生されていました。

ローズマリーさんは2匹を自宅に預かり懸命に世話をしていましたが、やがてあることに気づきます。

どうやらデイジーはチューリップとスパークルズのことを溺愛しており、この2匹がそばにいると分離不安症の症状があまり現れないのです。

「散歩から帰ってくるとチューリップが廊下でデイジーを出迎えてくれることもあり、デイジーはチューリップの後をついて素直に中へ入ります」と、ローズマリーさんは言います。

また、彼女が外出の準備をしている間、チューリップはよくデイジーのベッドに寝転んでおり、デイジーもチューリップと一緒に寝転んでしまうそうです。

飼い主が外出するのを阻止するため、ドアの前を塞いでいた日々が嘘のようでした。

徐々に築かれた子猫と犬の温かい絆

2匹の子猫とデイジーは、決して一晩で仲良くなったわけではありません。

実のところチューリップとスパークルズは、当初新しい環境や知らない犬と一緒に暮らすことを不安がっていました。

このため、最初の数日間は子猫たちとデイジーを離して生活させましたが、今では引き離すことができないほどの仲です。

3匹の態度が徐々に変化していく様子を目にするのは、ローズマリーさんにとってとても心温まる経験でした。

子猫たちはデイジーの上によじ登ったり2匹並んでデイジーに毛づくろいしてもらったりと、デイジーにとてもなついています。

ローズマリーさんは、「デイジーはもともと母親になりたかったのでしょう」と言います。

仔猫たちにも好影響

また、子猫たちも犬に慣れて、非常に良い社会化訓練になっているとのこと。デイジーは犬よりもむしろこの2匹の子猫の方が好きなようです。

ローズマリーさんは、チューリップとスパークルズがデイジーとずっと一緒にいられるよう正式に手続きをし、2匹を家族として迎え入れました。

ですが、今後もシェルターの子猫を自宅で預かり、新たな飼い主を探す前の社会化を行っていきたいと考えています。

こうした里親プログラムで動物たちを社会化することにより、動物たちは譲渡先の家庭に適応しやすくなるのです。

ローズマリーさんは、「この子たちが成長をするのを見守ることができ、また新たな家庭で幸せになるまでのプロセスに参加することができてとても嬉しく思います」と語ります。