メジャーリーグ球場に住みつきSNSでもフォローされる人気の野良猫
米国のメジャーリーグ野球チーム「コロラド・ロッキーズ」のホーム球場であるクアーズフィールドには、多くの野良猫が住みついています。
その中でも特に人気があり、ファンが作ったSNSアカウントまで用意されている野良猫の「ソックス」が、2021年11月に腫瘍のため緊急手術を受けました。
デンバーの野良猫を捕獲して去勢・避妊手術を施し元の場所へ戻すという「TNR活動」。
その活動を行っている地元の女性ジェニー・リーさんによると、ソックスは2021年の春に子猫を産んだばかりだったため、母猫を子猫からすぐに引き離すわけにはいかず、避妊手術のため捕獲するのを先延ばしにしていたそうです。
いよいよTNRを実施
そして2021年11月19日、リーさんは野良猫の餌やり仲間のナタリー・ビショップさんから連絡を受け、TNRを実施する時期であることを知らされます。
ビショップさんはクアーズフィールドのすぐ隣に住んでおり、14年間にわたり野球場の野良猫に餌を与えてきた大の愛猫家。
リーさんは翌日、人気猫ソックスを誘い込むためのおやつとトラップを持ってクアーズフィールドに出向きます。
野良猫たちが普段えさをもらっている場所にトラップをしかけ、中にフライドチキンやツナ缶を置くと、すぐにソックスを捕まえることができました。
腫瘍が発覚し後悔を滲ませる関係者
リーさんはソックスに避妊手術を受けさせるため、米国イリノイ州オーロラ市にある非営利動物病院に連れて行きました。
ところが避妊手術後、獣医師はソックスの乳房にしこりがあることに気づきます。
獣医師に呼ばれたリーさんは、「そのサイズの腫瘍がある場合、通常は他の場所にも転移している。そしてもし転移していれば余命は3カ月以下である」ということを告げられました。
「もしこれが普通の野良猫であれば、安楽死させることに同意していたでしょう」と、リーさんは言います。
野良猫に継続的な治療を受けさせてあげることはできず、また野外でひとり苦しませたくはありません。
ですが、ソックスはクアーズフィールドの人気者です。獣医はソックスの腫瘍の手術を行うことに同意しました。
すると、2人は床に座り込んで嘆いたそうです。
無事に手術完了、腫瘍転移は見られず
乳がんのリスクは避妊手術により低くなることから、ソックスにもっと早く手術を受けさせていたらこんなことにはならなかったかもしれません。
腫瘍を摘出後、レントゲンでは転移は確認されませんでした。
ソックスは今回の手術で命拾いした可能性もありますが、後日の病理検査の結果を見るまではまだ分かりません。
ソックスはしばらくの間救助者の自宅で療養してから球場に戻りました。
後日、ソックスの病理検査の結果がわかり、腫瘍は悪性ではなかったことがSNS上で報告されます。
クアーズフィールドの野良猫やファンは、そろって平和な新年を迎えたことでしょう。