ステップヤマネコの目撃情報に保護区も騒然!
先月14日、インドのマディヤ・プラデーシュ州パンナタイガー保護区の緩衝地帯で旅行者により「ステップヤマネコ」が目撃されました。
SNSでこのニュースを公表したパンナタイガー保護区によると、1999年から2006年までにター砂漠でステップヤマネコが目撃されたのは4回のみとのこと。
ステップヤマネコは国際自然保護連合の絶滅危惧種レッドリストで「低危険種」とされており、同保護区に生息する動物リストにも含まれています。
ですが、パンナタイガー保護区のウッタム・シャルマ現場監督によると、最近はカメラトラップでもその姿が確認されることはなかったそうです。
このため、今回撮影された写真は保護区側にとっても非常に貴重な記録となりました。
「目撃は珍しくない」という専門家の意見も
一方、インド野生生物研究所の科学者ヤドベンドラデブ・ ジャラ氏は、「砂漠や乾燥地帯で多く見られるステップヤマネコが森林地帯で発見されたことは多くの野生動物愛好者を驚かせましたが、目撃されたこと自体はそれほど珍しくない」と言います。
ジャラ氏によると、2018年に同保護区でステップヤマネコを目撃した際の証拠写真もあり、その他インド中部や西部の地域でもステップヤマネコが複数回目撃されているとのこと。
また、ジャラ氏が編纂した調査資料「Status of Leopards, Co-predators and Megaherbivores in India 2018」によると、2018年から2019年だけでもステップヤマネコが541回目撃されています。
適応能力が高く様々な地域で生息可能
ステップヤマネコは適応能力が非常に高く、森林地帯でも乾燥地域や半乾燥地域でも生息することが可能です。
ステップヤマネコが森林地帯よりも砂漠で多く見られるのは、森林地帯にはジャングルキャットが生息しているためと考えられます。ステップヤマネコよりも大型なジャングルキャットは密林ではより優勢なのです。
シャルマ現場監督は、インド野生生物研究所が撮影したステップヤマネコの写真をまだ確認していません。
また、ステップヤマネコについては2002-2003年から2011-2012年までのパンナタイガー保護区管理計画でも報告がないため、誰かがこれらの写真を確認して記録するまで特にコメントはできないそうです。
野生動物を保護するための取り組み
シャルマ氏は、同保護区の緩衝地帯で人間の活動を制限したことによりステップヤマネコが緩衝地帯の森林に入り込んできたのではないか、と言います。
また、2013年に緩衝地帯での人間の活動を制限して以来、草食動物と肉食動物の移動も多くなっているとのこと。
ちなみに、過去にはマディヤ・プラデーシュのナウレードヒ野生生物保護区でもステップヤマネコが目撃されています。
ナウレードヒ野生生物保護区の森林区管理官であるスダンシュ・ヤダブ氏によると、パンナタイガー保護区とナウレードヒ野生生物保護区はどちらもブンデールカンド地方にあり、植物が少なく高温で水が少ない環境にあります。
このためステップヤマネコは環境に適応できたのかもしれない、とヤダブ氏は考えます。
一方、ステップヤマネコの足跡はヤマネコと似ており、ナウレードヒ野生生物保護区でもパンナタイガー保護区でもステップヤマネコの個体数を正確に確認することができません。
これらの理由から、目撃情報やカメラトラップの映像など直接的な証拠により個体数を記録する必要があるそうです。