引き取り先から2回も施設に返されてしまった保護猫の運命
生後7カ月になる子猫の「デイジー」は、まだ幼いにも関わらず、すでに2つの家庭に引き取られたことがあります。
デイジーはいずれの家庭でも飼い主や他の先住猫と仲良くすることができず、わずか4週間で英国動物虐待防止協会(RSPCA)ラドクリフ動物センターに戻されてしまいました。
スタッフは改めてデイジーの性格について検証。
その結果、「彼女は人間の側にいるのをそれほど好まないものの、それでも食べ物を与え世話をする飼い主を必要とする、野良猫と飼い猫の中間のような気質の猫」であると判断しました。
猫も人と同じく性格が異なる
RSPCAラドクリフ動物センターのマネージャー、エラ・カーペンターさんは、「猫も人間と同じようにそれぞれ必要とするものや性格が異なる」と言います。
こうした猫には様々な背景があり、子猫の時にほとんど社会化されなかった場合もあれば、人間と適切な交流を持つことができなかった場合もあるでしょう。
その場合、猫は人間を脅威とみなし、人間の行動は予測不可能であり不安をもたらすもので好ましくないと思っているかもしれません。
こうした猫たちは、食べ物と住むところ、さらに一定の距離を保ちながら世話をしてくれる人間がいるところで、自由に歩き回れるような生活スタイルの方が上手く馴染むことができます。
適する環境としては、たとえば家畜小屋や農場、広々とした庭園などが挙げられます。そしてデイジーに必要なのは、まさにこうした環境なのです。
酪農場での暮らしを満喫するデイジー
デイジーは、2021年9月に酪農場を経営するルース・グライスさんの元に引き取られて以降、とても上手くいっています。
最初の数週間は家屋の中で暮らしていましたが、やがて徐々に外に出るようになったそうです。
彼女は明らかにずっと外にいたがっていましたが、そのうちに子牛小屋に暖かくて居心地のいい場所を見つけました。
現在デイジーは、夜のうちはたいてい子牛小屋で眠り、日中は農場周辺を歩き回っています。
まただいぶ人懐こくなり、ルースさんは彼女を撫でたり抱き上げたりしても平気になりました。
以前は全く人間を寄せ付けない猫を飼っていたこともあったため、デイジーが人間に少しでも慣れてくれたことをルースさんは喜んでいます。
彼女は初めて会ったときから子牛たちとも上手に交流しており、今ではとても仲が良く一緒にわらの上で昼寝をしたりするようになりました。
デイジーは大変上手に環境に馴染んでいます。ルースさんは、「彼女を引き取ってとても良かった」と言います。
猫それぞれの性格に合った環境が必要
農場猫はその名の通り、農場や自作農地、乗馬厩舎などで暮らすのが最も適しています。
しかし、中にはモデル村や果樹園など予想外の場所に住みつくこともあります。
「RSPCA」の猫の福祉専門家であるアリス・ポッターさんによると、必ずしもすべての猫が家の中で暮らすことに適しているわけではないそうです。
猫の中には、「人懐こく人間の膝の上が大好きな子」もいれば、「それほど人間を必要としないけどある程度は人間と交流を持つ猫」、さらに「人間から完全に独立して生きたがる野良猫タイプ」もいます。
デイジーのように外で暮らすのが好きなタイプの猫は、RSPCAなどの保護施設では引き取り手を見つけるのに苦労することが多いそうです。
しかしこれは、「主にこうした性格の猫が存在するという事実が一般にあまり知られていないためである」と言われています。