瀕死の野生猫「ボブキャット」が輸血で回復|ドナーとなった保護猫に引き取り希望者続出

瀕死のボブキャットを救うため輸血が必要に

2021年12月、カナダのニューブランズウィック州の州都フレデリクトンで瀕死の赤ちゃんボブキャットが発見され、地元保護施設の保護猫「スマッカーズ」の献血により、この野生獣(猫)が救われました。

近隣の納屋で瀕死の状態で発見されたボブキャット。ダグラス動物病院に運び込まれたのは、12月27日の夕方遅くのことでした。

同病院の獣医師ニコール・ジュエット先生によると、ボブキャットの容体は明らかに悪く病院搬送時には非常に弱っており脱水状態になっていました。

体温も体温計で測定できないほど低下していたそうです。

このメスのボブキャットに何が起きたのか確かなことは分かりませんでしたが、すぐに治療が開始されます。

最初の24時間は静脈からの輸液により容体が安定していたものの、その後意識がもうろうとして昏睡に近い状態に陥ります。

血液検査を行ったところ貧血を起こしており、腎臓にも異常があることが判明しました。

さっそく新たに薬を投与すると24時間で状態がやや改善しましたが、獣医師らは薬の投与だけでは十分でないことを承知しています。

そこで彼らは輸血を試してみることにしました。

保護猫による献血

さっそく病院の野生動物専門家が「フレデリクトン動物虐待防止協会(SPCA)」に連絡し、献血ができそうな猫を数匹送るよう依頼しました。

ジュエット先生によると、ボブキャットとイエネコは同じネコ科の動物で血液型も類似しているため輸血が可能とのこと。

SPCAから送られてきた保護猫3匹のうち、血液型が適合したのは4歳になるぶち猫の「スマッカーズ」でした。

とても優しくて人懐こいというスマッカーズは元の飼い主が他界し、その数日前にシェルターに収容されたばかりです。

SPCAのアネット・ジェームズ運営部長によると、獣医師らに猫を貸し出すのは珍しいことではないそうです。

「地域の助け合いです。みんなが少しずつ協力すれば大きな力になりますから。ペットだけでなく野生動物も同様です」とジェームズさんは言います。

スマッカーズと幼いボブキャットは、どちらもA型の血液型。おかげで輸血は無事に成功しました。

フィオナにとってもスマッカーズにとっても素晴らしい結末に

ダグラス動物病院では、アトランティック野生動物研究所に協力して定期的に野生動物を預かって検査。そして治療を施して研究所に返しています。

病院から返された動物は研究所でリハビリを受けた後、野生環境に放されるのです。

獣医師らが「フィオナ」と名付けた赤ちゃんボブキャットですが、その後順調に回復しているため数日後にはアトランティック野生動物研究所に移送される予定です。

一方、保護猫のスマッカーズには、輸血が成功したあと彼を引き取りたいという問い合わせが殺到。

現在はすでに新たな家族の元で可愛がられているとのことです。

不思議なめぐり合わせでボブキャットに献血することになったスマッカーズですが、無事に新しい家族が見つかって何よりですね。