猫にとってヒゲとは?
猫のヒゲの正式名称は「触毛」といいます。主に、風向きを読む・平衡感覚を保つ・獲物の動きを読むなどセンサーの役割を果たします。このように、ヒゲは感覚器官のひとつとして生きるために必要不可欠な存在です。
実は猫のヒゲが生えている部位は頬だけではありません。よく見てみると目の上や顎の下、前足の後ろ側などにも生えています。猫が所狭しとものが置かれた棚の上を、自由自在に行き来できるのもヒゲのおかげなのです。また、ヒゲは弱い視力をカバーする働きを持っています。
ヒゲの動きから見えてくる猫の気持ち
猫のヒゲはセンサー以外にも大切な役目を果たします。それは「感情表現」です。猫の顔は、犬や人間と比較すると表情筋が発達していません。猫の表情が乏しく見えたり、考えが読みにくいのはその影響です。
しかし、猫もしっかりと感情を表現しています。そのひとつとしてヒゲの動きがあります。ヒゲをどう動かすかによって、我々にメッセージを送っているのです。ここからは、ヒゲの動きから見える猫の気持ちをいくつかご紹介いたします。
1.「10時10分」はご機嫌のサイン
ヒゲが上を向き、時計でいう「10時10分」を表すのは上機嫌のしるしです。膝の上でくつろいでいる最中や、飼い主さんが近づいたときのヒゲの状態が10時10分ならば、スキンシップを取りやすい絶好のタイミングになります。
とても機嫌が良く、飼主さんとの交流を求めているサインなので、愛猫の気が済むまで撫でたり遊んだりしてあげてください。 ただし、猫の飽きは意外と早いので注意しましょう。
2.後に寝かせるのは防御の姿勢
先ほども紹介したように、猫にとってヒゲは視覚を補う重要なパーツです。危険を察知し、警戒しているときはヒゲも防御の姿勢をとります。因みに食事中は汚れを防ぐために後ろに寝かせます。
愛猫がこの行動をとっている最中は、何かしらの事柄に対して強い警戒心を持っています。たとえ日頃から接している飼い主さんであっても、攻撃の対象になってしまうことが予測されます。
無理に接近しようとせずに、冷静に原因を探りましょう。そして除去できるものは除去し、困難な場合は「怖くないよ」と優しく声をかけるようにしてください。
3.興奮するとヒゲが前を向く
鋭いトゲを連想するほど、ヒゲが前に向いていることがあります。これは「興奮」を表します。猫が興奮するシチュエーションは次のようなものが挙げられます。
- 飼主さんと遊んでいる最中(夢中になっている)
- 獲物を発見したとき
- 獲物を捕えることに集中しているときなど
室内で生活する猫にとって遊びは、狩りの模倣として本能をくすぐる良い刺激になります。ヒゲが前を向くということは、夢中になるほど楽しいということです。
そして、獲物やそれに見立てた対象を捕らえようとすると、ヒゲが獲物を取り囲むかのように包囲することがあります。これは、獲物の些細な動きを逃すことなく把握するためです。
4.ヒゲが下向きに垂れているのはリラックス
警戒心が強い猫も、安心できる環境下でリラックスしているときは自然と力が抜けた姿勢になります。実はこのとき、ヒゲもだらんと下に垂れた状態になります。
ただし、体調が優れない場合でもこのヒゲの動きが見られることがあります。ヒゲが下がっているシチュエーションから読み取るようにしましょう。
5.横に広げるのは情報収集するため
猫はリアルタイムの情報を得ようとするときに、ヒゲを横に広げます。そして、同時に警戒態勢に入ります。まさにアンテナです。
猫のヒゲは単に生えているだけではなく、神経を伴っています。ヒゲで受信した情報は、神経によって捉えられます。
まとめ
今日のねこちゃんより:ラブ / ♂ / 8歳 / 雑種(ミックス) / 5.6kg
猫はヒゲによって周囲の状況を察知し、我々人間は猫のヒゲの動きから気持ちを理解しようとしています。
このように生活に密接な関わりのあるヒゲは、大切にしなければなりません。自然と生え変わる場合を除き、切ったり抜いたりしはなりません。