猫の口腔環境について
猫が虫歯になりにくい理由は、口腔環境にあります。猫の口腔環境のpH数は8.0〜9.0のアルカリ性とされています。対して人の口腔環境pH6.5〜7.0で弱酸性と言われています。
口腔環境が酸性に近ければ近いほど虫歯になりやすい環境だと言われています。したがって、口の中がアルカリ性である猫の口は虫歯になりにくい環境であると言えます。
また、猫の歯は人間と違って平たい形や尖った形をしていてくぼみがありません。くぼみが無いという事は、雑菌が溜まりにくい環境という事になります。したがって、口の中だけではなく歯も虫歯になりにくい形をしているため猫は虫歯にはならないと言われています。
猫に口腔ケアは不可欠
虫歯になりにくい口腔環境を持っているならば、歯磨きなどの口の中のケアはしなくても良いと考えがちですが、実は虫歯にならないからといって口腔ケアを怠ってはいけないのです。猫の口の中は虫歯にはなりませんが、歯垢がつきやすく、歯石ができやすい環境にあります。そのため、人間よりも歯周病になりやすいのです。
ほとんどの猫が歯周病?
今や、3歳以上の猫の殆どが歯周病だと言われています。猫が歯周病になると痛みを感じてしまいご飯が食べられなくなってしまいます。その他にも口内炎になりやすかったり、腎臓系や循環器系の病気に罹患しやすくなります。
進行すると抜歯のリスク
また、歯周病が進行すると歯石付着が重度になり歯がぐらぐらと動くようになります。また、口腔内環境が悪くなると口内炎がひどくなり痛みから食べることが難しくなる場合があります。口内炎を軽減するために全身麻酔下で抜歯を行う場合があります。
口のトラブルは全身にも影響
口は身体の入り口とも言える器官です。口が汚れていると身体のあちこちに被害をもたらす事になります。加えて歯周病の治療は猫の身体に大きな負担を強いる事になります。なので、口腔ケアは絶対に欠かせません。
猫の口腔ケアの仕方
ガーゼを使う
猫の口腔ケアはガーゼから挑戦すると良いでしょう。ガーゼで歯を磨く事で口周りに触れる事に慣れていくと、歯磨きもスムーズに受け入れる事が出来るようになります。
そして、猫の場合は1日1回歯磨きすれば良いのでガーゼに慣れてきたら、猫用の歯ブラシを使って就寝前に口の中を清潔にしましょう。猫用歯ブラシをすぐに用意出来ない場合は、子供用の歯ブラシでも代用可能です。
ウェットシートを使う
それでも歯磨きを拒否される場合は、歯磨き用のウェットシートを使って、歯の表面だけを磨いてあげるようにしてあげましょう。
専門家に依頼する
そして、歯磨きを嫌がる猫ちゃんの口腔ケアは専門家の手を借りましょう。多くの場合は、動物病院やトリミングサロンで歯磨きケアを行なってくれます。特に猫の場合は、動物について知識を豊富に持つスタッフのいる動物病院での歯磨きケアをオススメします。
まとめ
今日のねこちゃんより:リン / ♀ / 1歳 / マンチカン / 4.5kg
猫の口の中はアルカリ性なので、虫歯にならない環境にあります。しかし、虫歯にならないからといって口腔ケアを怠ってはいけません。猫は虫歯になりにくい分、歯周病になりやすいからです。
歯周病は放置しておくと日常生活に支障をきたします。更に病状が進行すると、様々な病気に罹りやすくなります。つまり、口のケアをする事は猫の健康を維持する事にも繋がるので絶対に怠ってはいけません。
とはいえ、猫は顔周りに触れられるのに嫌悪感を示します。なので、まずはガーゼを使って歯磨きという行為に慣れてもらう必要があります。抵抗が弱くなってきたら、歯ブラシを使って隅々まで磨いてあげましょう。どうしても歯磨きが難しいのであれば家庭でのケアはガーゼ磨きに留めておいて、専門家の力を借りましょう。
したがって、猫の口腔ケアは絶対に必要です。決して忘れないようにして下さい。