愛猫ちゃんの血液型は?
すでにご存知の飼い主さんもいらっしゃると思いますが、猫ちゃんの血液型はA型、B型、AB型の3つのみです。国や品種によって多少の変動はありますが、全猫ちゃん中でA型が大半を占め残りの数パーセントがB型の猫ちゃんです。ちなみにAB型の猫ちゃんは極めて稀とされています。
そこでQuestion!
皆さんは愛猫ちゃんの血液型を知っていますか?
なぜ唐突に血液型の話をしたかというと、実はあらかじめ知っておいた方がいい場合があるのです。それを今回は大きく2点に分けてお話ししたいと思います。
1.愛猫の輸血時に関わる血液型
医療ドラマで血液型が合う輸血パックがないといったシーンを目にしますが、猫ちゃんにおいても当てはまります。では違う血液型の血液を輸血してしまうとどうなるのでしょうか?
A型の猫ちゃんは血中に抗B抗体を、B型の猫ちゃんは抗A抗体を持ちそれぞれに体内に侵入してきた他種の血液を攻撃し赤血球を破壊します。特に抗A抗体は力が強いのでB型の猫ちゃんにA型の血液を輸血すると少量でも急激に溶血するので輸血前に血液型判定は必須となります。
因みにB型猫ちゃん全体の約95%は抗A抗体を持っているのに対して、A型猫ちゃんは全体の約35%しか抗B抗体を持っていません。この事も関係し特にB型猫ちゃんに輸血する時は慎重にドナーの血液型を調べなければいけません。
ここでなぜあらかじめ知っておいた方が得策なのか?
それは輸血を受ける時は、一分一秒でも争う急性期である場合が多くそういった時に時間をかけて血液型を判定している余裕がないからです。
また免疫介在性疾患の場合、血液型判定が困難になる事や偽陽性、偽陰性となることがあるので命を救う意味でも健康な頃からあらかじめ血液型を知っておくことは非常に大切になってきます。
2.猫が出産する時に関わる血液型
最近は自宅でブリーディングされているという飼い主さんも少なくないのではないでしょうか?実は親猫と仔猫の血液型次第で初乳が命取りになることがあるんです。
新生児溶血症候群といい、B型の母猫にA型の仔猫が生まれた場合に発生しやすいです。仔猫が生まれてから初めて飲む初乳中には仔猫を病原体から守るために母猫由来の抗体が多く含まれており、A型仔猫がB型母猫の初乳を飲むと乳中に含まれる抗A抗体がA型仔猫の血液を攻撃してしまいます。
初乳を飲ませなければこの反応が出ることはないのですが、母猫からの移行抗体がない無防備な仔猫は免疫が弱く様々な感染症に感染するリスクがあるので1番の解決策は交配させる前に両親の血液型を調べることです。
父猫がA型、母猫がB型の場合に起こる可能性が高いので両親がこの組み合わせであれば交配しない方が生まれてくる仔猫のためだと思います。
まとめ
猫ちゃん自身や仔猫を守るために輸血、ブリーディングにおいて血液型をあらかじめ知っておくことはとても大切です。
血液型は動物病院での採血と簡易キットで簡単に調べることができます。この記事を読んで毎年の健康診断などの折に一緒に血液型を調べる飼い主さんが少しでも増えることを願っています。