猫のワクチンの値段と種類、予防できる病気や注意点とは

猫のワクチンの値段と種類、予防できる病気や注意点とは

猫のワクチン接種、どうしていますか?「恐ろしい感染症から愛猫を守るためワクチン接種はした方が良い」「いやいや、副作用があるからワクチンは接種しない方が良い」という両方の意見があります。猫のワクチンには様々な種類があり、それによって値段も変わってきます。もちろん予防できる病気の数が多いだけ、ワクチンの値段も高くなります。この記事では猫のワクチンの値段や予防できる病気についてまとめました。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫のワクチンの値段と種類

ワクチン

不活化ワクチンと生ワクチン

ワクチンには「不活化ワクチン」と「生ワクチン」という2種類があります。

不活化ワクチン

死んだウイルスや細菌などを使用したワクチンで、副作用が起こりづらいです。その分免疫力の持続期間は短めです。

生ワクチン

毒性を弱くしたウイルスや微生物を使用したワクチンで得られる免疫力は強いのですが、その分副作用の可能性も高いです。

ワクチンの値段

猫のワクチンには単体の1種ワクチンから複数のワクチンを3種〜7種混合したワクチンがあります。
ワクチンの値段はあくまでも目安となります。動物病院によっても違いますので、事前に確認してみると良いでしょう。

1種ワクチン

「猫エイズウイルス感染症」と「猫白血病ウイルス感染症」に対するワクチンです。値段は2種とも大体3,000円〜5,000円程度の所が多いようです。

3種混合ワクチン

「コアワクチン」とも呼ばれるワクチンで、「猫ウイルス性鼻管支炎」「猫カリシウイルス感染症」「猫汎白血球減少症」の3つの病気に対する免疫を得る事が出来ます。全ての飼い主に対し、飼い猫に接種させる事を推奨しています。「猫カリシウイルス感染症」のウイルスにはタイプが多くありますが、その中の1つのタイプを予防します。値段は3,000円〜5,000円程度が多いようです。

4種混合ワクチン

3種混合ワクチンに「猫白血病ウイルス感染症」を加えたワクチンです。値段は5,000円〜7,500円程度が多いようです。

5種混合ワクチン

4種混合ワクチンに「猫クラミジア感染症」を加えたワクチンです。値段は5,000円〜7,000円程度が多いようです。

6種混合ワクチン

4種混合ワクチンに「猫カリシウイルス感染症」の2タイプのウイルスに対したワクチンを加えたものです。値段は6,000円〜7,000円程度のようです。

7種混合ワクチン

5種混合ワクチンに「猫カリシウイルス感染症」の2タイプのウイルスに対したワクチンを加えたものです。値段は7,500円〜8,000円程度が多いようです。

猫のワクチンで予防できる病気

猫の注射をされる猫

猫がワクチン接種をする事で予防出来る病気は6つあります。
完全室内飼いの場合でも、飼い主が外出する限りは何かしらの細菌やウイルスを持ち帰ってしまう可能性がありますので、ワクチンで予防出来る病気にかかる可能性はゼロではありません。
猫のワクチン接種は今のところ義務ではありませんので、「接種した方が良い」という意見の方がやや優勢ではあるものの、飼い主の判断に委ねられています。

猫のワクチンが予防してくれる感染症

顔を手で覆う猫

猫のワクチンは6つの感染症に対して開発されています。

猫エイズウイルス感染症

「猫エイズ」とも呼ばれ、正式名は「猫後天性免疫不全症候群」と言います。猫免疫不全ウイルス(FIV)によって引き起こされる様々な症状の事を言います。人間のエイズと同様、免疫力の低下により口内炎や風邪、食欲低下やガンなど、発症すると沢山の症状が出てきます。

猫汎白血球減少症

別名を「猫ジステンパー」や「猫伝染性腸炎」とも言い、嘔吐や下痢、食欲不振などの症状が現れる病気です。伝染性が高く、致死率も高いです。猫だけでなく一部の犬、ミンクやアライグマにも感染します。

猫白血病ウイルス感染症

リンパ節や骨髄などで猫白血病ウイルス(FeLV)が増殖して起きる病気です。貧血や悪性リンパ腫を引き起こし、発症すれば適切な治療を行わないと1~3ヶ月程度で死に至ることもあります。猫以外の動物にうつることはほとんどありません。

猫ウイルス性鼻気管炎

別名を「猫風邪」「猫インフルエンザ」と呼ばれ、猫ヘルペスウイルス1型(FHV-1)を原因とする上部呼吸器感染症です。ウイルスが温度の低い所を好む性質があるので、猫の体の中でも比較的体温の低い目、鼻、口などに症状が現れます。結膜炎や角膜炎、発熱、鼻水、食欲不振など。
母猫から子猫にうつり、兄弟姉妹間で急速に蔓延する事もあります。多頭飼いの場合も感染には注意が必要です。猫の免疫力が落ちないように、日頃の健康管理が大切になります。

猫カリシウイルス感染症

「猫風邪」「猫インフルエンザ」とも呼ばれる、ネコカカリシウイルス(FCV)による感染症です。ウイルスには多くのタイプが存在します。感染力が強く、前述の猫ウイルス性鼻気管炎と混合して「ウイルス性呼吸器感染症」を発症する事もあります。抵抗力が落ち 、乾燥しやすい冬によく見られる症状です。口内炎や高熱、くしゃみや鼻水、よだれ、食欲不振、目の周りの赤みなどが現れます。

猫クラミジア感染症

猫クラミジアという細菌により引き起こされる、結膜炎、鼻炎、呼吸器症状などの事を言います。感染して3~10日後に片目の炎症から始まり、粘着性の目やにを伴う結膜炎が起こり慢性化しやすくなります。生後2~6ヶ月位の子猫がかかりやすい感染症です。母猫が感染している場合は子猫にうつり肺炎のような症状を引き起こし、最悪の場合は数日で亡くなってしまう事もあります。

猫のワクチンの注意点

足に注射される猫

重大な病気にかかりにくくするという点でワクチンは非常に頼りになりますが、猫の体にとって負担がかかる事も確かです。

副作用

ワクチンを接種した事により副作用が起こることがあります。1番怖い副作用はアナフィラキシーショックです。
即時型アレルギー反応の事で、ワクチンの成分にアレルギー反応を起こし、数分から数時間以内に死亡します。この事から、ワクチン接種後は30分程度病院内で待機する事を義務づけている動物病院もあります。

接種後数時間以内に起こる反応としては、発熱、痒みや蕁麻疹、嘔吐などです。
また、ワクチン接種により他の病気を誘発して死亡するケースも。既に病気があってワクチン接種をした場合に、免疫力が低下する事でその病気が活性化してしまったり、ワクチンを打った場所に肉腫が出来てしまった、などは実際に起こったケースです。

このような事があるので、どのワクチンを接種するかは慎重に検討した方が良いのです。
副作用が起こるかもしれない、と分かっていながらもワクチンを打つ理由は、それ以上に病気の抑制効果を期待しているからです。猫のワクチンを打つか否かは飼い主の判断になります。
是非、愛猫にとって最善の道を選んであげてくださいね。

どのワクチンを打つか?

前述したように、猫のワクチンには沢山の種類があります。
基本的に「完全室内飼いの猫には3種混合、外に出る猫には5種混合」と言われる事が多いようです。5種混合ワクチンを接種した猫の中には熱などの副作用を起こす場合があります。5種ワクチンに含まれている「猫白血病ウイルスワクチン」ですが、この病気は唾液や体液に接触しなければ感染しないので、完全室内飼いで同居している猫にこの病気がなければ打つ必要はないかもしれません。接種前に獣医師に充分に副作用などの説明を受け、どの種類のワクチンを接種させるのか熟考した方が良いでしょう。

ワクチンを打つ場所

ワクチンを打つ場所は猫の首の後ろや大腿部が多いのですが、まれに注射針を打つ事で肉腫が出来てしまう事があります。首の後ろに肉腫が出来た場合、完全に取り除くのが困難なので太もも辺りに毎年打つ側を変えるのがよいとされています。万が一肉腫が出来たとしても太ももならば手術もしやすいので、白血病ワクチンが入っている4種以上や白血病単体のワクチンは太ももに摂取します。
ワクチンを打つ場所も、事前に獣医師に相談してみると良いでしょう。

ワクチン接種に対する動物病院の対応

ワクチン接種には、事前に猫の健康状態の確認を行う事が重要です。また、副作用が強く出る体質の猫に対して、ステロイド注射や抗ヒスタミン剤を使って副作用を和らげる対策をしてからワクチン接種をしてくれる病院もあるようです。その場合は抗体価の上りが悪い可能性があります。
ワクチン接種の前に、打ってもらう予定の病院の対応を確認してみると、より良いワクチン接種が出来そうです。

ワクチンの接種期間について

日本では1年に1回ワクチン接種を、と言う獣医師が多いですが、アメリカでは2~3年に1回、というのが普通だそうです。これは免疫はその位は持つ、という事からだそうで、ここでもまた飼い主の悩みが増えそうです。
獣医師とよく相談の上、期間については決めると良いでしょう。
またネット上にもワクチン接種に関しての接種期間や値段などの情報は沢山出ていますから、調べてみると色々な事が分かります。

猫のワクチンに関するまとめ

皮下注射される猫

数分程度で終わってしまうワクチン接種ですが、実はとても深いということが分かりました。種類によって値段も異なり、獣医師によっても意見が様々でしょうから、まずは飼い主がしっかりと意思を持って愛猫にどのワクチンをどの程度の期間で接種させるのか、それともさせないのかを決める事が大切です。
愛猫の健康を守るためにベストな選択をしましょう!

投稿者

女性 Keiko

私は前までは1年に一回のワクチン接種をしていたのですが、今は3年に1回にしています。理由としては、アメリカの方では免疫が持つ、そして日本は打ちすぎとの意見もあるとの理由で、3年に1回になっていることと、完全室内飼いで他のねこちゃんとの接触は基本ないこと、あと「ワクチン接種部位肉腫」というものが怖いのでそのデメリットとワクチンを3年にする、というデメリットを考えた時、そういう選択になりました。最近ではそういった考え方が広まってきているのか、そういう選択をされる方もちらほら見受けられます。本当は免疫がしっかり体のなかで持っているのか調べたうえでそういう選択をしたほうがいいのだとは思います。ワクチンには色々と色んな考え方がありますので、先生によっても違うと思います。なので、やっぱり主治医と相談されるのがいいと思いますし、ペットホテルをよく利用される方やトリミングさんを利用される方は、利用する前提にワクチン接種というものがあるので、その子の環境にあった方法を選択されるべきだと思います。
投稿者

20代 女性 satsuki

2歳になる愛猫は、3種混合ワクチンを年に一度、接種しています。完全室内飼いである事、多頭飼いではない事を前提に、かかりつけ医の獣医さんと相談した結果、記事にある通り3種混合で十分だろうとの事でした。近年では、三年に一度のワクチン接種が推薦される事もあると聞き、かかりつけ医に相談した事もありますが、それぞれのメリットやデメリットを考えた結果、今のところ年に一度接種したいと思っています。ちなみに、3種混合ワクチンのお値段は、3500円です。

初回接種の際には、ワクチン接種によって予防できる病気と、副作用について丁寧に説明して頂きました。また、年に一度のワクチン接種は健康診断と同時にお願いしている事もあり、事前にしっかり猫の体調や様子を確認して下さるので、安心して接種しています。

接種時期についても、事前にハガキで知らせてくれたり、診察時間や休診日によってはわざわざお電話を下さったりと、ワクチン接種はとても大切な事だからと言って頂ける事がより信頼に繋がっています。

今のところ、ワクチン接種による副作用の症状は出た事がないのですが、接種の度に『何か様子がおかしければ〇時までは、こちらに電話くださいね。〇時以降であれば、本日の夜間診療対応病院は〇〇病院と〇〇病院がありますので。』と、万が一に備えた対応もしっかりして下さいます。大切な愛猫のワクチン接種ですからそれぞれのメリット、デメリットについても飼い主自身が理解、納得し、獣医さんを信頼して接種する事が大切なのだと思います。
投稿者

30代 女性 みみちゃんママ

実家の猫が通う病院では年に1回、3種を推奨されています。獣医さんからは「お外に出しますか?」とかいう質問をされ、もし外に出す場合は5種を接種する必要があるとの説明でした。実家の猫は室内飼いなのですが、母がかなりの心配性で、災害や万が一の時には外に行くこともありますよね!と言い出し、5種を接種したいと話をしていましたが、先生から副作用や本当に必要なのか?という話をきちんとしていただき結局は3種にしています。

確かにワクチンは年に一回というのは製薬会社の利益のためという話や、毎年の接種は身体が小さいのにリスクがある等の話を聞く事はあります。しかし、効果が薄れる前にきちんと注射を打って、きちんと大きな病気を予防してあげた方が我が子の為ですし、感染症ですから皆がきちんと接種する事で蔓延しないように未然に防ぐ努力が必要なのではないかと個人的には思います。
ただ、こういった不安やそれぞれが思う事をきちんと聞き相談に乗ってくれる良い獣医さんを探す事も必要ですよね。
投稿者

20代 女性 ゆず

いざという時のためにワクチン接種をして抗体を作ってあげるべきだと改めて感じました。でも、やっぱり副作用は心配ですよね。ウチの子は3年に一度のペースで3種を接種していますがアレルギー反応はありませんでした。最初の頃は、家に帰ってから元気がなかったり食欲がなかったりしましたが2〜3日もすれば回復するような軽度な症状でした。病院に連れて行かれたストレスで体調が優れなくなる子もいるようなのでワクチン接種後に少し体調が悪そうでもしばらく様子を見るだけで良いと思います。しかし、軽い症状でも長引くようでしたら病院に連れて行きましょう。
ワクチン接種前に気をつける点は、今現在猫が健康体であることを確認することです。・食欲がない・嘔吐や下痢がある・発情期または妊娠中である。そういった場合はワクチン接種を避けましょう。事前にアレルギーがあることが分かっているなら動物病院の先生に相談しましょう。
ワクチン接種後に気をつける点は、元気そうであってもとにかく安静にしておくこと。猫に体調の変化がないか、注射痕にしこりができていないか観察することです。
ワクチン接種の良し悪しは、飼い主が選択を悩む問題ですがその子にとっての最善策を責任を持って選択しましょう!

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