猫の採尿方法について 家でも失敗しない3つのコツ

猫の採尿方法について 家でも失敗しない3つのコツ

お家で猫の採尿をトライしても、「タイミングが合わない」「気配に気づいてしまいオシッコしてくれない」「いない時にしかトイレしない」などと採尿に困っている人が多いのではないでしょうか。猫の健康のバロメーターを知る上で尿検査があります。尿検査に必要なオシッコの量は少なくとも0.5mlあればどうにかできますが、十分に余裕をもって検査するとなると1〜2 mlなため量が少ないと検査ができないことがあります。そんな困難な猫の採尿を失敗しない方法やコツなどを紹介したいと思います。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫の採尿の方法

採尿中の猫

ウロキャッチャーで採尿する

ウロキャッチャーとは先端がスポンジ状になっている猫の採尿器で動物病院やネット通販でも入手することができます。

  

私が勤務している動物病院でも猫の尿検査が必要な場合は飼い主さんにウロキャッチャーを渡してお家で採尿するようにしてもらっています。1本およそ100円で手に入れることができます。

先端のスポンジに直接オシッコを染み込ませます。猫がいつも通りにトイレでオシッコをしている時にウロキャッチャーをお尻下にそっと入れて採尿します。ただし、理想はこのようなやり方ですが、ねこちゃんにとってトイレはとても無防備になるのでデリケートな行為です。難しいことがほとんどですので、その際はトイレに落ちた尿を吸い取る形でもかまいません。 砂の量をへらしたり、ペットシーツを裏返しておいておくと採尿しやすいかと思います。

スポンジにオシッコがあまり染み込んでいないと尿検査ができないこともあるため、しっかりと染み込ませる必要があります。

システムトイレで採尿する

一般的な猫のトイレはオシッコを吸収し固まる砂で多く使われていますが、猫用のシステムトイレでも採尿することはできます。システムトイレは猫砂とスノコ、マットやシートの3段構造になっています。

通常システムトイレで猫が排尿した場合オシッコがついた猫砂は下のスノコに落ち、オシッコ自体はその下のマットに吸収されていきます。

猫の採尿をする際はマットを外すことで猫が排尿をした際にトレーにオシッコが溜まっているので、それを清潔なビンや小さい容器に入れます。ウロキャッチャーにしみこませてもらってもかまいません。

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採尿シートを使う

猫は神経質な性格のためなかなか採尿するのに一苦労する声が多いです。その声に答えて最近「採尿シート」が販売されるようになりました。

使い方は非常に簡単でシートとハサミで小さくカットをし、それをいつも使っているトイレの上におくだけです。あとは猫が通常通りオシッコするだけです。

排尿するとオシッコがシートに吸収し、絞ることで採尿することができるため清潔な容器に移し変えます。シートを使っても尿検査に悪影響はないといわれています。

猫の採尿を失敗しないためのコツ

採尿を終えた猫

ウロキャッチャーで採尿する時はなるべくストレスをあたえない

猫の後ろからそっと入れる

猫は神経質なところがあるためウロキャッチャーを猫の真正面からではなく後ろからそっとお尻下に入れ採尿します。また中には非常にデリケートで人に見られるのが嫌いな場合はオシッコすることを我慢してしまう傾向があります。

そのため猫の顔をじっと見たり、すぐ跡を追わないことがポイントです。また排尿の姿勢をとったときにウロキャッチャーを入れてしまうのもオシッコをしなくなることがあるため、オシッコが出てから入れるようにします。

猫砂の量を減らし隙間をつくる

ウロキャッチャーによる猫の採尿の失敗で多いのが猫砂がくっ付いてしまったことです。猫砂はオシッコすると固まるのでウロキャッチャーについてしまうと、スポンジ部分が猫砂とともに固まってしまい尿検査ができません。

猫砂の量を少なめにすることで猫の足の間やお尻に隙間ができるため、ウロキャッチャーに猫砂が付きにくくなります。

システムトイレで慣らしてから採尿し常に綺麗な状態を維持

猫をシステムトイレに慣らす

猫は少しの違和感があるだけでもトイレを使わないことがあります。今まで使っていたトイレからいきなりシステムトイレに変えてしまうとストレスとなり拒むことがあるため慣らすことが大事です。ただし、トイレにこだわりが多い子も多いので、難しければ無理をしないようにしましょう。

猫の採尿のストレスを軽減するためにも、日頃からシステムトイレを導入したり、普段のトイレも使える状態にするとよいです。

チップや猫砂を常に綺麗な状態にする

システムトイレ用の猫砂やチップはオシッコを染み込まず下のマットやトレーに落ちます。通常の猫砂はオシッコした部分が吸収し固まるので毎日取り除かないといけませんが、システムトイレは毎回掃除をしなくて済みますがチップにはオシッコや汚れが付着してるので新鮮なオシッコがトレーに溜まっているとは限らないため検査に影響をあたえます。

猫を採尿する時はチップやシステムトイレの猫砂を全て取り替えたり、できるだけ新品な状態の時に採尿することで正確な検査をおこなうことができます。

採尿シートの場合は吸収しない猫砂を使う

猫は普段排泄する時、猫砂を前足で掘るため排尿シートが猫砂の下に埋まってしまったり、端っこに移動させられて上手くオシッコがついていないこともありえます。

オシッコをあまり吸収しないシステムトイレ用の猫砂を使うと排尿しやすくなります。また排泄後、猫砂をかく前に排尿シートを取り上げると良いでしょう。上記でもふれましたが、注意しなければいけないのは、砂一つにも猫ちゃんのこだわりがある場合も多いので、難しければ無理しないようにしましょう。

猫の採尿を動物病院でおこなう場合

病院の子猫

もしお家でチャレンジしても猫の採尿ができなかった場合動物病院で採尿することもできます。しかし犬と違い猫はデリケートで神経質なため病院内で排尿してくれないことが多いため強制的にオシッコを出す処置になります。

しかしその場合は尿道閉塞などの命に関わる緊急性を伴う場合におこなう事が多く、猫にストレスをあたえてしまうので基本的に通常ではやっていません。

一般な尿検査で無理に猫のオシッコを出させてやるとますます猫は病院が嫌いになり今度は検査や治療が困難になってしまうからです。一時的または半日お預かりするため必ず飼い主さんに同意の上でおこなっています。

自然排尿

病院に預かっている間に猫が自然にオシッコし採尿する方法です。これは猫にとっても1番ストレスがかからない方法ですが、猫は慣れない環境化ではトイレを我慢しやすいため採尿ができない可能性があります。

緊急時の場合(オシッコが出ない場合)

圧迫排尿

オシッコを溜めている膀胱を外から手で圧迫し排尿させる方法です。膀胱を外から押すため力加減によって膀胱を破裂してしまう恐れがあります。

また猫は尿路結石(結晶)ができやすいので、膀胱に小さな結石や結晶があると圧迫しても詰まってて出ないことがあり非常に危ない場合もあるため、基本的に動物病院でおこなっています。

場合によっては後肢麻痺や高齢で排尿が困難な状況の時はお家で飼い主さんが猫に圧迫排尿をさせる必要がある場合があります。その際もおこなう前に獣医師の指示、指導の元でおこなうようにしてください。勝手な判断でおこなわないようにだけ注意してください。料金は動物病院により異なりますがおよそ500円〜1000円ほどかかります。

尿道カテーテル

細いカテーテル(管)を直接猫の尿道から入れてシリンジを用いて膀胱に溜まっているオシッコを強制的に出させる方法です。この方法は尿道に結石(結晶)などが詰まってしまい自力で排尿できない場合ややむを得ず尿を採取する場合などにおこないます。

オシッコが出ないと膀胱がパンパンに膨れ上がり炎症をおこしたり、腎臓に負担がかかり急性腎臓病になる恐れがあるからです。

またカテーテルを猫の尿道に入れるので傷つく恐れがあったり、猫にとっても大きなストレスをかけてしまいます。圧迫排尿と同様に尿道カテーテル処置も病院によって料金が変わりますが1000円〜2000円ほどかかります。

膀胱穿刺

これは、エコーで膀胱を確認しながら、膀胱に直接針をさして尿を採尿する方法です。メリットとしては、無菌的に行えるのできれいな尿を採取することができます。デメリットとしては、猫ちゃんをひっくり返す必要があるため、嫌がる子も多く性格などによっては難しい場合もあります。

まとめ

トイレにいる猫

猫はオシッコに結晶や結石ができたり、膀胱炎など泌尿器疾患にかかりやすい動物です。猫のオシッコのphの値や実際に結晶が出ていないか、潜血反応がないかどうかなどによって治療法が変わるため尿検査が必要になるためお家で猫の採尿をしてもらうことになります。

しかし猫は神経質なところがあるため上手く採尿ができなかったり量が少なく検査ができないことがあります。ウロキャッチャーや採尿シートなど色んな方法で採尿することはできますが、どれも大事なのは猫にストレスをかけないことです。ストレスによって逆にトイレを我慢してしまい膀胱炎を発症してしまったり粗相する原因になってしまうからです。

もしそれでもお家で猫の採尿ができない場合は動物病院でお預かりをし採尿することもできますが、緊急性がない限りは無理矢理猫を押さえつけてオシッコを強制的に出させることは猫に大きなストレスをかけてしまうため病院側としてはお断りする場合があります。

どうしたら上手く採尿できるのか、猫だけではなく飼い主さんも負担がかからない方法を一緒に考えることが大切だと思います。

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