猫ちゃんの寿命があがった背景は…
私たち人だけではなく猫ちゃんの寿命も1980年代では5歳未満だったのに対し現在では16歳くらいと大きく伸びています。実際に私が働いている動物病院で通院している猫ちゃんの中に20歳を超えている子がいます。
昔と比べて動物病院の数が増えたり医療の発達、病気ごとに調節された療法食などが猫ちゃんの長生きに繋がる要因です。
しかしそれだけではなく、病院に連れてきた時には状態がかなり進行しており、若い年齢で亡くなってしまうケースも少なくはありません。
猫ちゃんが健康で長生きできるためには、元気でも定期健診を受けることや飼い主さんが「何かおかしい」と思ったときに早めに受診することなどが大切です。
猫は人よりも早く年をとる
自分の愛猫の年齢をちゃんと覚えていますか?猫ちゃんの年齢はもちろん人よりも速いスピードで年をとります。よく飼い主さんから「うちの猫はまだ若い?それとももう年をとっている?」と聞かれることがあります。
猫ちゃんの年齢が1才の場合、人の年齢に例えると約20歳といわれておりその後1年ごとに5歳ほどのスピードで年齢を重ねます。だとしたら、たったの2ヶ月で猫ちゃんにとっては1年経っていることになります。
そのため見た目では老けてないからまだ若いと思いがちですが実際はそうでもないのです。
猫が元気で長生きできる秘訣とは
室内飼い
最近、室内飼いの猫ちゃんが増えましたが、外にでることがある子もいます。外にでてしまうと病原体をもらい感染症をひきおこしてしまったり、交通事故や他の猫と接触し怪我をするケースなど危険がたくさんあります。
実際に外にでる機会のある猫ちゃんの寿命は12〜13歳といわれており、平均寿命よりも2〜3年ほど早く亡くなっていることが分かります。安全のためにも100%室内飼いにしてあげることが大切です。
定期健診
私たちの1年は猫ちゃんにとって5年も経っているくらい早く年をとります。そのため病気にかかった場合、進行がとても早く早期発見・早期治療をする事で病気の悪化を防ぎ、寿命が伸びます。
猫ちゃんの性格にもよりますが具合が悪くても目立つ症状を出さなかったり、我慢してしまう傾向があり、すぐに気づくことが難しいです。早く異常に気づいてあげるために、年に最低1回は血液検査をおこなうなど定期健診をすることが大事です。
実際に毎年検査しているお陰で早期発見し、早めに治療することができた子は長生きしている傾向があります。
予防接種やウイルス検査
鼻水やクシャミ、目ヤニが多くて赤いなどの症状をおこすいわゆる「猫カゼ」はウイルスや猫ちゃん自身の免疫力低下が原因で発症します。またウイルス性のものは完治が困難で一生治療が必要になるケースが非常に多く、猫カゼを繰り返したり、治りにくい猫ちゃんは予防接種をしていないことが多いです。
そのためワ予防接種を毎年1回受けることをお勧めします。ワクチンの効果は薬1年で低下しますので、毎年打つようにしましょう。
また保護猫の場合、猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスに感染している可能性があり、感染している場合は他の猫ちゃんに移してしまうこともあります。また、同居猫がおらず、室内飼いであったとしても病気の有無を確認しましょう。感染が確認された場合は、今後の生活注意することを獣医師に確認し、健康状態に気を配っていきましょう。
食事管理
仔猫の頃は成長期なため多く与えても問題はありませんが1年を経つと成猫になり、また去勢(避妊)手術をした後はホルモンの影響により太りやすくなるため食事管理が必要になります。肥満になってしまうと糖尿病や泌尿器疾患などにかかりやすくなるからです。
また高齢になると腎臓に負担がかかりやすくなるので低タンパク食に切り替えたり、胃腸が元々弱い子は消化しやすいフードにしたりなど年齢や体質、病気に合った療法食をあたえることが悪化を防いでくれます。
血液検査の結果で獣医師と相談することも大切ですが毎日あげるご飯だからこそ愛猫の健康に大きく繋がります。
ストレス
猫ちゃんはストレスに敏感で弱いです。そのためささいな環境変化でもストレスを感じていることが多く私たちが気づかないことも非常に多いです。
人と同じことでストレスは健康に悪影響をあたえてしまいますよね。なるべくストレスをあたえない環境作りが大事です。できるだけ部屋の家具を移動しない、頻繁に模様替えしないなどの配慮してあげることです。
また愛猫が安心できる空間を作ってあげると更に良いです。狭いところや高いところが好きなのでキャットタワーや猫ちゃんの体がスッポリ入るサイズの箱を用意することもよいでしょう。
またストレス発散のために爪とぎを用意したり、オモチャを使って遊んであげることも大切です。
去勢(避妊)手術
メス猫は乳腺腫瘍や子宮蓄膿症、オス猫は精巣腫瘍など性ホルモンに関係する病気を防ぐことができます。猫ちゃんの場合は腫瘍の約80%が悪性といわれているため生後6ヶ月くらいから手術が可能になるので早めに去勢(避妊)手術を受けるように勧めます。
また病気の予防だけではなくマーキング行為や発情期にみられる過度な鳴き声を抑えることもでき、猫ちゃん自身の性格も大人しくなる傾向があります。
日常生活
ブラッシングや爪切り、歯磨きなど日常ケアをすることによって猫ちゃんの体の状態をいち早く気づき、病気の早期発見ができます。しかし猫ちゃんの中には体を触られるのが苦手な子がいますので、日頃から撫でてあげ触られることに慣らしておくことが大事です。
その他にもこまめにトイレ掃除をしたり十分な飲み水を常に置き、適切なフードをあたえる、香りが強い香水やタバコを控えるなど生活環境を清潔に保つことも必要です。
その際にいつもと違う様子があったり症状がある場合は自己判断せず必ず動物病院に電話したり受診してください。
まとめ
動物医療が進歩したといっても私たち飼い主が愛猫の事をちゃんと気づいてあげられるかどうかによって寿命が左右されます。
残念ながら猫ちゃんと会話することができず、私たちよりも早く年をとってしまうので、日々気をつけてあげられることが早期発見し、健康に繋がり長生きすることができます。
愛猫の異変に1番早く気づくことができるのは私たちしかいません。また何かの病気を発症した場合も、どのように治療をおこなうのかを決めるのも私たちです。
後悔しないためにも、愛猫に今、何をしなければいけないのか、見つめなおしていただけたら嬉しいです。