猫に香水は危険である理由
香水の毒性
香水は化学合成物質です。香水には有害とされる物質が多く含まれています。代表的なものは「アルデヒト・ベンゼン・アセトン・ベンジル」などです。これらの物質を吸引、吸収(皮膚吸収含む)すると、皮膚への刺激(かぶれ、湿疹、皮膚のただれ等)アレルギー(かゆみ、じんましん、皮膚のただれ、目のただれ等)気管支や呼吸器への悪影響(咳、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、涙等)が起こります。また発がん性の恐れが懸念されています。
製品は「国の安全基準」に基づいて製造・販売されていますが、それは「人間の体に対しての安全基準」です。また安全基準はクリアしていても、近年言われる「香害」という言葉に表されるように、多くの人に香料に対してのアレルギー反応が見られています。人間でさえそうなのですから、猫にとっての香水の害はなおさらです。
これらの物質は、香水のみならず、香り付きの洗剤、柔軟剤、除菌・殺菌スプレー、消臭剤、ルームフレグランス、シャンプー、リンス、化粧品など、多数の「香りつき」の製品にも含まれています。繰り返しになりますが、製品は「国の安全基準」に基づいて製造・販売されているものの、それは当然、「人間の体に対しての安全基準」です。
化学物質は「肝臓」で解毒される
肝臓は摂取した栄養が血液にのって集まる器官です。肝臓に集められた栄養は、さまざまな物質に変えられて身体に活用されます。肝臓は代謝器官であり、主に3つの働きがあります。
①栄養の代謝
②胆汁を作る
③有害物質の解毒
香水の化学合成物質が猫の身体に入ると、血液にのって、肝臓に集められます。そして化学合成物質は「肝臓」で分解、解毒されます。
猫の肝臓は人間より小さい
肝臓の「解毒作用」によって、身体に入った有害物質は解毒されるわけですが、人間に比べて体の小さい猫ですと、分解しきれず「中毒」が起こってしまいます。直接摂取でなく皮膚からの摂取でも危険が伴います。皮膚についた香水の化学物質は、血液循環を巡って肝臓に到達するからです。
人間と猫では肝臓の解毒機能が違う
猫の肝臓には人間や犬の肝臓にある解毒に重要な「グルクロン酸抱合」がありません。ですから人間なら大丈夫でも、猫の肝臓には分解できない香水の化学物質もあるのです。
猫のいる部屋で香水を使用する際の注意点
香水を使う時は部屋に猫を入れない
とくにスプレー式の香水は思った以上に拡散されるものです。猫が吸引しないよう、部屋に猫は入れないでください。また香水を付けたあとは部屋の窓を開け、換気を十分に行ってください。
床に垂れた香水はふき取る
猫が誤って舐めてしまう危険もさることながら、猫が歩いたり、床に転がったりしたときに毛についてしまう可能性があります。猫は毛づくろいをしますから、猫の身体に香水がつくと、毛づくろいの際に舐めてしまう恐れがあります。
猫に香水をつけるのはやめましょう
猫の皮膚は丈夫ですが、人間の皮膚より非常に薄くできています。猫が怪我をすると、小さな傷でもいつの間にか膿んで、皮膚に大きな穴ができてしまうことがありますが、それは猫の皮膚が薄いためなのです。皮膚が薄いということは、皮膚からの摂取も容易ということです。ですから猫に香水をつけるのは絶対にやめましょう。
アロマセラピーは猫には危険
上のような理由から、エッセンシャルオイルによる猫へのアロママッサージもお勧めできません。精油は天然成分100%ですが、1000倍もの有機化合物が凝縮されています。植物の有機化合物は「グルクロン酸抱合」で分解されるのですが、先にあげたように猫の肝臓には「グルクロン酸抱合」がないため、有害な物質となります。従って香水と同様に、猫にエッセンシャルオイルを使うのはやめましょう。
人間は雑食動物であるため、植物成分も分解、解毒できる肝臓に進化しましたが、猫は肉食動物であるため、不必要なグルクロン酸抱合は退化したのだと言われています。
香水は猫が舐めない箇所につけましょう
香水をつけるのは衣類で覆われる箇所にし、手首や足首など、猫が舐めたり触れたりする可能性のある箇所は避けましょう。付け終ったら石鹸で手を洗います。
猫が香水を舐めてしまった時の対処法
猫が誤って香水を舐めてしまったら、少量ならば牛乳を飲ませて様子を見てください。ただし、ぐったりしているなど重度な症状の場合はすぐに獣医にかかってください。猫がある日突然ぐったりして、昏睡状態に陥り、調べたところ、中毒が原因であったというケースもあります。
香水が猫にかかってしまった時の対処法
万一猫に香水がかかってしまったら、洗い流して落としてください。その際には石鹸を使用するのが望ましいです。仕上げに酢やクエン酸を水で30倍に薄めたものをリンスとすると、毛皮がふんわりします。
まとめ
猫は香水を好きなのか嫌いなのかと言うと、大多数は「嫌い」です。人間より嗅覚の鋭い猫にとっては、香水の匂いは刺激が強すぎるのです。しかし香水によっては好まれる香りもあるようです。「ムスク」は「麝香」という動物性の成分が元になっていて、これはフェロモンの一種になります。そのせいかアンバームスクの香水を好む猫もいるようです。
しかし、「好き」なのと「安全」なのは別ですから、やはり猫に香水はやめておいたほうが安心ですね。