第三の喫煙とは?
「受動喫煙」という言葉の方が馴染み深いかもしれませんが、人の吸ったタバコの煙を吸い込むことを「二次喫煙」といいます。しかし、20年ほど前から受動喫煙にはもうひとつの形があることが分かってきました。
それは、「タバコが吸われたあとの部屋にいるだけで、タバコの影響が出る」というもの。これを三番目のタバコの吸い方という意味で「三次喫煙」と呼びます。
三次喫煙のメカニズム
三次喫煙で特に注目されているのは、壁などに付着したニコチンが空気中の亜硝酸と反応してできるニトロソアミンという発がん性物質です。このニトロソアミンを含む三次喫煙は、次のプロセスで起こります。
①誰かがタバコを吸う
②ニコチンが衣類や髪の毛、家具や車のシート、さらにはホコリに着く
③着いたニコチンが時間とともに変化して、発がん物質に変わる
④それを呼吸したり直接口にしたりして、体内に取り込む
空気清浄機では防げない
この悪循環を防ぐのに思いつくのが空気清浄機ですが、微粒子を除去するのが主な仕事の空気清浄機では、空気はきれいにならないのです。
タバコの煙に含まれるガス状の有害物質(ニコチンなど)は、空気清浄機を素通りするといわれます。タバコ臭に対応した強力な空気清浄機はありますが、完全にクリーンな空気にできるものは今のところないのです。
猫と三次喫煙
禁煙するだけでもダメ。布類を全部洗い、家中を掃除してもまだ影響の残る可能性のある三次喫煙。人なら乳幼児に、ペットなら猫に影響が出る確率が高いといわれています。
1. 空気を吸う
猫が影響を受けやすいのは、室内飼いの場合、部屋に一日中いるからです。これは、壁等から出るニトロソアミンに常にさらされているということに他なりません。
しかも猫は、煙の吸着したホコリが溜まりやすい床の上にいることがほとんどです。言い換えれば、猫はホコリや壁からのタバコの煙を吸う確率が人より圧倒的に高いのです。
2. 身体や床・家具を舐める
猫は、気になる臭いのする床や家具を丹念に臭ったり、舐めることが多いもの。さらに、タバコの煙は毛に付きやすいのに猫は毛繕いが大好きです。この全身を舐め回すという猫独特の習慣が、犬より三次喫煙の影響を受けやすい大きな原因となっているのです。
猫に出る三次喫煙の影響とは?
「三次喫煙の影響でなる猫の病気」というものはまだはっきりしていません。ただ、喫煙習慣のある家庭の猫は、悪性リンパ腫になる可能性が高いことが知られています。ご存じの通り、悪性リンパ腫は猫の寿命を縮める恐ろしい病気のひとつです。
おそらく二次三次ではなく、受動喫煙全体として影響を受けているのでしょう。しかし、その毒性の強さを考慮すると、三次喫煙の影響の方がはるかに大きいのかもしれません。
まとめ
タバコは人間の体に明らかに不都合をもたらし、生命をも脅かします。まして体の小さい生きものへの影響は甚大です。
煙を避けるだけでは逃れられない喫煙被害。三次喫煙という新たな喫煙被害の実態が明らかになってきている今、飼い主はタバコとの距離を考え直す時期に来ているのかもしれません。