猫吸いとは
皆さんは、猫吸いという言葉を聞いたことがありますか?猫吸いとは、その名の通り猫を吸うことです。
猫吸いのやりかた
猫吸いの具体的な方法は、猫の体に自分の顔を埋めて口をつけ、ズズズーーーっと息を吸います。時にはカプッとくわえた状態で吸います。体の部位はお腹や頭、耳や鼻先など、飼い主さんによって好みの場所があるようです。
猫吸いを有名にしたのは坂本美雨さん
この猫吸い、ミュージシャンの坂本美雨さんが紹介したことで有名になりました。坂本美雨さんは、坂本龍一さんと矢野顕子さんをご両親に持つ、まさに音楽界のサラブレッドです。ドラマ主題歌を歌い、若干16歳で70万枚以上のCDセールスを記録。外国暮らしが長いバイリンガル、等々スゴイ経歴の持ち主なのですが、猫に対する愛情はさらにスゴイようで……。
自称「猫吸い妖怪」、大の猫好きである坂本さん。動物愛護団体に保護されていた、サバ美ちゃんという猫と暮らしています。「猫はお吸いもの」なのだそうで、事あるごとにこのサバ美ちゃんを猫吸いしているとのことです。
坂本さんは『ネコの吸い方』という猫吸いの本を2014年に出版されています。また、人には理解されにくい、さまざまな趣味嗜好を持った人たちをゲストに招いてトークする『アウト×デラックス』というテレビ番組に、坂本さんが出演された時のこと。サバ美ちゃんに似たぬいぐるみを使って猫吸いを実演、猫好きな他の出演者がドン引きする中、見事アウトな人と判定されたというエピソードもあります。
猫吸いは猫好きなら常識?
なお、この猫吸い、動物好きで知られるタレントの中川翔子さんも共感されているようです。中川さんだけでなく、ネットを見てみると実に多くの猫好きさんが、猫吸いを実践してしていることがわかります。ネットで「猫吸い」と検索すると、たくさんの情熱的な猫吸い画像がヒットします。
猫吸いには感染症の危険性も
猫好きならば一度はやったことのある、やってみたい(?)猫吸いですが、病気感染の危険もあります。ズーノーシス(zoonosis)です。
ズーノーシスは人畜共通感染症とも言い、その名の通りさまざまな動物から人間へ移る病気の総称です。もっと簡単に、ペット感染症などと表現されることもあります。
ズーノーシスには現在(2017年)でも数多くの種類がありますが、病原体の変異などにより、これからさらに数が増えてくるだろうと予想されています。
ここでは、猫吸いによって感染の恐れがあるズーノーシスをいくつかご紹介します。
猫ひっかき病
筆者は猫ひっかかれ病という呼び名のほうがなじみがあるのですが、猫ひっかき病が正式のようですね。病名が示す通り、バルトネラ菌に感染した猫にひっかかれたり、咬まれたりすることで感染します。
人間に感染した場合の主な症状は、次のとおりです。
- 患部が赤く腫れる、ただれる
- 頭痛、発熱
- リンパ節の腫れ
ほとんどの場合、猫側には症状は出ません。感染した人間も、風邪気味なのかな?と勘違いしてしまうことがあります。
パスツレラ症
こちらも、猫にひっかかれたり、咬まれたりしてうつる病気です。原因は細菌。パスツレラ属の菌は、ほとんどの健康な猫や犬の口の中に潜んでおり、特別なものではありません。
症状は、次のとおりです。
- 傷口がひどく腫れ化膿する
- 重症化すると、細胞の壊死など危険な状態になることもある
- ごくまれに、空気感染で呼吸器に影響が出ることもある
体力が低下している時は、発症の危険性が高まるので、免疫力が落ちる持病を持っている方やお子さん、高齢の方などは、特に気をつける必要があります。
回虫症
人に感染すると、トキソカラ症と呼ばれます。猫などの糞や毛には、寄生虫の卵が潜んでいる場合があります。猫吸いにより、これらを吸い込むことによって、感染する病気です。どろんこ遊びや砂場遊びで、虫の卵が混じった土や砂を吸い込んだ子供が感染するケースなどもあります。
回虫はお腹の中に入ると、宿主の摂取した栄養を奪ってしまいます。感染している猫は、痩せる、食欲不振、栄養失調、下痢、お腹が膨れるなどの症状が出ることがあります。しかし、もともと健康だった猫の場合は、無症状のこともあります。母猫から子猫へ感染するケースもあるので、生まれて間もない猫でも要注意です。
本来猫の腸内が適した環境の回虫が人間の体内に入った場合、現れる症状も違ってきます。症状は、回虫が入り込んだ臓器によって異なります。
- 体がだるい、熱が出たといった比較的軽い症状
- 重篤なものだと、てんかんのような症状や、失明することもある
トキソプラズマ症
生肉を食べることや、猫の排泄物経由で寄生虫に感染する病気です。猫も人も免疫力が通常の状態であれば、発症しないことも多くあります。また、過去に一度でも感染しており、抗体ができている場合も問題はありません。
しかし体力が弱っている時に感染すると、人の場合はリンパ節の腫れなどが出ることがあります。また、妊婦さんが感染した場合には、流産の危険性や、赤ちゃんの脳への悪影響などが報告されています。
いたずらに恐れる必要はないが、注意は必要
猫吸いによってズーノーシスが発生する確率は低く、必要以上に怖がることはありません。ですが、風邪など他の病気と紛らわしいものが多く、病気が特定されるまでに時間がかかる場合もあり、その間に重篤な症状になってしまうこともあります。
また、多くは早めの診断や、適切な治療で完治させることが可能ですが、一度発症すると、治りにくいものが多いことも特徴です。
まとめ
猫好きさんに人気の猫吸いですが、感染症の危険性もあるというお話をご紹介しました。
ズーノーシスはノミなどが媒介役になることも多いので、猫のノミ対策を万全に行うことも重要です。常に自分や猫の体調に気を配り、猫をかわいがったあとには、手洗いを徹底する、のどや口をすすぐことも有効です。
そして、もちろん猫との過剰な接触をひかえることも大切と考えられます。嫌がる猫に無理やり猫吸いをしてひっかかれたら?病原体の付着した毛を吸い込んでしまったとしたら?行き過ぎたスキンシップは、本来うつらなくても済んだかもしれない病気を自ら取り込んでしまうという危険性をはらんでいます。
もしも飼い主さんが寝込んでしまったら、猫のお世話も満足にできなくなってしまいます。ご本人ももちろん辛いですが、家族である猫ちゃんたちだって困ってしまうでしょう。猫とともに健やかな生活を送るためにも、猫吸いはほどほどに!
20代 女性 うづきまる
猫とのコミュニケーションにもなりますし、飼い主のストレス発散にも役立ちます。好きな相手の匂いを嗅ぐことはリラックス効果も証明されています。
ですが、人間ではなく相手は猫なので感染症などには気を付けなければなりません。
勿論移される可能性だけではなく、猫にも危険が潜んでいる場合もあります。
したがって、猫吸いのような愛情表現は頻繁についしてしまいがちではありますが、長時間吸い続けないように注意しましょう。
長時間の猫吸いは猫にとってもストレスになるので、頻回になってしまったとしても短時間におさめるようにして下さい。
40代 女性 なつ
愛情表現ですので毎日します。病気になったことはないので、たぶん大丈夫だと思っていました。猫ひっかき病にはなったことがあります。
リンパ腺が腫れましたがお医者さんに診ていただいてお薬を処方してもらいそれを、しっかりと飲んで治しました。それ以来、少し引っ掻かれたくらいでは猫ひっかき病にならなくなりました。我が家の猫ちゃんもあまり引っ掻かなくなったので、安心しています。