猫の避妊手術について
猫を飼い始めると避妊手術を受けた方がいいか悩まれる方は多いと思います。手術と聞くと怖いイメージや可哀想だと思うかもしれません。しかし避妊手術はメリットがたくさんあり寿命が延びるともいわれています。
猫を飼うと決めたなら最期まで責任持って飼う必要があります。まずは猫について正しい知識を付け、その上で避妊手術をどうするか考えましょう。では、猫の発情や避妊手術について詳しく説明していきます。
猫の発情期について
猫は生後6か月前後で初回の発情期がきて子供を産める身体になります。発情期間は10日前後続き、年3〜4回程度発情期間が訪れます。
猫の避妊手術をしないとどうなるか
避妊手術をしないと定期的に発情期が訪れます。発情中は、昼夜問わず特有の大きな声で鳴き続けます。この鳴き声が飼い主さんの悩みの種になるようです。また発情中はあちこちに尿をする、身体を人や物にこすり付けるなどの行動が見られます。その他、避妊手術を行わない場合は、卵巣や子宮などの病気になるリスクが高くなります。
猫の避妊手術のメリット
病気の予防
乳腺腫瘍、子宮蓄膿症、子宮内膜炎、卵胞嚢腫など卵巣や子宮に起きる病気を予防することができます。1歳未満で避妊手術を受けた猫は乳腺腫瘍の発症率が80%以上減少します。特に猫の乳腺腫瘍は9割が悪性であり、予後が良くありません。避妊手術を行わない場合、乳腺腫瘍になる確率が2.7倍と高いため手術を勧める獣医師が多いようです。
発情期のストレスを軽減できる
発情中は猫自身にもストレスがかかり、食事も満足に摂らないまま昼夜問わず鳴く子もいます。手術を行えばそのようなストレスがなくなります。また特有の大きな声で鳴いたり、あちこちに尿をしてしまったりなどの発情期に見られる問題行動を抑えることができます。
望まない妊娠を避けられる
猫は年3〜4回妊娠することが可能で、一度の出産で4〜6匹産みます。このため避妊手術をしないとあっという間に増えてしまいます。室内飼いでも安心はできません。発情中の猫は飼い主さんの隙を見てオスを求めて外へ出て行こうとします。知らない間に妊娠や出産をしてしまうこともあります。望まれずに産まれた子猫は保健所へ連れて行かれてしまうこともあります。避妊手術をすることにより、殺処分を減らすことにも繋がります。
猫の避妊手術のデメリット
子供を産めなくなる
卵巣や子宮を取り除くため、避妊手術を行えば子供を産めない身体になります。
全身麻酔のリスク
避妊手術は全身麻酔をかけて行います。手術である以上リスクは少なからずあります。少しでもそのリスクを減らすために、術前の検査などをしっかり行うことが大切です。
太りやすくなる
避妊手術を行うと運動量の低下やエネルギーの消費量が低下するのにも関わらず食欲が増すため太りやすくなる傾向にあります。避妊手術後は運動や食事のカロリーなどに気を付けなければいけません。
猫の避妊手術における注意点
猫の避妊手術の適した時期
初回の発情が来る前に避妊手術を行うと病気(特に乳腺腫瘍)の予防にもなることから、生後4〜7か月で手術を行うのが望ましいと言われています。体重は2kg以上と定めている動物病院が多いようです。また発情中は子宮が充血しており手術中の出血が多くなってしまうため発情中の手術は避けましょう。
猫の避妊手術の費用
猫の避妊手術の費用は15000〜30000円程度です。各動物病院によって費用は異なり、術前検査や抜糸代など別途かかることもあります。
安全な手術を受けるために
ワクチン接種
手術を受けると抵抗力が一時的に下がることがあります。身体を守るためにも手術前にワクチン接種を済ましておきましょう。
手術前日の飲食について
動物病院によって異なりますが、基本的に手術前日の夕方〜夜以降はエサも水も与えてはいけません。手術は全身麻酔をかけて行いますので、猫は完全に眠っていて意識のない状態で行います。そのときに胃に入っているエサや水を吐いてしまった場合、喉や気管に詰まってしまう可能性があることから、胃を空っぽにしておく必死があります。
猫の避妊手術後の管理
帰宅後はキャリーケースからすぐ出さない
手術が無事終わり自宅に帰宅後すぐに猫をキャリーケースから出してはいけません。猫の中には病院に預けられたことや痛みにより気が立っている子もいます。そうとは知らずにキャリーケースを開けてしまうと飼い主さんに攻撃してしまうこともあります。
まず自宅に着いたらキャリーケースのまま、しばらくそのままいつも猫がいる場所に置いておきましょう。猫を多頭飼育しているお家は更に注意が必死です。手術を受け帰ってきた猫には動物病院のニオイが付いています。
他の猫にしたら、知らない奴がきた!と思われ嫌われ攻撃されてしまいます。しばらくキャリーケースのまま置いておくことで手術を受けた猫に自宅の臭いを付ける意味もあります。周りの猫や手術受けた猫自身も落ち着いてきたら出してあげましょう。
術後の傷口の管理
傷口を舐めたりできないように、術後はエリザベスカラーや腹帯(傷口を覆うための腹巻きや服)を着けて抜糸まで過ごします。猫の舌はザラザラしているため、傷口を舐めてしまうと糸がほどけてしまったり、傷口が開いて腫れてしまうこともありますので舐めないように注意が必要です。
食欲について
術後はなかなか食事をしない子が多いようです。術後の翌日から少しずつ食べるようになればいいですが、全く食べないようであれば動物病院に受診しましょう。
薬の飲ませ方
術後は自宅で抗生物質などの飲み薬が処方されます。食欲がある場合は缶詰に混ぜてあげるのもいいでしょう。もし薬を飲まない場合は、少量の水で薬を溶かしスポイトで飲ませる、少量のハチミツやマーガリンなどで粉薬を練り猫の上顎に塗りつけるのも効果的です。どうしても飲ませられない場合は、動物病院に相談しましょう。
抜糸
猫の避妊手術は1週間前後で抜糸になります。病院によっては抜糸の必要ない方法で縫合するなど吸収糸で縫うところもあるので、動物病院の先生の指示に従いましょう。
まとめ
猫の避妊手術をするかどうかは、家族として猫を迎え入れたあと考える問題です。健康な身体に手術なんて可哀想だからしたくないという方ももちろんいます。避妊手術はメリットもデメリットもあります。この記事を参考にしていただき、かかりつけの動物病院の先生と相談しながらしっかり考え決めましょう。