猫に漢方ってどうなの?慢性腎臓病と地黄エキスの最新情報

猫に漢方ってどうなの?慢性腎臓病と地黄エキスの最新情報

猫の宿命の慢性腎臓病。AIMや、さまざまな最新治療薬が注目されていますが、今回はその中でも人間にもよく使われ、アメリカで注目され始めた「地黄」に関連した記事です。

SupervisorImage

記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

地黄とは?

『地黄』とは、昔から漢方に使われてきた植物の根っこです。

地黄の花

六味地黄丸などに含まれ、腎臓の弱い子供などによく使われてきました。

最近、この漢方に含まれる地黄がアメリカなどで注目されるようになってきました。

血圧を下げる作用などは西洋薬と同じなのですが、桂枝などと組み合わさることで体の冷えなどを防ぎ、体全体の循環が良くなるので、むくみや冷えなどの体全体の不調を改善するからではないかと言われています。

漢方茶

中国では食欲改善効果などもあると言われており、今までの西洋薬に加えて注目が集まっています。

地黄エキスを使ったマウスの実験

結紮による腎虚血モデルのネズミにおいて、ACE阻害剤や糸球体脱感作といったコントロール群に比べても、地黄エキスの投与で血流は通常レベルにまで改善し、死亡率及び高血圧の改善が見られた。

出典:In a model of renal ischemia, ligated rats that received Rehmannia extract showed improved renal blood flow (to near normal levels) and reduced mortality and hypertension compared to controls, through either ACE inhibition or juxtaglomerular desensitization.JVCジャーナル猫のための統合医療 2018年11月1日記事

論文として出されたものは少ない

ラベンダー畑にいる猫

うちの近くの獣医さんが非常にお年なこともあり、漢方が処方されることがよくあったのですが、英語の論文を調べてみると猫の漢方についてはほとんど出されていませんでした。

ところが、最近になって猪苓湯や五苓散など、英語で論文が書かれるようになり、動物医療にもよくつかわれるようになってきました。

慢性疾患は、けっしてその症状だけがつらいのではないので、全身症状に働きかけてくれる漢方にはこれからも注目てご紹介したいと思います!

参考
http://www.itmonline.org/articles/rehmannia_eight/rehmannia_eight.htm
https://ivcjournal.com/integrative-approach-chronic-kidney-disease-cats/

スポンサーリンク