猫に必要なビタミンとは?摂取できる食品3選

猫に必要なビタミンとは?摂取できる食品3選

猫も偏ったものばかりを食べていたりすると体調を崩してしまうこともあります。飼い主さんも知っておきたい猫に必要なビタミンなどについてご紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

猫に必要なビタミンって?

りんごに顎を乗せるグレーの猫

猫の健康維持するに必須なものの1つが「ビタミン」です。

ビタミンをきちんと摂取をしなくては、欠乏症などにもなってしまうのですが、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。

ビタミンA

猫にとってビタミンAは体内で合成できないビタミンなので、非常に大切です。ビタミンAは猫の免疫力に関与したり、粘膜や皮膚を健康的に維持したりしてくれます。

ビタミンD

人とは違い、猫では日光にあたってもビタミンDは生合成せず、全てを食べ物から摂取する必要があります。免疫機能を整えたり、腸管からのカルシウムの吸収を盛んにしたりしてくれます。

摂取しすぎると高カルシウム血症、足りていないと骨粗鬆症になりやすくなります。

ビタミンE

猫にとってビタミンEは、

  • 健康をサポート
  • 若々しさの維持

に欠かせません。
また、血管の壁を丈夫に保って動脈硬化などの病気を予防してくれる働きもあります。

ビタミンB1

ビタミンB1は精神状態を改善させたり、神経活動を正常に保ったりする働き、炭水化物をエネルギーにかえてくれる役割をしています。

猫は犬よりも2~4倍のビタミンB1が必要だとも言われており、栄養バランスを考えなくてはいけません。

ビタミンB2

ビタミンB2は発育のビタミンとも言われ、成長にも欠かせないビタミンです。またそれだけでなく、皮膚や脂質などの代謝を促進してくれます。

脂肪の燃焼にも欠かせないビタミンで、猫にも不可欠です。

ビタミンB6

ビタミンB6は、アミノ酸の合成や分解をはじめとした、様々な物質の代謝にかかわります。

ビタミンB12

皮膚や被毛の健康に欠かせないのがビタミン12です。また、ヘモグロビンやアミノ酸の生成にもかかわっています。

ビタミンC

ビタミンEの再生やカルシウムの吸収をうながす役割がありますが、人間やサル、モルモット以外の動物の多くは、犬や猫も含めビタミンCを体内で合成することができます。

ですから、意識しなくても不足してしまうことはないでしょう。

ナイアシン(ビタミンB3)

ニコチン酸アミドの総称のナイアシンは、炭水化物やタンパク質、脂質の代謝に必要なビタミンです。また、血管拡張作用もあります。猫では体内で合成する能力が非常に低いため、食べ物から十分量を摂る必要があります。

葉酸(ビタミンB9)

ビタミンMとも呼ばれる葉酸は、DNAや赤血球の合成にかかわっています。 不足してしまうと、

  • 精神活動の低下
  • 貧血
  • 妊娠中の母猫で不足すると、胎児の異常

などの症状を来すこともあります。

諸説もありますが、猫が草を食べるのは葉酸を摂取しようとする本能かもしれないとも言われています。

パントテン酸(ビタミンB5)

パントテン酸はあまり聞き慣れないものですが、脂肪や炭水化物、たんぱく質の代謝にかかわるともに、皮膚の健康にも重要な役割を果たしています。不足してしまうと、脂肪肝や成長不良になってしまうこともあるようです。

監修獣医師による補足

タウリン

タウリンはアミノ酸から作られておりビタミンではありませんが、猫では必要な量が多くまた体内で合成することができないため、猫の食事に非常に重要な栄養素です。不足すると、心筋症や繁殖能力低下のリスクがあります。また消化を促進する作用も持ち、胆汁酸と結合して抱合胆汁酸を形成しています。総合栄養食の猫用フードには十分量のタウリンが含まれていますが、手作りごはんを与えている場合にはサプリなどでも補えるようになっています。

獣医師:木下 明紀子

ビタミンを摂取できる食べ物

キャットフードと見上げる猫

猫にもビタミンが欠かせませんよね。では、ビタミンが摂取できる食べ物にはどのようなものがあるのでしょうか。

食べ過ぎや塩分摂取には気をつけながら、参考にしてみてください。

牛肉

生肉と野菜とキャットフード

牛肉にはアミノ酸やビタミンAが豊富です。

これらは猫の健康を維持するのに、絶対必要な栄養素です。

しかし、赤身肉を食べてもすべての栄養素を補えるわけではないので、食べさせ過ぎには気をつけてくださいね。

豚肉

豚肉と猫

豚肉はよく加熱して与えることができます。

豚肉にはビタミンB群やタンパク質、亜鉛、鉄分が豊富でビタミンB1は牛肉の10倍あります。与え過ぎに気を付ければ、食べさせることができるでしょう。

鶏肉

鶏肉と猫

鶏肉は茹でるなどの調理をして食べさせることができます。タンパク質だけでなく、ビタミンAやB群、鉄分、亜鉛などが豊富です。

まとめ

ご飯を食べているシャム猫

猫にとってビタミンは生命維持に欠かせない栄養素です。

牛肉や豚肉、鶏肉などでビタミンを摂取させてあげることもできますが、調理方法などにも気をつけて、食べさせ過ぎにはくれぐれも気をつけて食べさせてあげてくださいね。

監修獣医師による補足

動物の栄養学の研究も進み、猫においても総合栄養食には各栄養素が十分に含まれているため、栄養欠乏症はあまり聞かれなくなりました。

しかし、総合栄養食ではない「一般食」や「副食(おやつ)」などをメインに食べていた猫や成長期の子猫でのビタミンB1欠乏症などは今でも報告があります。

総合栄養食を食べていて健康に問題がない猫では、フードを細かく気にしたりサプリメントを利用する必要はありませんが、手作り食を与えている飼い主さんには、栄養バランスはとても気になるところですね。

ビタミンというと「たくさん摂ることが体に良い」と思われることも多いようですが、過剰な摂取も良くありません。また、栄養素によって多少過剰に摂取してもほとんど問題とならないものから、摂取して良い範囲がかなり狭いものまで様々です。

手作り食を与える場合には、猫の栄養学に詳しい獣医師や専門家に相談してメニューを決められると良いと思います。

獣医師:木下 明紀子

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