猫にミネラルウォーターを与えても大丈夫?
水は猫が健康を保つ上でとても大事なものです。体内の約60%が水分であり、猫の理想的な水分量は体重1kgあたり50〜60ml。水をしっかり飲むことで、猫がかかりやすい腎臓病を予防できます。
最近は水の種類も豊富で、水道水や天然水、ミネラルウォーターなど様々です。今回はミネラルウォーターに注目して解説したいと思います。
まず結論から言うと、飲み水として猫にミネラルウォーターを与えても大丈夫です。
猫に与えるのは、中性で軟水の水が適しています。ミネラルウォータはph値が7と中性なので、猫が飲んでも問題ありません。
しかし、ミネラルウォータには硬水と軟水があるので注意が必要です。ミネラルやカルシウム、マグネシウムの量によって軟水と硬水に分かれますが、硬水はあまり猫にとって良くないと言われます。
日本のものは軟水が多いので大丈夫ですが、海外製は注意が必要です。
硬度の高いミネラルウォーターは与えてはダメ
硬度の高いミネラルウォーターには、カルシウムとミネラルの一種であるマグネシウムが多く含まれています。ミネラル補給に役立ち、動脈硬化の予防や便秘解消の効果が期待できるなど、人間にとってはメリットがあります。
しかし、猫にとってはそうではありません。猫は硬度の高いミネラルウォーターを飲み続けると、カルシウムとマグネシウムの大量摂取により尿路結石症などを起こす可能性があります。
猫の健康を考えても、硬度の高いミネラルウォーターを与えることはダメなのです。
軟水なら猫に与えても大丈夫
硬度の低い軟水であればカルシウムやマグネシウムの濃度が低い為、猫に与えても大丈夫だと言えます。コンビニや自動販売機などでよく見かける『南アルプスの天然水』は、軟水なので猫に与えても大丈夫でしょう。
〈軟水の基準〉
- 日本での軟水の基準は、硬度が100mg/L 以下
- 世界保健機関(WHO)の軟水基準は、硬度が0~60mg/L 未満
【軟水】猫に飲ませてもいいミネラルウォーター
- 森の水だより (硬度:27mg/L)
- 南アルプス天然水(硬度:30mg/L)
- 六甲のおいしい水(硬度:40mg/L)
【硬水】猫に飲ませてはいけないミネラルウォーター
- エビアン (硬度:304mg/L)
- ヴィッテル (硬度:768mg/L)
- コントレックス(硬度:1468mg/L)
硬度が低ければ尿路結石症にならないのか
主な尿路結石症には、カルシウム由来の『シュウ酸カルシウム結晶』とマグネシウム由来の『ストラバイト結晶(リン酸アンモニアマグネシウム)』の2種類があります。
ストラバイト結石は、飲み水や食べ物が原因でなる場合が多いようです。しかし、他にも原因はあるので、予防として低マグネシウムのフードや飲み水に気をつけていたとしてもストラバイト結晶ができる可能性はあります。
また、マグネシウムの量を減らしすぎてしまうとシュウ酸カルシウム結晶になることも。愛猫にはどのような水をあげるべきなのか、動物病院で指導してもらうのがよいでしょう。
猫にミネラルウォーターを与えるときの注意点
実際、猫にミネラルウォーターを与える時、どのようなことに注意すべきでしょうか。
人間にとって安全でも動物たちに必ずしも安全とは限りません。水道水より安全だと思われているミネラルウォーターですが、猫には注意が必要なこともあります。
雑菌が繁殖しないようにする
猫に与える水は長時間置いておいたり、舌をつけて飲んだりするので水の中で雑菌が繁殖しやすくなります。
水道水には、雑菌が繁殖しないように健康を害さない程度の塩素が含まれています。しかし、ミネラルウォーターには含まれていないので、水道水より菌が繁殖しやすいため注意が必要です。
雑菌の繁殖を防ぐために1日に何度も水の交換をしたり、循環型の給水機にしたりするのも良いでしょう。
常温であげるようにする
猫に冷たい水を与えると下痢になることがあるので、基本的にNGです。
人間と同じように胃腸が機能している温度よりも、低い温度の水をガブガブ飲めば腸が正常に機能できずにお腹を壊してしまいます。
ウォーターサーバーなどからミネラルウォーターを与える時は冷たいままあげないように注意が必要です。夏でも冷えた水は与えないようにしてください。
軟水を与える
上記でも説明した通り、猫に硬水を与えると病気のリスクが高くなります。一般的に売られているミネラルウォーターは、軟水が多いものの注意が必要です。
特に海外製は硬水か軟水かをしっかり確認してください。どのミネラルウォーターをあげればいいのか迷う場合は、猫用のミネラルウォーターを選ぶとよいでしょう。
まとめ
猫が健康に生きていく上で大切な水。大切な家族である猫たちにも、よりいいものをあげたいと思いミネラルウォーターを選択する飼い主も多いとおもいます。
しかし、ミネラルウォーターを与えるときはミネラルが多いと『尿路結石症』につながるので、特に硬度に気をつけて下さい。水道水も軟水ですのであげることは可能ですが、心配なのであれば猫用のミネラルウォーターをあげることをおすすめします。
軟水を与えていても病気にならないわけではありません。気になることがあれば、動物病院で相談するようにしましょう。