猫が卵を食べてしまう理由
そもそも的な話になりますが、猫は昔からよく卵は食べています。実際、私自身も野良猫で見たことがありますし、猫の食性からすれば極めて「当たり前」の話です。世界中には猫も含めた狩猟を主とする肉食動物がいますが、蛇も含めて獲物の中には雛や卵は胃の中から見つかる確率は高いでしょう。
ただしどの肉食動物でも共通に言えるのは、「卵を割って食べる」ということです。いわば野生では手軽に摂れるタンパク源というわけです。これは人間も同じ理由で卵を買いますよね。
卵の黄身と白身
実は街でよく見るカラスも、鶏の卵はわざわざ落として路上で黄身だけ食べています。黄身というのは雛の体を作るタンパク質であり、目に見える最大の単細胞です。
一方で白身は親の分泌物で、卵白自体には雛の体を作る栄養素は殆ど含まれていないのです。猫が卵を自分で食べる時も、丸ごと殻付きで食べることはまずありません。
猫に卵を「食べさせる」ことの問題
実際、猫の飼育経験としては、職業上100頭以上は面倒をみてきましたが、猫を飼う方からいつも不思議に思う質問が「~を食べさせても大丈夫ですか?」という質問です。私からは「何故食べさせる必要があるんですか?」と必ず聞き返します。
例えば野良猫で、近所で餌を貰っている猫たちなどは、おなかが減っているから何でも食べそうに思われるでしょう。これが野犬なら確かに何でも口にします。しかし猫は決してそうではありません。猫の場合、野良猫なら自分の好みの餌をくれる人の家以外は、実は注意深く与えられる餌を選り好みしています。猫の食性に何でも口にする習性はありません。
ですから飼い猫を実際に飼ってみれば、同じ餌でも食べる時と食べない時があるでしょう。これは猫は「少量を回数に分けて食べる」ということで、今すぐ狩りの態勢に入れるよう、お腹一杯まとめ食いはしないからなんです。これがハンターの宿命です。猫はネズミ程度の小さな小動物を食べてきたので、消化吸収が早い肉類を食べて、それを運動にすぐ利用できる体になっています。
猫は自分が好む餌をわかっているので、人が与えた餌も選り好みで食べない場合があるのは、「当たり前」の話なのです。猫にとって誤飲や誤食は限りなく確率が低いのはそのためです。好まないものをわざわざ調理してまで猫に与える必要は、絶対に無いです。一般の方が、野生動物の体のような完全栄養食を作れるはずが無いんです。
猫の肉食性の意味とその誤解
猫はよく「肉食性」と耳にするでしょう。しかしこれは「肉類を好む」と大きな誤解をする方が多くて、飼育法を教える時に非常に困ることが多いです。猫も含めた動物の「肉食性」とは、丸ごと獲物の体全部を食べるという意味で、肩ロースとか、脂肪部分とか選んで食べるわけではありません。当然内臓も含めるので、その中には植物由来のビタミン、あるいは動物が摂取したミネラルも、水分も塩分も含まれます。
簡単な話、獲物は「完全栄養食」なのです。これを一般家庭で人工的に作る方が無茶な気がしませんか?一般的な肉食の誤解は、まず第一に「肉を食べている」という人間的な感覚からくる勘違いです。猫も鶏を襲った場合は、内臓ごと食べています。その中には鶏の体の中にある「黄身」も一緒に食べてしまうのです。
卵の白身は食べない
私も経験がありますが、面白いのは卵の黄身だけごっそり舐めとって白身は一切食べないことですね。こういうのは猫には多くて、メザシでも、眼球の固い水晶体は器用に猫は残します。
間違っても猫は卵を丸ごと食べることはありませんが、白身には「ビタミンを壊す成分があるから」という、もっともらしい栄養学の知識を持ち出して茹で卵にして与える人も多いです。
しかし猫の食性からして「本来好まない白身」なので、考えれば猫にとっては余計なお世話ですね。それに黄身だけではどう考えても栄養的に偏ってますから、わざわざ与えて良いかどうかを考えるのはおかしな話です。
猫自身が嫌いなもの、食べられないものを知っている
猫ぐらい食べ物に対する警戒心が強い動物は、ペットでは少ないです。ですが、どうしても初めて猫を育てるというような人は、どこかで目にした情報に惑わされ、「子猫に牛乳」とか、「~を食べさせてはいけない」という、餌は与えるものだという観点でペットを捉えがちです。
しかし貴方が思う以上に、獲物を狙うハンターは偏食家なのです。まず興味や関心で口にする瞬間はあったとしても、それは飼われている環境で人の真似をしているということだけでしょう。人の口にする食料は猫にはどれも合わないと考えて差し支え無いです。
猫に人の食料を与えるのは飼い主のエゴ
あるベテラン獣医師は、猫の肝臓や腎臓の手術経験から「いい加減、人間と動物を同等に考えるのはやめてくれ。余計な世話を焼かなければ猫は病気になりにくい。」とおっしゃっています。可哀想だから人と同じようにさせようというのは、結果的にペットの健康には百害にしかなりません。
猫と卵についてのまとめ
結論を言うのなら、猫は卵の黄身なら好んで食べます。ただしわざわざ与える必要は一切ありません。栄養が足りてないと不安なら、高品質な専用フードに切り替える方が先です。その方が素人が考える以上に栄養学的に信頼がおけます。
個人的には病み上がりで食欲が無いとか、ちょっと痩せてきて夏バテが心配だなという時だけ、ドライフードに黄身を加熱して加えることがあります。それも滅多にないですね。猫には無理に卵を与える必要はないでしょう。
30代 女性 アスパ
時代の流れと共に食べさせてはいけない、という食材も変化すると、個人的には思います。
卵に関して言えば、もちろんわざわざ卵だけを食べさせるという必要はないのかもしれませんが、
病気の愛猫の為、なるべく多くの栄養素を摂らせるのにご飯を手作りして、
その中の1つとして卵を取り入れている、という飼い主さんもいらっしゃいます。
手作りご飯で愛猫の病気の症状が緩和した、という方のお話では、
卵は良質なたんぱく源であり、半熟程度にすると消化が良い、とのことでした。
生の卵白には「アビジン」という酵素の一種が含まれており、それが「ビオチン」というビタミンを破壊してしまうので、大量に食べさせると良くないらしいです。
ですから、生の卵白を毎日食べさせるのは、止めた方が良いそうで・・・。
ウチの猫たちは、卵は食べませんでした
30代 男性 新波
また、記事内にあった猫は白身は食べないというのは意外でした。というのも、SNSなどでゆで卵の白身を好んで食べる猫ちゃんを多く見かけたことがあるからです。うちの猫は興味も示しませんが、多くの猫ちゃんが好むものだと思っていました。
「いい加減、人間と動物を同等に考えるのはやめてくれ。余計な世話を焼かなければ猫は病気にならない。」という言葉は、とてもキツイ言葉に感じますが、事実であると思います。要は、世話の焼き方に問題があるということですね。人間用の食材を、〇〇は加熱すれば大丈夫か?等と考える暇があるなら、愛猫の体質にあった良質な猫専用フードを探す方が、よっぽど猫のためになるということだと思います。
うちの猫は、子猫の頃から人の食べ物を与えたことはなかったので、人が食事をしていても特に欲しがる素振りはみせません。記事にもありましたが、猫は生後半年までに食べたものしか食べないといわれる程、食に慎重な動物です。人がわざわざ与えなければ、人間用の食べ物とは無縁に生きていくのも、そう難しくありませんよね。愛猫に1日でも長生きしてもらうためにも、子猫の頃から人の食べ物を与えないよう、徹底しましょう!
20代 女性 うづきまる
猫には必要な栄養素をわざわざ与える必要がないという意見に賛成です。
人間用の食べ物を与える事によって、体調不良を起こす事故が多いので、ペットにはペット用のご飯をきちんと用意する必要があると考えたからです。
しかし、中には猫ちゃんを人間のように育てている飼い主もいると考えられます。
そのような飼い主は、人間の食べ物を猫が食べられるように調理をして与えている場合が多いです。
少量ずつ与えているのであれば、特段問題はありませんが、猫と人間とでは味覚も異なりますし食の好みも全く合致しません。
自分の子供のように可愛いのは理解出来ますが、ある程度の区別は必要だと考えます。
差別的な考えではなく、あくまで猫ちゃんの健康と長寿を願うためには重要な考え方です。
30代 女性 のりちゃん
子猫の頃に、タンパク質を摂らせようと思い、少し食べさせると、あっという間に目が腫れて発疹が出始めました。
慌てて、獣医師に診ていただきました。血液検査で卵アレルギーだと言うことがわかりまして、治療をしていただきその日は帰れました。
反省と同時に助かって良かったと心から思いました。あのときの緊張感は今でも思い出します。あの時の猫ちゃんは高齢になりましたが元気に暮らしています。
タンパク質は白身の魚を焼いたり炊いたりして与えるようにしました。血液検査の値もきれいになりました。アレルギーは怖いので気をつけてあげなければいけませんね。