猫にドッグフードを与えてはダメ!

犬と猫が一緒に暮らしている家庭では、意図せずとも猫がドッグフードを食べてしまうことがあります。
「まさかドッグフードを盗み食いするなんて!」と驚かれる飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。けれど、ドドッグフードとキャットフードは確かに見た目も匂いも似ていますね。
うっかり少し食べてしまっても大丈夫ですが、犬と猫は全く別の生き物で、必要な栄養素も異なります。そのため、ドッグフードを食事として与え続けるのはよくありません。
ここでは、ドッグフードを猫に与えてはいけない理由、ドッグフードを猫に与えることの危険性、そしてその対策について詳しく解説していきます。
猫にドッグフードを食べさせてはいけない理由

猫と犬では、食事内容、必要な栄養バランス、体内で合成できる栄養素など、さまざまな違いがあります。そのため、猫用のキャットフードと犬用のドッグフードをきちんと区別する必要があるのです。
では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
猫と犬では必要とする栄養バランスが違う
猫と犬は全く別の動物であり、食生活も異なります。猫は肉食動物で、犬よりも1kgあたり2~3倍ものタンパク質を必要とします。そのため、猫がドッグフードを食べると、お腹は満足しますが、たんぱく質が不足してします。
また、子犬用フードには成犬用フードよりも多くのタンパク質が含まれていますが、それでも猫にとっては十分ではありません。猫と犬では必要な栄養が違うのです。
猫が体内で合成できない栄養素が入っていない
タンパク質を構成するアミノ酸の中には、体内で合成できず、食物から摂取しなければならないものがあります。これを必須アミノ酸(essential amino acid EAA)といいます。
犬の必須アミノ酸は、次の10種です。
- バリン
- イソロイシン
- ロイシン
- メチオニン
- リジン(リシン)
- フェニルアラニン
- トリプトファン
- スレオニン
- ヒスチジン
- アルギニン
猫の必須アミノ酸は、これに「タウリン(taurine)」が加わります。そのため、猫がドッグフードを主食とし続けると、犬の必須アミノ酸にはないタウリンが不足することになります。
猫がドッグフードを食べた時の体へのリスク

猫がドッグフードを主食にしていると、必須アミノ酸のタウリンが欠乏し、失明や心筋症になる可能性があります。
また、栄養不足による成長不良や、炭水化物の過剰摂取による消化不良のリスクもあります。そういった体へのリスクも理解しておく必要があります。
タウリン不足による失明や心筋症の危険が増す
タウリンが不足すると、タウリン欠乏症になります。タウリンは多くの役割を担っているため、現れる症状は様々ですが、例として失明や心筋症などが挙げられます。
タウリン欠乏症の中でも、早期発見が望まれるのが進行性網膜萎縮症です。網膜のタウリンが不足することで、網膜の中心部の凹みである中心窩に病変が生じます。
この病変は、後にタウリンを補給しても回復せず、後に失明してしまうそうです。
タウリン欠乏症の中でも、拡張型心筋症は最もよく引き起こされる疾患です。タウリンは心筋の収縮力を維持する役割も担っています。
そのため、タウリンが不足すると心筋の収縮力が低下し、血液を十分に送り出すことができなくなり、拡張型心筋症が引き起こされてしまうのです。
少量のドッグフードを誤って食べてしまっても、体に大きな影響はないと思われますが、主食として与え続けると、タウリン不足になり、これらのリスクを高めることになります。
栄養不足による体重減少や子猫の成長不良を招く
猫も人間と同じように、タンパク質、炭水化物、脂質、ミネラル、ビタミンなどの栄養素を必要としています。これらの栄養素は様々な役割を担っており、不足すると栄養失調になってしまいます。
栄養失調になると、まず体重が減少します。これはエネルギーが不足し、筋肉量が減少するためです。また、毛が過剰に抜け落ち、ツヤがなくなり、パサパサになってします。
また、成長期の子猫で栄養が不足すると、発育が不完全になったり、病気になったりする恐れがあります。
過剰な炭水化物による消化不良が起きやすい
猫はもともと肉食動物なので、健康な猫はあえて炭水化物を食べる必要はないと言われています。炭水化物が40%以上含まれるキャットフードは、嘔吐や下痢、鼓腸などの消化器系のトラブルや、高血糖の原因になることがあります。
理想的なキャットフードは、炭水化物の含有量が15~20%未満です。フード選びの目安にしましょう。
猫にドッグフードを食べさせないための対策

ドッグフードとキャットフードは見た目も匂いも似ていますし、ドッグフードを食べようとする猫も見たことがあります。犬と猫の両方に使えるフードもありますが、前述したように必要な栄養素が違うのです。
基本的に、犬にはドッグフード、猫にはキャットフードを用意し、同居している犬の食事を猫が食べないように、飼い主がしっかりと対策してあげましょう。
勝手に開けられないところに保管する!飼い主が責任もって管理を!
まず、「猫が勝手に開けられないような場所に保管する」これに尽きると思います。
猫はジャンプ力があるので、高いところに置いていても、簡単に手が届きます。猫が勝手に食べてしまわないように、しっかりと封をして、飼い主側できちんと管理するようにしましょう。
また、人間の食べ物の中には、猫にとって有害なものがたくさんあります。ドッグフードだけでなく、人間の食べ物も猫に盗られないように注意が必要です。
猫が食べ物を盗み食いしている!どう躾ければいいの?
猫は大きな声を嫌うので、いきなり大きな声で怒鳴ったりすると、猫にとって飼い主が苦手な存在になってしまいます。また、信頼関係の崩壊にもつながるので、激しい口調で叱るのは避けたいところです。
猫を叱るときは、叱るタイミング、言葉、声のトーン、音量に一貫性を持たせましょう。注意点として、叱るときに猫の名前を呼んでしまうと、猫が「名前=叱られている」と認識してしまうので気をつけましょう。
猫のしつけには、天罰方式が良いという説があります。猫が何かを盗んだり食べたりしたときに、「バン!」と手を叩くなどして大きな音を出すと、猫は「その行動をしたら大きな音が出る」と学習します。
〈天罰方式のしつけとは〉
猫が問題行動を起こしたとき、飼い主さんが直接叱るのではなく、猫にとって不快なこと(嫌な音、大きな音)を起こして問題行動をやめさせるというしつけ方です。
犬がキャットフードを食べ続けるとどうなる?

犬も同居している猫の食べ物を盗み食いしてしまう可能性があります。
必須アミノ酸に関しては問題ありませんが、キャットフードはドッグフードに比べてタンパク質が多く含まれています。犬は消化吸収したタンパク質のうち、一定量しか利用することができません。
そのため、余った分は脂肪として蓄積され、老廃物であるアンモニアになります。アンモニアは毒性があり、肝臓や腎臓などの臓器への負担を増やします。
タンパク質は犬にとって必要な栄養素ですが、過剰に摂取すると負担になります。犬も猫と同じように、キャットフードの誤飲に注意する必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。猫と犬は全く異なる動物であり、食生活も違えば必要な栄養素も異なります。
猫にとってタウリンは必須アミノ酸ですが、これは食べ物から補給しなければならず、ドッグフードで補うことはできません。タウリンが不足するとタウリン欠乏症となり、失明や心筋症などを引き起こすことが分かっています。
また、炭水化物の過剰摂取は、消化不良や高血糖を引き起こす可能性があります。逆に、キャットフードを食べ続ける犬も、肝臓や腎臓に負担をかけることがわかりました。
犬猫兼用のフードもありますが、犬・猫それぞれに必要な栄養をバランスよく摂取できるフードを選んであげたいですね。