お尻のナデナデ本当は嫌い!?猫の撫で方を研究したら意外な事実が判明

お尻のナデナデ本当は嫌い!?猫の撫で方を研究したら意外な事実が判明

筋肉も毛もしなやかな猫ちゃんは、触り心地が抜群です。しかし、撫でられている側である猫ちゃんは、どんな心境なのでしょうか。この記事では、「撫でる行為がもたらす猫への影響」についての研究を紹介します。

猫をなでなで、正しく出来てる?

ふわふわ。もこもこ。

猫が横向きに寝ている

猫ちゃんを形容する言葉はたくさんあります。
そんな猫ちゃんとの触れ合いは、飼い主さんにとって至福の時間といえます。

けれど、触り方によっては、猫ちゃんを不快にさせる可能性もあります。

猫を撫でる研究で分かった事

  • 「首の後ろ」や「頭」と比べて、「しっぽ付近 (Caudal areas) 」を撫でることは、ネガティブな反応を引き起こしやすい
  • 見知らぬ人 (実験者) と比べて、飼い主に撫でられた時、ネガティブな反応が起きやすい
  • 撫でる方向による、猫の反応の違いは見られなかった
白黒の猫が立っている

猫が不快を感じた撫でられる場所

「エソグラム (Ethogram) 」とは「行動目録」と呼ばれるもので、動物の行動の種類を定義づけしたものです。動物の行動の「ルールブック」のようなものであるといえます。

今回の研究で使用されたエソグラムでは、猫の行動を、

  • 「ポジティブ」 (例えば、目を3秒以上とじる)
  • 「ネガティブ」 (例えば、耳を後ろ向きに伏せる)

の2種類に分類し、それに基づいて、それぞれの行動の頻度などを観察しました。

尻尾の付け根を見せる猫

その結果、猫は「しっぽの付け根」付近を触られると、ネガティブな反応が起きやすいことが分かりました。

猫は「飼い主」と「実験者」どちらに撫でられるのが嫌?

この研究では、

  • 飼い主を「よく知っている人」
  • 実験者を「見知らぬ人」

としました。そして、双方に撫でられた時に、行動に違いが生じるかを比較しました。

2人に撫でられる猫

その結果、なんと、「飼い主」に撫でられた時、ネガティブな反応が起きやすかったのです。

これには、私も驚きました。
しかし、よくよく考えてみると、とても理にかなった結果なのです。

というのも、今回の実験では、「撫で方 (1か所15秒間、1秒間隔で撫でる)」は統一されており、機械的に実験はおこなわれました。

これは明らかに、「ふだんの飼い主のなで方」とは異なるものです。

つまり猫ちゃんは「ふだんの飼い主さんとの触れ合いを記憶」しており、『いつもとなんか違うなぁ、、』と思い、それがネガティブな反応を起こしたのではないかと考えられます。

猫はどの方向から撫でられるのが好き?

この研究では、2つの実験が行われました。
上記でお話しした内容は実験1の結果であり、実験2では「撫でる方向の違い」に大きく着目をしました。

ふつう、猫をなでる際には「頭からしっぽ」にかけておこなうことが多いと思います。

この研究では、「しっぽから頭」にかけて、つまり、「毛の流れとは逆方向」に撫で、その際の行動を観察しました。

猫を撫でる方向

この結果も面白いもので、なんと、違いがなかったそうです。

ためしに、私が飼っている愛猫にも試したところ、ポジティブな反応を示しました。

これには、私も目からうろこでした。
思い込みとは、こわいものです。

茶色の猫が寝ている

この研究は何に役立つのか?

猫ちゃんをやみくもに触ることがいけないことは、飼い主さんもよくご存知かと思います。

今回の研究結果では、「しっぽの付け根を撫でる」ことがネガティブな反応を起こしやすいと分かりましたが、これには「個体差」があります。

というのも、結果的には差が見られたものの、それはあまり大きな差ではないと私には思えるものだったからです。

しっぽの付け根を触れることが好きな猫ちゃんも、たくさんいます。

また、「撫でる方向」も同じで、個体によって好みはさまざまであるといえます。

つまり大事なことは、自分の飼っている猫ちゃんが最もストレスを感じない撫で方を、「幅広い方法」で探り当てることであるといえます。

ぜひ、その猫ちゃんに合った、オリジナルの撫で方を見つけてあげてください。

アゴを撫でられている猫

参考文献

The influence of body region, handler familiarity and order of region handled on the domestic cat's response to being stroked (2014) Sarah Lesley Helen Ellis, Hannah Thompson, Cristina Guijarro, Helen Eileen Zulch. Applied Animal Behaviour Science. Volume 173, December 2015, Pages 60-67

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