猫の肛門嚢炎の症状
肛門嚢は猫のお尻の両側に位置しており、袋状になっています。その中には臭いがある分泌物が入っており、猫同士の挨拶や臭い付けするために用いられます。
しかし何らかによってこの肛門嚢が炎症起きて、肛門嚢炎を発症してしまいます。もし猫が肛門嚢炎になった場合、どのような症状が現れるのでしょうか?
肛門付近に腫れや赤みが出る
猫のお尻近くにある肛門嚢に炎症起きてしまうため、赤くなったり腫れてきます。場合によっては肛門嚢の入り口から細菌感染を起こし肛門嚢内に膿が溜まってしまう“肛門嚢膿瘍”になることがあります。
段々と膿が溜まり続けていくので腫れも次第に大きくなり、最悪の場合は猫のお尻付近の皮膚が破裂して大きな穴が開き、膿が出てきたり出血することがあります。
猫がおしりを気にする
肛門嚢炎になるとほとんどの猫が初期症状としてお尻に違和感を覚え、しきりにお尻を舐めたり咬む、床にお尻を擦るなどの行動をするようになります。
これは肛門嚢内にある分泌物が溜まっているサインでもあります。舐め過ぎたり擦り過ぎることでお尻周りの皮膚がただれてしまうこともあります。猫がこのような仕草をしているのを早く気づいてあげられるようにしましょう。
元気や食欲がなくなる
炎症が広がりひどくなると発熱や元気がなくなったり、食欲不振になることがあります。肛門嚢炎による炎症で痛みを伴うので、お尻周りを触られるのを嫌がったり怒ったりします。また痛みにより排便が困難になり、便秘症となってしまうこともあります。
猫の肛門嚢炎の原因
肛門嚢炎と聞くと犬になりやすいイメージがあると思いますが、猫でも肛門嚢炎になることがあります。猫の場合は通常、排便の時と一緒に肛門嚢に溜まっている分泌物を排出します。
しかし、何らかの原因で肛門嚢の入り口が詰まってしまったり細菌感染を起こすことで肛門嚢炎を引き起こしてしまいます。
主に猫の高齢化により肛門の括約筋の収縮力が弱くなってしまうことで、自力で肛門嚢に溜まっている分泌物を出すことができなくなってしまうことで肛門嚢炎を引き起こしやすくなります。
また猫が若い頃の分泌物はサラサラとしてましたが、高齢化になるにつれてドロっとなり自力で排出することが難しくなったことも要因としてあげられます。
他にも下痢や軟便により猫のお尻周りが汚れてしまうことで肛門嚢に細菌感染が起こりやすくなり、肛門嚢炎を引き起こすケースもあります。
猫の肛門嚢炎は自然治癒しない
肛門嚢炎になった猫のほとんどはお尻が赤く腫れたり、破裂して膿が出てきたとのことで来院するケースが多いです。放置したことで肛門嚢内に溜まった膿が皮膚を破って出てきてしまうのですが、一旦は膿が排出されたことで症状が落ち着く場合があります。
ですが激しい炎症や痛みを伴うため、猫はもっとお尻を気にして舐めたり咬んでしまい状態が悪化しやすく、中々治りにくくなることがあります。
そのため適切な治療を受けていないと再び細菌感染を起こし、何度も肛門嚢炎を繰り返してしまい、猫にとって辛く痛い思いをさせてしまいます。肛門嚢炎は自然に治らないので、辛い思いをさせないためにも早めに治療することが大切です。
猫の肛門嚢炎の治療法
肛門嚢炎は放置すると破裂して膿が出てきて激しい痛みを伴ったり、何度も再発を繰り返し起きてしまうため早いうちに適切な治療をすることが大事です。
肛門絞りをする
炎症の度合いや状態などにもよりますが基本的に猫が肛門嚢炎になった場合、肛門腺を絞り溜まっている分泌物や膿を排出させます。また場合によっては肛門嚢内にカテーテルを挿入して洗浄や消毒をおこなったりします。
肛門嚢炎がひどく破裂して膿が出てしまった際は、定期的な洗浄や消毒が必要となるため通院する必要があったり、猫の状態によっては数日間入院するケースもあります。痛みを伴うため猫の状態によっては痛み止めを投与するので大掛かりな処置になります。
薬を与える
肛門嚢内を洗浄したり消毒したことで膿を出してあげることはできますが、菌はまだ残っているため炎症を抑えたり感染防止のために抗生剤の投与をおこなったり、塗り薬で直接肛門嚢につけることもあります。
肛門嚢炎による炎症が強かったり化膿している場合は消炎剤も併用しておこなうこともあります。
炎症が落ち着くまでは抗生剤や消炎剤を飲ませる必要があるため、必ず獣医師の指示に従ってちゃんと最後まで服用させてあげることが大事です。
手術する
猫の肛門嚢炎は1度でもなると何回も再発しやすい病気でもあるため、肛門嚢炎を何度も再発を繰り返している猫は外科手術にて肛門嚢自体を摘出することもあります。手術となると当然治療費も高額になってしまうので早い段階で適切な治療をおこないましょう。
猫の肛門嚢炎を予防するには
肛門嚢炎は再発しやすいため、肛門嚢を絞って溜まっている分泌物を出してあげることで予防することができます。ですが通常は猫は排便と一緒に分泌物を排出しているので絞る必要性はありません。
デリケートなお尻を触られるのは猫も大きなストレスとなりますし、怒って咬んだり引っ掻いたりして怪我してしまう恐れもあります。そのため肛門嚢炎になった猫は注意が必要なので1ヶ月に1〜2回程、定期的に肛門嚢を絞ってあげましょう。
また体重増加による肥満で運動不足や、分厚い脂肪に妨げられて猫が自分のお尻周りをグルーミングできなくなることも肛門嚢炎になりやすくなります。
肥満は肛門嚢炎だけではなく関節や心臓に負担がかかったり、糖尿病などの病気を引き起こしやすくなるため太らせないように食事管理することも大切です。
まとめ
猫のお尻の両側にある肛門嚢は臭いがする分泌物が入っており、炎症が起きることで肛門嚢炎を発症します。
肛門嚢炎は猫にとってメジャーな病気ではありませんが、年齢とともに自力で肛門嚢に溜まっている分泌物を出すことができなくなったり、分泌物自体がドロッとした形状になり排出が難しくなることが要因と考えられます。
そのため猫の肛門嚢炎はどちらかというと高齢猫に多く見られる傾向がありますので、気をつける必要があります。
放置してしまうと破裂して膿が出てくるのでとても激しい痛みを伴います。また溜まった膿や分泌物を出すために処置を繰り返しおこなう必要があり、何度も肛門嚢炎を再発している場合には手術をすることもあります。
猫に辛く痛い思いをさせないためにもお尻をよく気にしていたり舐めるなど、初期段階のサインを見逃さないように日々注意してあげてください。
50代以上 女性 匿名
初めての時、まだ破裂して間もなくに病院に駆け込んだ。傷の洗浄と抗生剤の処方。でもこの子にはこの抗生剤がネックだった…。
投薬後しばらくから数時間吐きまくり、余計にグッタリさせる羽目になった。そんな経験から、化膿していないようなら様子見を…と病院からも言われている。(絞って予防…という選択肢は当猫の凶暴性により排除された)
猫の自然治癒力って結構侮れない。
そのための体力維持に気を使うように心がけている。
40代 女性 匿名
歳をとってから破裂するようになったので手術は出来ない。病院で肛門絞りをしてもらっているが次の日に破裂する時がある。放っておいてもいいのか?自然に治るのか?
50代以上 女性 花子
完治するのに丁度1か月かかりましたね。
抗生剤の注射と飲み薬が出ました。
今回(8月)はもう片方の肛門嚢です。
気づいたら破裂していました。
今回は引っ越しした事もあり別の病院ですが、その開いた穴の中に
軟膏を押し込むといった形の治療です。
どのくらいで治るかまだ分かりませんが、傷の具合からしてまた
1か月程度かかるのではと思っています。
何度も繰り返すようなら、摘出手術もあるそうですが、
考えますよね・・