猫のマンソン裂頭条虫とは
猫のマンソン裂頭条虫(れっとうじょうちゅう)とは、猫に寄生する「条虫(英名:Tapeworm/テープワーム)」の一種であり、平たく細長いテープのような形状で、大きさは最大1m~2mになることもあります。このマンソン裂頭条虫が猫の小腸に寄生することによって条虫症を引き起こします。
マンソン裂頭条虫は世界的に見ても広く分布し、特に日本国内では猫への感染率が高い寄生虫としても知られています。このマンソン裂頭条虫による条虫症は、特に外へ出入りが自由な猫に多く見られます。マンソン裂頭条虫による条虫症の原因などをしっかりと理解し、予防しましょう。
猫がマンソン裂頭条虫に感染する原因
猫がマンソン裂頭条虫に感染する原因についてご紹介します。
カエルやヘビなどの捕食
マンソン裂頭条虫の原因は、猫がマンソン裂頭条虫のプレロセルコイド(擬尾虫)を保有したカエルやヘビを捕食することにあります。
条虫やサナダムシなどと呼ばれるこれらの扁平動物(へんぺいどうぶつ)は、細かく分類されるものの、そのほとんどが中間宿主(ちゅうかんしゅくしゅ)を持ち、宿主が数種類いて宿主を変えながら成長します。
マンソン裂頭条虫が幼生期の発育を行う第一中間宿主(だいいちちゅうかんしゅくしゅ)は、ケンミジンコであり、第二中間宿主はカエルやヘビ。これらを経て、最終宿主となるのが、猫や犬などの動物です。
つまり、猫がこの第二中間宿主であるカエルやヘビを捕食することによって、マンソン裂頭条虫が猫の小腸に寄生し、成虫へと発育するのです。
飲み水
マンソン裂頭条虫の第一中間宿主であるケンミジンコの多くは、プランクトンとして水中を浮遊しています。そのため、ケンミジンコを捕食している魚類はもちろん、その水を非加熱で飲み水することでも感染する可能性が十分にあります。
また猫が暮らす室内でメダカや、レッドビーシュリンプなどを水槽飼育している場合も、その水を猫が飲むことがないよう注意しましょう。(通常水道水は処理がしてあるため寄生虫やプランクトンなどが混入している可能性はゼロに近く低いです。細菌やウイルスはそれよりも小さく混入する可能性はありますが殺菌のために塩素処理されていますので通常問題ないです。)
マンソン裂頭条虫は人獣共通感染症
マンソン裂頭条虫は人獣共通感染症とされていますが、人の場合もマンソン裂頭条虫の中間宿主(ケンミジンコ、カエル、ヘビ)を生食した場合に幼虫が寄生し、稀に体内で幼虫になることもあるようです。
あくまでも感染源は中間宿主の捕食であるため、猫に寄生した成虫が人へと寄生することはありません。
猫がマンソン裂頭条虫に感染した時の治療法
猫がマンソン裂頭条虫に感染した時の治療法についてご紹介します。
内部寄生虫駆除薬の投与
猫がマンソン裂頭条虫に感染した場合の治療法は、内部寄生虫駆除薬の投与が基本となり、主にドロンシットと呼ばれる薬剤が用いられます。ドロンシットには、内服できる錠剤タイプと注射液タイプがあり、必要に応じた回数を投薬します。
ドロンシット錠
ドロンシット錠は通販でも購入することができますが、本来は動物病院での処方が定められている薬剤ですので、必ず獣医師の指示に従って投与するようにしましょう。
また、ドロンシットに限らず、猫の体内に寄生する内部寄生虫を駆除するための駆虫薬は、副作用が認められることもまれにあります。主な副作用としては嘔吐、下痢、食欲不振、流涎、めまい、頭痛などの症状が現れることがあります。
なかでも下痢や嘔吐の症状が現れることが多いため、投薬後1日は愛猫の様子を側で見守れるようにしたいですね。猫の体内に寄生したマンソン裂頭条虫は駆除しにくい寄生虫で、通常の寄生虫に投与するよりも量が多くなります。飲み薬が投与しにくい猫の場合注射を選択したほうが良いかもしれません。
ただ副作用が重篤化しないためにも、獣医師としっかりと相談し、異変があればすぐに受診できるよう連携をとっておくことが重要です。
対症治療
対症療法はありません。寄生虫を駆除するためには適した駆虫薬を投与するほかに駆除の方法がないのが現状です。
どうしても体調が悪い時の駆虫については動物病院を受診し相談してください。
猫がマンソン裂頭条虫に感染した時の症状
猫がマンソン裂頭条虫に感染した時、「お尻から白い紐のようなものが出ている」という症状で初めて動物病院を受診、発覚という流れが多いようです。
マンソン裂頭条虫を見つけた時の注意点
マンソン裂頭条虫は、最大で1m~2mの大きさになることもあるとされていますので、無理にお尻から引っ張り出すことは絶対にしてはいけません。猫のお尻から何かが飛び出ている場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
またマンソン裂頭条虫の感染を放置すると症状が重篤化し、栄養障害を引き起こすこともあります。特に成長期では発育不全や貧血などの原因になる場合もありますので、屋外で猫を保護した場合は必ず動物病院で検査を行うようにしましょう。
まとめ
猫がマンソン裂頭条虫に感染した場合についてご紹介しました。マンソン裂頭条虫はカエルや蛇を中間宿主にするため、屋外で狩りをして生活している猫の感染率が高いと言われる寄生虫でもあります。
マンソン裂頭条虫が猫から人へ感染する可能性はほとんどありませんが、症状が重篤化しないようすぐに治療に取り掛かりましょう。またマンソン裂頭条虫は完全室内飼いの徹底で防ぐこともできる感染症でもありますので、今一度、愛猫の生活環境を見直してみてくださいね。
30代 女性 りか
人獣共通の病気で猫ちゃんだけではなく、人の体内でも、寄生虫の一種として悪さをします。
猫ちゃんがもし、マンソン裂頭条虫に蝕まれていたら、いち早く治療を受けさせてあげましょう。虫下しの専用の薬がありますし、注射もあります。適切な処置が必要になってきます。
メダカを飼っていたときに、猫ちゃんがその水を飲んでしまいまして、慌てて獣医師に相談して、数日後に検査を受けたら幸い、大丈夫でしたが、気をつけなければと思い、色々と工夫しました。それ以降は、寄生虫問題は起こりませんでした。これからも、気を付けたいと思います。