猫が中毒になっている時の症状
猫の中毒症状とは、猫に対して毒性を持つ物質が許容量を超えて体内に取り込まれることにより、猫の正常な機能が阻害されることを表します。体の小さな猫の場合、人間とは違いほんの少しの量でも中毒症状が現れることも多いのです。体のどこかに機能障害を引き起こした状態になり、猫の中毒症状により、最悪の場合死に至ることも少なくはありません。
猫に中毒症状が表れている場合、基本的には
- 下痢やおう吐
- よだれを流す
- 呼吸困難
- 痙攣
- 血尿
- 貧血
- 興奮
これらの症状が見られることが多いと言われています。ほかにも、猫が中毒症状を起こした原因によっては、不整脈や心不全、腎不全、胃潰瘍など様々な症状が現れることがあります。
猫が中毒症状になる原因
では、猫にとって中毒症状を引き起こしてしまう危険な物とは、どのような物があるのでしょうか?実際、猫が中毒症状を起こす物は数え切れないほどにあります。今回は私たちが生活している上で触れ合うことが多く、そのため愛猫も触れる可能性があるものの中からいくつかピックアップしていこうと思います。
ネギ類
ネギ類とは主に、玉ねぎ、長ネギ、ニラ、ニンニク等を指します。
特に玉ねぎや長ネギ、ニラやニンニク等は毎日の食事の中でも、よく出やすい食材ではないでしょうか?ネギ類には、”有機チオ硫酸化合物”という3種類の物質(sodium trans-1-propenylthiosulfate、sodium cis-1-propenylthiosulfate、sodium n-propylthiosulfate)が含まれており、これが猫の中毒症状を引き起こす原因になります。
前までは、”アリルプロピルジスルフィド”という物質が原因なのでは?とも言われていたそうですが、ある動物病院の先生のブログによると、ネギ自体にアリルプロピルジスルフィドに関係する物質はほとんど含まれていないんだとか。
n-プロピルジスルフィドという成分が、アリルプロピルジスルフィドに似ていることから、それを使用し犬に貧血を起こすことに成功したという記録から、このような間違いが生まれたのではないかと言われているそうです。
アリルプロピルジスルフィドの代わりに使用されたn-プロピルジスルフィドは、加熱後は濃度が下がるはずなのにも関わらず、加熱した物を食べた犬も中毒になることから矛盾が生まれていると言います。
ネギ類を口にする事で見られる猫の中毒症状は、主に溶血性貧血と呼ばれる貧血です。貧血に加え、血尿が見られることもあります。猫が中毒症状により貧血を起こした場合、歯茎等を確認してみましょう。白っぽくなっていれば貧血状態だと言えます。
チョコレート
猫や犬などには与えてはいけないということで有名なチョコレート。チョコレートに使われるカカオには”テオブロミン”という物質が含まれており、これが原因となり猫が中毒症状を引き起こしてしまう可能性があります。
チョコレートを口にすることで見られる猫の中毒症状は、おう吐、下痢、痙攣、興奮等です。不整脈、心不全、呼吸困難等を引き起こしやすく、肝機能障害や腎機能障害を引き起こしてしまう可能性もあります。最悪の場合は死亡してしまうケースもあるので注意しなければいけません。
チョコレートは、小さなお子様がいるご家庭では得に注意しなければいけない食べ物です。我が家にも子供がいますが、子供部屋を片付けているとアポロやマーブルチョコ等が1粒、2粒部屋の片隅に落ちていることがあります。
猫もチョコレートの匂いにはあまり惹かれないのか、今まで匂いを嗅いでも口にすることは無かったのですが、好奇心旺盛な子猫や食いしん坊な猫等は注意が必要かもしれません。自分が気を付けていても、小さなお子さんが落としたチョコレートが原因で、猫が中毒症状を引き起こしてしまう可能性もあるのです。
コーヒー
コーヒーに含まれているカフェインも、犬や猫が中毒症状を起こしやすいとして有名なものだと思います。コーラや紅茶、お茶等も同じです。カフェインには、カカオに含まれるテオブロミンと同じ働きがあると言われています。中枢神経に対する強い興奮作用があるため、注意が必要になります。
カフェインを摂取することにより猫に現れる中毒症状は、おう吐、下痢、痙攣、興奮、不整脈、心不全、呼吸困難、肝機能障害、腎機能障害となっています。
カフェインは私たちの生活の中でも、とっても身近な飲み物に含まれています。猫がマグカップに顔を突っ込み、お茶やコーヒーをペロペロと舐めてしまうケースも少なくはありませんので、気を付けなければいけません。
アルコール
猫に自らアルコールを飲ませる人もいなければ、進んでアルコールを飲みたがる猫もいないとは思いますが、万が一猫がアルコールを摂取してしまうと中毒症状が見られることがあるため、絶対に猫に与えてはいけない物の1つになります。
そもそも、アルコールの匂いというのは猫が好まない事が多いので、誤飲などのケースは少ないと言われていますが、飼い主さんがおいしそうに飲むビールは、もしかしたら猫ちゃんにとっても美味しそうに見えてしまうかもしれません・・・!
アルコールを摂取することで猫に見られる中毒症状は、おう吐、下痢、震え、呼吸障害等が多いと言われています。ひどい場合には昏睡状態に陥り、死に至るケースもあるため注意が必要です。人にとってはたったの一口でも、猫にとっては瓶ビールくらいの量かもしれません・・・。
タバコ
禁煙が広がりつつある今でも、まだまだタバコを吸っている人も多く見られます。タバコはストレスが多い人間社会には、欠かすことのできないアイテムかもしれません。しかし、猫が誤飲してしまうケースも多く、タバコにより猫の中毒症状が見られることも少なくはないのです。
成猫になると1日の大半を寝て過ごすことが多くなり、イタズラが減ります。あまりお家の中の物にも興味を示さなくなることが多いのですが、もっとも注意をしなければいけないのは生後1歳までの子猫の場合。
細長く丸いタバコは、コロコロと転がりやすいこともあってか子猫のいいオモチャになってしまいます。タバコ自体の味は美味しいわけではなく、猫が好んで食べることはほとんどありませんが、転がして遊んでいるうちに興奮し、かじりついてしまうことが多いです。
タバコにはニコチンという成分が含まれており、おう吐、下痢、興奮、震え、意識がなくなる、よだれを流す等の症状が見られることがあります。猫がタバコ食べてしまった場合、ニコチンが全て吸収されてしまう為、量が多い場合は死に至ることも珍しくはありません。
ちなみに、タバコは水分に浸すことにより1時間で50~70%のニコチンが溶け出してしまい、吸収が早くなると言われています。灰皿に水を入れている人もいると思いますが、タバコが浸った水を猫が飲んでしまうことが1番危険です。
喫煙者の飼い主さんは十分に気を付けましょう!
人間の薬
人間用の風邪薬等も、誤飲してしまうことで猫が中毒症状を引き起こしてしまう可能性がある為、注意が必要だと言われています。人間用の風邪薬等に含まれるアスピリンや抗ヒスタミン等の物質は、猫にとって大変危険な物質になのです。
風邪薬等を誤飲することにより見られる猫の中毒症状は、主に貧血、肝臓障害、興奮です。アスピリンが貧血の原因となり、抗ヒスタミンにより興奮状態になることがあります。抗ヒスタミンは、風邪薬だけでなく、アレルギー薬や酔い止め等にも使用されています。
これからの時期、花粉症のアレルギー薬を飲む人も多いとは思いますが、猫の誤飲には十分に注意しなければいけません。
洗剤
洗剤は猫が自ら舐めてしまうというよりも、例えばこぼれた洗剤の上を猫が歩き、肉球に付いた洗剤を舐めてしまうというケースが多いので、注意が必要になります。
洗濯洗剤等には”界面活性剤”という物質が含まれており、猫に見られる中毒症状としては嘔吐や下痢になります。肉球についた洗剤を少量舐めるくらいなら、命にかかわるほどの危険な状態にはなりにくいものの、死亡してしまうケースが無いわけではありません。
特に洗濯洗剤では、濃縮タイプの物が多く売られていますが、この濃縮タイプの洗剤は猫が口にすることで中毒症状が現れやすく、危篤な状態を引き起こしやすいので注意が必要です。
植物
ユリやアロエ、スズラン、桜など700種類以上の植物が、猫が中毒症状を引き起こしやすく大変危険だと言われています。中でもユリは猫にとって猛毒だそうで、花粉を舐めたり花瓶の水を飲んだりしただけでも、かなり危険です。
ユリなどの植物で猫に中毒症状が見られた場合、おう吐、下痢、不整脈、急性心不全、呼吸困難
等が見られます。
700種類以上の植物が、猫に中毒症状が現れる可能性があるということなので、猫がいるご家庭では植物を置かない方が良いかもしれません。我が家では植物による猫の中毒症状を防ぐため、造花や人工観葉植物を飾るようにしています。
身近にあるものをざっと紹介しただけでもこれだけの物が、猫に中毒症状をもたらすことがわかりました。では、猫が中毒症状を起こしている場合、どのように対処すると良いのでしょうか?
猫が中毒症状を起こしている時の対処法
猫が中毒症状を起こしている場合、水に大量の食塩を溶かしたものを飲ませる、牛乳でお腹を下させて早くに猫の中毒症状の原因となっている物質を体内から出させる、等の方法があると言われていますが、これらを焦った飼い主が独自で判断し行うことで、逆に猫が危険な目にあってしまう場合もあります。
猫に中毒症状が見られる場合にはすぐさま近くの動物病院へ連絡し、指示を受けましょう。放っておくと死に至る程の中毒症状が出ていても、動物病院で胃洗浄を行うことにより助けられる命もあります。
猫の中毒症状の治療
猫の中毒がわかったら治療はどうするのでしょうか?
中毒の治療はその中毒症状によって異なります。触診、エコー検査、レントゲン検査などを行って診断をすすめます。多くは原因を特定して内科療法を行っていきます。また胃洗浄や胃を切開するなど、体内から毒性を排出させるための処置を行う場合もあります。状態によっては点滴することもあるでしょう。
まとめ
今回は猫に中毒症状が見られる可能性のある物や対処法などについて、ご紹介させていただきました。普段私たちがよく使う食材や飲み物の中にも、猫が中毒症状を起こしてしまう可能性がある物質が含まれているということは、絶対に忘れてはいけません。
猫が中毒症状を起こす可能性がある危険な物質を、家の中からすべて排除するというのはなかなか難しいことだと思います。しかし食べ物の食べこぼしや残り物に気を付けたり、洗剤を扱う場所には猫を入れないようにしたり、タバコは猫がいない場所で吸い、保管場所には気を付けるようにしたりと、猫が誤飲し中毒症状を起こしてしまわないよう、気をつけてあげることが飼い主さんに出来る対処法だと言えます。