猫もうつ病になるのか
猫も人間と同じように、うつ病になる事があります。身体的、または精神的にストレスを感じて、脳の機能障害が起き、様々な問題行動をしてしまいます。
一般的には、野生の生き物がうつ病になることはあまりないと言われています。弱肉強食の世界では、うつ病になって無気力になったり判断能力が衰えたりすれば、すぐに敵に襲われることになり、命にかかわるからです。ただ、人間と暮らしたり、決められた範囲の世界で生きていたりする飼い猫は、問題行動を起こすことがあります。
もちろん問題行動の全てが、猫のうつ病というわけではありません。人間にとっては問題行動でも、猫にとっては本能からくる当然の行動をしていることもあるからです。問題行動と言われる行動をするものの中で、うつ病になっている猫がいるということです。飼い猫のうつ病は、人間との暮らしをする中で発生するストレスが大きな原因になっていると言えます。
猫がうつ病になった時の症状を知っていると、原因をつきとめたり、行動に対処したりすることが出来るでしょう。
では猫がうつ病になっているかどうかは、どのように判断したら良いでしょうか?
猫がうつ病になった時の症状や原因
猫がうつ病になったかどうかは、判断することがとても難しいのです。産まれた環境や、現在飼われている状況などをふまえて考える必要があるのがその理由です。病気や怪我などが無いのに、ある問題行動が見られるという場合には、うつ病かもしれないということになります。
さらに飼い主が、うつ病かもしれない行動に気づいてあげられるかどうかも大切になってきます。うつ病とされる症状は、普段の行動、食事、睡眠、排泄などに変化が現れます。うつ病になるということは、猫が何らかのストレスを感じていることが原因になります。
猫がうつ病になった時の症状
- 遊ばなくなる
- 食欲がなくなる
- リラックスして眠ることがなくなる
- グルーミングをしなくなる
- トイレの粗相が増える
- 大人しくなり引きこもる
- 攻撃的な態度が増える
- 異常な行動をする
いつもじゃれついたり、好奇心で何かを追いかけたり見たりするといった行動がなくなります。多頭飼いの場合、他の猫と遊ばなくなるということもあります。
また、食事や、水を飲む回数が減ります。餌をあげても興味を示さないこともあります。また逆に、異常に食べたり飲んだりすることも起こります。
睡眠についても、お腹を出して転がったり、横になったりして、安心して眠る姿が見られなくなります。
グルーミングを始め、歩いたりキャットタワーに登ったりするなどの普段の行動が減ります。毛艶が悪くなり、体にごみがついていても気にしなくなります。または、いつまでもグルーミングをしている、ということもあります。
トイレ以外の場所で排泄してしまうことが増えます。おしっこをかけるスプレー行動も増えます。
そして大人しくなって、ケージや猫ベッド、家具の下や隙間などに隠れてしまい、引きこもってしまうことが増えます。猫のうつ病は、引きこもることが多いと言われます。寝ていると思っても、引きこもって隠れているだけで実は緊張して不安になっていることもあります。
さらに困るのは、異常行動が増える事です。飼い主に攻撃的になり、引っ掻く、噛みつくなどの行動をすることが増えます。大声で泣きわめく、うろうろと徘徊する、飼い主が呼んでも反応しないといったこともあります。
ひどいものでは、頭を一定にずっと動かし続けたり、何事にも無関心で無反応になったりするなど、明らかに猫としておかしい行動が見られることがあります。
猫がうつ病になる原因
猫のうつ病の原因として、ストレスを日常的に感じていることがあげられます。
- 多頭飼い
- トイレが汚い
- 暮らしている環境が良くない
- 飼い主との相性
上記4つが、うつ病になる主な原因と考えられます。
猫は群れで生活する生き物ではなく、単独行動を好みます。十分な生活スペースと落ち着ける場所、頭数に応じたトイレなど、それぞれの猫が快適に暮らせる空間がつくれていることが大切です。また、相性の悪い猫がいたり、攻撃的な猫がいたりするなど、猫同士の関係もストレスを感じる原因になります。
猫にとって、排泄する場所が汚く、安心できない場所であるということはとてもストレスになり、トイレ以外で排泄する原因になります。猫が綺麗好きだということもありますし、他の猫の排泄物が残っている、他の猫が近くにいる場所で排泄する、ということを嫌がるからということもあります。
トイレが綺麗になっていても、常に人が通る場所にあったり、ごちゃごちゃした場所にあったりするなど、猫が不快に感じるトイレであれば、毎日の排泄が嫌なことになります。
そもそも飼い猫は、好きな場所に移動して生活するということが出来ません。飼い主さんが用意した環境で生きていくしかないので、嫌だと感じるような場所でも我慢している可能性があります。走ったりジャンプしたりといった高低差のある運動ができる場所がなく、隠れたり落ち着いて休んだり眠ったり出来る場所が無い。そういった環境だと、暮らしている毎日がとてもストレスになっているでしょう。
また、常に何らかの騒音が聞こえている、人の出入りが多い、日光が当たらないなどの場合も、猫が嫌だと感じる原因になるでしょう。
他のペットや、飼い主とその家族などとの関係も大きく影響します。猫が嫌だと思う存在と常に一緒でいることは、とてもつらいことかも知れません。飼い主さんからの愛情が感じられない、またはいじめられるなどはもっての他ですが、猫にとって飼い主さんが信用できなければ、とても辛いことです。
子猫であれば、親猫がいない、遊ぶ場所がない、ということもストレスを感じ、うつ病になる原因になります。また、湿気が多かったり、逆に乾燥しすぎたりしているなど、体にも不快な環境だと、いつも嫌な思いをして暮らしていることになります。
猫がうつ病になった時の改善策や治療の方法
猫がうつ病になった時の改善策は?
病気や怪我ではなく、異常な行動が見られた場合には、うつ病と考えられます。改善のための対策をして、動物病院での治療も必要になることもあります。
最初はうつ病だけでも、そこから下痢や嘔吐、ひどくなれば感染症や糖尿病や腎臓病など、他の病気になってしまうこともありえます。ですから、早めに飼い主が心の病に気づいて、原因を取り除いたり改善したりすることが大切なのです。
- 多頭飼いは、生活スペースを作る
- トイレを綺麗にする
- 暮らしている環境を良くする
- 飼い主と猫との関係を改善する
猫の多頭飼い、または他にペットがいる場合は、猫が十分にリラックスしたり遊んだりできる場所を作ることが大切です。寝る場所を確保するのはもちろん、トイレの数を頭数より多くする、キャットタワーなどで運動できる場所を作ってあげるなどしてください。
フードをあげる時も、それぞれに皿を用意して、食事が安心して出来るようにしてあげましょう。
トイレの失敗ですが、粗相をするたびに叱る、といったことを続けても、治ることはないでしょう。排泄物を出来る限り早くかたづけ、トイレを定期的に掃除して清潔に保ってあげることが、改善につながります。トイレを置く場所も、猫が落ち着けるよう、人があまり通らない場所で静かな所を選びましょう。
そして猫を飼う時の基本、といったものを思い出し、猫が運動できる場所、休める場所、というものをしっかり作ってあげましょう。
ただし、急に環境をガラッと変えず、少しずつスペースを広げたり、家具の配置も一ずつ変えたりするなどして、時間をかけて取り組んでください。
常に騒音がある、来客が多いなどの場合は、飼い主さんの生活を変えることも考えてみましょう。猫にストレスを与えず飼い続けていける環境かどうか、確認しなおしてみることも必要です。
飼い主さんとの相性が良く無い場合は、飼い主さんが態度を変えればうまくいくことが多いのです。猫に慣れさせるよりも、猫のために変わってあげましょう。
まわりの環境を改善していくことと同時に、猫をよく観察し、飼い主さんも行動を変えてみましょう。常にどなったり怒ったりしていたとしたら、猫にも飼い主さんにもよくありません。
猫は、かまいすぎても、また放置しすぎても、日常的にストレスを感じれば、うつ病になる可能性があります。ほどほどのところを見極めることが、難しいことですが、とても大切です。また、子供がいる家庭では、子供が猫をかまいすぎず、いじめたりしないように見守りましょう。
猫がうつ病になった時の治療法
基本的には、動物病院で診てもらいましょう。うつ病ではない病気や怪我があることもあります。
うつ病だと診断されれば、薬が処方されることもあります。または、獣医さんとの会話の中で、うつ病の原因と思われることがあれば、それを取り除くことが改善策になります。
そもそも、うつ病の原因を一つだけ突き止めることは難しいと言えます。うつ病かな?と不安になれば、まず体が健康で病気や怪我がないかどうかを、獣医さんで診察してもらうことをお勧めします。
猫のうつ病のまとめ
猫も人間と同じでうつ病になってしまったら、環境を見直したり、接し方を変えたりする必要があるでしょう。
身体的な病気とはまた違いますが、早く発見して、早く対策をすることで、他の病気になってしまうことを防ぐことが出来ます。
うつ病になるということは、猫が日常的に何かを辛く感じているということです。飼い主として、猫の大切なサインを見落とすことなく、対応してあげられるようにしましょう。
30代 女性 のりちゃん
いつも、通っている獣医師は精神的なことも勉強している方なので、産後うつになったことがわかりました。
最初、初産で出産を無事に終えたまでは、よかったのですが、子猫がとめどなく群がってくるのが耐えられなかったみたいで、しだいに便秘になり、ご飯を食べなくなり、元気がなくなりました。急いで獣医師に診ていただきました。いろんな検査をしてもひっかからずで、結局精神的な問題だろうということになり、産後うつだということがわかりました。
子猫が離乳期だったので、安定剤を飲ませて治療をはじめまして、2年かかりましたが、最後には産後うつが治りうつ病も克服することができました。猫ちゃんも、高度な動物なので、うつになるのだということがよくわかりました。