猫の毛玉とは
猫の毛玉は獣医学的には「毛球(もうきゅう)」と呼ばれますが、一般的には毛玉と呼ばれておりますので本記事では「毛玉」という言葉で統一して説明していきたいと思います。
猫が毛玉を作る理由
毛玉は猫の正常な毛づくろい行動で舌にある鋭いとげ状の構造物によって毛が絡めとられることで作られます。
頻繁に狩猟をしている猫では、摂食したネズミなど小型の哺乳類の被毛を嘔吐しているところが観察されます。獲物の中の消化の悪い部分を排除するための防御的な機能である可能性が示唆されています。
毛玉吐き
飲み込まれた毛は粗く凝集した塊もしくは小さく柔らかい粘液と混ざった塊として猫のお腹の中に蓄積します。そして定期的にゲーゲー、ヒクヒク言いながら毛玉を逆流または嘔吐します。この毛玉吐きの頻度は個体差があり、1カ月に数回する猫からほとんどしない猫まで様々です。
正常な毛玉
正常な行動として吐き戻した際に見られる毛玉は毛と粘液で構成されています。通常吐き戻された毛玉の中には食物や黄色い液体(胆汁)は含まれません。
猫の毛玉のケア方法
毛玉は通常であれば疾患の原因にはなりませんが、吐き戻しをする姿は多くの飼い主さんにとって快いものではありません。
毛玉は適切な食事やケアにより管理することができます。この項では毛玉のケア方法について解説します。
フードによるケア
「毛玉ケア」などと謳われているいくつかの市販のペットフードに切り替えることにより毛玉を吐き出す頻度が減るかもしれません。
食物繊維
毛玉用とうたわれているフードの多くは食物繊維の量が増やされています。不溶性の食物繊維、特にセルロースと呼ばれる食物繊維は他の繊維に比べて糞便とともに体外に排出させる毛の量を増やす働きがあります。
粒サイズ
レントゲン検査による胃腸通過研究の報告では、大きい粒サイズのフードの方が毛玉を糞便中に排出させる傾向にあるとされています。
緩下剤や潤滑剤
猫の毛玉の吐き戻しを減らす目的での流動パラフィンやワセリンなどの使用を推奨するような論文は殆どみられませんが、国内においてはそういった製品もあり、実際に動物病院で使用されていることもあります。
毎日大量に投与することは正常な消化と栄養吸収を妨げる可能性があるため、獣医師の指示を仰いで使用することをおすすめします。
パパイン酵素が毛玉を溶かすという話も出回っていますが、猫の毛玉の管理についての科学的な根拠は示されていません。
ブラッシング
ペルシャ猫などの長毛猫は毛が長く絡まりやすいため、日ごろからブラッシングが必要です。初めは嫌がるかもしれませんが、短時間でもいいので毎日継続して行うことが重要です。
猫の毛玉吐きに関する注意点
猫は正常な行動として毛玉を吐き出しますが、いつもと比べて頻繁に吐き戻したり嘔吐をするときは何か病気が隠れている可能性があります。
吐き戻しや嘔吐は生命に関わる疾患で起きることもあります。「おかしいな?」と思ったら動物病院に連れていきましょう。
40代 女性 ガブリエル
わたしが猫を飼い始めたばかりの頃、猫初心者とはいえ、猫の毛玉吐きについての知識はありました。とりあえず、「毛玉ケア」のフードを与えれば何とか対応できるものと思っていたので、いつも食物繊維の豊富なフード与えていました。
ところが、どうなんでしょう。あまり影響ないようで、猫はしっかり定期的に毛玉吐きをします。本当に糞便中に毛は含まれて排出されていたのでしょうか。
現在は、市販されているチューブ入りの流動パラフィン、グリセリン等を含む「腸内の毛玉除去および形成防止剤」を、週3回ほど、猫に与えています。
実際、どの程度、効果があるのかというと、これもよく分からないのです。以前より、毛玉を吐く回数が心持ち、減ったかな、という程度です。
しかし、この流動パラフィンやグリセリンにアレルギーを持っている猫もいて、与えるたびに目が腫れました。そうなると、結局はブラッシングが一番、猫にも人にも安心できる方法ではないかと思っています。
わたしは多頭飼いをしているのですが、どういうわけか我が家の猫は、毛玉を吐くとなったら早朝です。早朝3時、4時という、まだ飼い主が寝ている時間に「ケホ、ケホ、ケホ…、カーッ!!」と吐きます。慌てて飛び起きて猫の毛玉吐きに対応しますが、今でも、そんな猫の姿に慣れることはありません。
猫の体質や個体差にもよるとは思いますが、毛玉ケア対応フード、緩下剤や潤滑剤に頼る前に、丁寧に被毛のブラッシングしてあげるのが良いのではないかと思います。猫の体調の変化は読み取りにくく、理解しにくいことですが、猫と日々のスキンシップをとおして、まだまだ理解可能な事柄が多いように感じています。