︎分離不安症とは

分離不安症は、留守番など飼い主さんとの分離に伴い不安になり、様々な行動学的不安兆候や生理的不安兆候が見られる状態の事です。
飼い主さんが外出の準備をした時点で不安が募り始め、後追いしたり、ソワソワしたり、具合が悪くなったりする事も多いです。
︎分離不安のサイン

1.舐めすぎによる脱毛
猫は不安な事があるとグルーミングが過剰になります、特に足先などをしきりに舐める事が多く、よく舐めている場所が脱毛してしまう事が少なくありません。
脱毛は皮膚炎やホルモンの病気などでも現れるため、動物病院で検査してもらい、異常がなかった場合は分離不安などストレスによる舐め壊しだと判断されます。
2.破壊行動
家具やカーテンなどを破いてしまったり、棚の物を落とすなど破壊行動が見られる事があります。家具やカーテンなど壊す理由が分離不安であった場合は、その部分にフェロモン製剤のスプレーなどを吹きかけておく事で、猫が安心し破壊行動が減らせるかもしれません。
3.トイレの失敗
トイレ以外の場所で粗相をしてしまうのも分離不安のサインとしてよく見られます。これは飼い主さんの匂いがする場所に自分のおしっこの匂いをマーキングする事で、猫が不安な心を落ち着かせようとする事から起こります。
しかし粗相してしまうのは猫に多い膀胱炎や関節炎などの病気の際にも見られる症状のため、まずは動物病院で尿検査などを受けて病気を否定する事が大切です。
4.よく鳴く
飼い主さんが外出の準備をしている時から帰宅するまで激しく鳴き続ける場合も分離不安のサインと言えます。よく鳴く時にはそれがどんなタイミングなのか、飼い主さんのどのような行動がきっかけで鳴き始めるのかなどをしっかりと把握する事が大切です。
また、高齢猫の場合は痴呆でもよく鳴くという症状が見られる事があります。
5.消化器症状
重度の分離不安になると、ストレスから嘔吐や下痢、血便、食欲不振などの消化器症状が見られる場合もあります。これらの症状が見られた際はまずは動物病院で他の病気を否定しなければいけません。
そして異常がないのに消化器症状が見られ、他の分離不安のサインも同じタイミングで見られる場合、慢性的な分離不安が原因と言えます。
︎対処法

留守番前のサインを出さない
猫は人が想像する以上に人の行動、目線、話す内容、息づかいなどをよく見ています。分離不安の猫にとって飼い主さんが外出してしまうかもという事に気がつくと予期不安が大きくなります。分離不安の猫には「行ってきます」「お留守番しててね」などの、これから外出すると分かる言葉をかけることはやめましょう。
また外出をする直前に過度に撫でたり、声をかけて抱き上げたりする事も猫の分離不安を加速させます。外出する際には、それを猫の中でビッグイベントとせず、なるべく猫の生活の流れを途切れさせないように、人側も意識して行動する事が大切です。
帰宅後の過度な声掛けも、留守にしていたということを自覚させて不安定な状態にさせてしまう場合もあるため、外出前も後も意識し過ぎずに自然にふるまうことが大切です。
安心できるものを作る
猫にとって安心できるものを把握しておく事も分離不安を軽減するために大切です。
安心できるものは猫によって異なりますが、飼い主さんのニオイのついた服、お気に入りの毛布、大好きなおやつ、などが安心できる猫が多いです。
分離不安でない猫でも、安心できる材料を知っておくことは、車での移動や災害時の避難先、病気になった際の入院など、非日常的な環境に身を置かなくてはならない時に非常に役立ちます。
フェロモン製剤を利用する
猫の頬から出されるフェイシャルフェロモンを利用して猫を落ち着かせたり、問題行動を抑制したりする製品が販売されています。
一概にフェロモンと言ってもフェロモンには沢山の種類が存在しますが、中でも頬を擦り付けた時にでるフェイシャルホルモンは猫が安心した時や安心した場所に出されるフェロモンです。よってフェイシャルフェロモンを人工的に付けてあげることで、猫に安心感を与え、情動を落ち着かせる効果があると考えられています。
フェロモン製剤の効果は猫によって個体差がありますが、副作用がなく取り入れやすい対策のため、一度試してみる事をおすすめします。
サプリメントを利用する
分離不安だけでなく猫の不安やストレスを緩和させる事が目的で作られたサプリメントが何種類か販売されています。
サプリメントは鎮静剤ではないため効き目は個体差がありますが、薬のような苦味は少なく、副作用もなく安全に気軽に使用する事ができます。動物病院で相談すると処方してもらえる場合も多いため、一度動物病院に相談する事をおすすめします。
練習する
上記の対策を取り入れながら、少しずつ飼い主さんから離れる練習をする事が大切です。
具体的には最初は別の部屋で過ごすなど姿が見えない状態でお互いに過ごすことができるようにすることから始めて、次のステップとして1-2分外に出るだけですぐに帰宅するという練習をします。帰宅前も帰宅後も大きなリアクションは取らずに猫の生活の流れを崩さないようにしましょう。
大丈夫そうであれば1分ずつくらい徐々に時間を増やしていき「飼い主さんが外出しても大丈夫だった、怖くなかった」という経験を覚えさせます。
自宅で1人でいる事に慣れたら、次は動物病院やペットホテルなど違う環境で飼い主さんと離れる練習もしましょう。いきなり泊まるのではなく最初は1時間くらいに留めて猫に「飼い主さんと離れてもすぐに迎えにきてくれた」という感覚を覚えてもらいましょう。
練習をする際には根気強く徐々に少しずつ時間を増やしていく事が大切です。
︎まとめ

分離不安は自宅での日常生活だけでなく病気になった際の入院時など、非常事態の際にも猫に負担を与えてしまいます。
特に入院時などは、知らない場所で飼い主さんと離れて寝泊まりしなくてはならないため、分離不安の猫にとっては大きなストレスとなります。実際、入院をすることのストレスで、むしろ具合が悪くなってしまったりご飯を食べなくなってしまったりする猫は少なくありません。
万が一猫が病気になった際に必要な治療を受けさせてあげるためにも、健康なうちから分離不安の対策と、不安な時でも猫が安心できる材料を見つけておいてあげる事が大切です。