猫の体を作る「6大栄養素」の基本知識

猫の健康を語る上で欠かせないのが、水、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルの「6大栄養素」です。
まずは、これら6つの要素が猫の体にとってどのような役割を果たしているのか、その全体像を知っておきましょう。
水
猫の体のおよそ50〜70%は水分でできています。水は栄養素の運搬、体温調節、老廃物の排出など、あらゆる代謝活動の基盤です。
タンパク質
肉食動物の猫にとって最も重要なエネルギー源であり、筋肉、皮膚、被毛、血液、免疫抗体、酵素などを作る材料です。
脂質
脂質は、タンパク質の約2.5倍ものエネルギーを作り出す効率の良いエネルギー源です。また、細胞膜の構成成分や、脂溶性ビタミン(A, D, E, K)の吸収を助ける働きもあります。
炭水化物
実は栄養学的に見ると、猫には「炭水化物(糖質)」の厳密な必要量は定められていません。
猫はタンパク質や脂質を主なエネルギー源とするので、必ずしも必要ではないと言われます。
しかし炭水化物に含まれる「食物繊維」は、腸内環境を整えたり、毛玉の排出を助けたりする役割を果たします。
ビタミン
微量で体の機能を調節する栄養素です。水に溶ける「水溶性ビタミン(B群、C)」と、油に溶ける「脂溶性ビタミン(A、D、E、K)」に分かれます。
ミネラル
カルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなどが代表的です。骨や歯を作るだけでなく、神経の伝達や筋肉の収縮、体液のpHバランス調整に関わります。
猫特有の健康維持に「必須栄養素」4つと摂取のポイント

ここでは猫が食事から必ず摂取しなければならない特定の栄養素と、それが不足した場合に起こりうる深刻な健康リスク&摂取ポイントについて深掘りします。
1.必須アミノ酸:タウリン
猫に必要な栄養素で象徴的なのが「タウリン」です。
人間や犬は体内でタウリンを合成できますが、猫は合成能力が極めて低いため、食事から直接摂取する必要があります。
タウリンは、心臓の機能維持、網膜(視力)の健康、血圧の維持などに不可欠な要素で、もしタウリンが不足すると、心臓や目に影響を与えます。
そんなタウリンですが、市販のキャットフードには添加が義務付けられている栄養素です。
【摂取のポイント】
子猫や妊娠中の猫はタウリンが不足しやすいので要注意。
総合栄養食と記載のあるキャットフードや、サプリメントで補給したり、食材であればマグロやカツオといった食材を活用するといいでしょう。
2.必須アミノ酸:アルギニン
アルギニンは、タンパク質の代謝過程で発生する有毒な「アンモニア」を無毒な尿素に変えて排出するために不可欠なアミノ酸です。
猫はタンパク質の代謝が活発なため、アルギニンを大量に消費します。それにも関わらず体内で合成できないので、必ず食事から摂取しなければいけません。
アルギニンは非常に重要で、アルギニンを含まない食事をたった一回食べただけでも、数時間以内にアンモニア中毒を起こす危険があるといわれています。
いわゆる「高アンモニア血症」「尿毒症」と呼ばれる状態で、嘔吐、よだれ、痙攣、最悪の場合は昏睡から死に至ることもある危険な病気です。
【摂取のポイント】
総合栄養食のキャットフードを与えている家庭では心配は少ないですが、手作り食を与えている場合は注意しましょう。
鶏肉や牛肉といった、肉類(要加熱)を活用するのがおすすめです。
3.必須脂肪酸:アラキドン酸(Arachidonic Acid)
脂質の中に含まれる脂肪酸のうち、体内で合成できないものを必須脂肪酸と呼びます。
リノール酸などは犬も猫も必須ですが、猫はさらに「アラキドン酸」も食事から摂る必要があります。
アラキドン酸は動物性脂肪にのみ含まれており、植物油には含まれていません。これが、猫に野菜だけのベジタリアン食を与えてはいけない決定的な理由です。
アラキドン酸の役目は炎症反応や免疫機能に関する役割を持っているので、不足すると皮膚や被毛の乾燥、免疫機能の低下などが起こります。
【摂取のポイント】
「総合栄養食」にはアラキドン酸が含まれているので、規定量をしっかり守り与えましょう。
手作りの場合は、鶏レバー、牛肉や魚類といった食材を活用しアラキドン酸を摂取させてください。
4.ビタミンA
猫の場合は、食事からビタミンAを摂取する必要があります。
というのも人間や犬は、植物に含まれる「β-カロテン(ニンジンの色素など)」を体内でビタミンAに変換できますが、猫はこの変換酵素を持っていないからです。
ビタミンAは視力・免疫力・被毛の維持などに関わる重要な栄養素で、不足すると目の障害、皮膚や粘膜の異常、成長阻害といった健康被害が起こります。
【摂取のポイント】
ビタミンAが含まれているキャットフードを与えたり、手作り食の場合はサプリメントを活用するのも有効です。
食材であればレバー、魚類、卵黄などにも含まれていますが、与えすぎると「ビタミンA過剰症」になり、骨の変形(頚椎の骨増殖症など)を引き起こし、激しい痛みを伴うリスクもあるので注意してください。
まとめ

愛猫の体は、あなたが選んだ食事でできています。
今日からフードの成分表示をチェックしたり、飲水量をチェックしたりと、できることから始めてみませんか?
もし食事選びや体調の変化で気になることがあれば、自己判断せずに獣医師に相談することをおすすめします。
正しい知識と愛情のこもった食事管理で、愛猫との幸せ時間を一日でも長く守っていきましょう。