猫が執拗に『体を舐めている』ときの原因4つ 過剰に行うリスクや対処法も解説

猫が執拗に『体を舐めている』ときの原因4つ 過剰に行うリスクや対処法も解説

猫は1日のうち、多くの時間を毛づくろいに費やします。通常は一通りなめ終わったら、うとうとと寝始めることが多いものですが、同じような場所ばかり執拗になめていることに気が付くことがあります。舐めている時間が明らかに長い場合は、心と体のどちらかに問題が隠れているかもしれません。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫が執拗に体を舐めるときの主な原因

わき腹をなめる猫

猫のしつこい毛づくろいの裏には、身体的なトラブルから心の不調まで重要な原因が存在します。

いつもの毛づくろいとは違うと感じたら、もしかしたら次のような原因があるかもしれません。

1.精神的ストレス

毛づくろいは体をキレイにするだけでなく、精神的にリラックスする役割も持っています。

猫が毛づくろいをするときは、たいてい食後や寝る前など気持ちがホッとするときですが、精神的なストレスがたまった時には、時間に関係なく頻繁に体を舐めるようになります。

たとえば、繊細な性格の猫だと、飼い主の生活リズムが変わって不在の時間が増えたり、同居猫とトラブルがあったりすると被毛が抜けてしまうほどなめ続けることがあります。

猫の精神的ストレスは、環境を改善しない限り解消されません。毛づくろいの長さに気づかず放置すると、ひとりになるのを嫌がる「分離不安症」や食欲不振などを引き起こす可能性があります。

このような場合は、生活リズムをできるだけ一定に保ち、猫がひとりで落ち着ける場所や高い場所を用意するなど、安心して過ごせる環境を整えることが対処につながります。

2.アレルギー反応

猫のアレルギーには、食べ物による食物アレルギーと、人間と同じような花粉症やハウスダストなど環境アレルギーがあります。どちらも発症を確認しても、原因物質の特定がなかなか難しい病気です。

アレルギー反応によって舐めすぎてしまうのは、主に激しい「痒み」が原因です。猫は痒みを感じると、その部分の不快感を解消しようとして執拗に舐めたり、噛んだりします。

アレルギー性の場合は、特にお腹や足の付け根、背中などを舐め壊す傾向があり、毛を舐めすぎて脱毛したり、皮膚が赤く傷ついてしまうことも少なくありません。

食物アレルギーの場合は皮膚症状に加えて下痢や嘔吐を伴うこともあります。もし、アレルギーが疑われる場合は、自己判断でフードを変更せず、舐めている部位や症状の変化を記録しながら、早めに動物病院で相談することが大切です。

3.皮膚炎による痒み

猫が舐めすぎているときに、舐めるのが特定の場所であったり、体をしきりに掻いたり、急に振り向いて体の一部を攻撃するように噛んだりするなら、皮膚炎になっているかもしれません。

皮膚炎には、ノミやダニなど寄生虫によるものや、細菌やカビ(真菌)による感染性皮膚炎、免疫の異常やストレスなどが関与するものなどがあります。

粟粒性皮膚炎は特に発生頻度が高く、小さな赤いぶつぶつと、かさぶた、その部分の毛束の脱毛、強いかゆみが特徴です。かゆみによって猫は舐め続けてしまい、よけいに皮膚の状態が悪化する悪循環になりやすい傾向があります。

猫が舐めすぎている部分の被毛をかき分けて、皮膚炎かどうか見てみましょう。もし皮膚に異常があれば、舐め続けて悪化させてしまう前に獣医師の診断と治療を受けてください。

4.体内の痛みや不快感

猫がやたらと体を舐めているけど、皮膚を見ても異常がみられない。そんな時はもしかしたら、体の中の痛みや不快感が原因になっているかもしれません。

たとえば、膀胱炎や尿路結石があると下腹部に痛みを感じるため、お腹や後ろ足の付け根あたりを執拗に舐めることがあります。

また、軽い歯周炎などで口の中に不快感がある時も、紛らわせようとして体を舐め続けることがありますが、この場合、舐めているところの皮膚を見ても何も起きていないので発見しにくく厄介です。

急に特定の場所を舐めるようになったら、皮膚を確認し、何もなければストレスや体内の痛みや不快感がある可能性を考えて動物病院で診察を受けることが大切です。

動物病院を受診すべきサイン

獣医師にお腹を診てもらう猫

猫が過剰に体を舐めていても、ほかに変わったことがないと、つい「もう少し様子を見ようかな」と思ってしまいがちです。しかし、そのまま見過ごして悪化してしまうと、猫もツラくなってしまうので、動物病院を受診すべきタイミングは知っておきましょう。

いつも同じところを舐めているな、ずっと毛づくろいしているなと感じたら、まず被毛をめくって確認してあげてください。

明らかな脱毛や薄毛はもちろん、発疹や赤み、腫れ、傷なども見てみましょう。皮膚に異常がなくても舐めているときに異常に噛んだりしている場合も、問題がある可能性が高いので、動物病院を受診して原因を調べてもらいましょう。

もちろん、食欲不振や元気喪失、嘔吐や下痢、排便排尿の異常など、ほかの症状が伴う時は、様子を見ずにすみやかに獣医師に相談するようにしてください。

まとめ

毛づくろい中のキジトラ

猫が日向ぼっこをしながら毛づくろいをしている姿は、とても癒される穏やかな光景ですが、気づくと「え、まだ舐めてるの?」と心配になるほど執拗に体を舐めていることがあります。

原因は、皮膚疾患やアレルギーといった医学的な問題から、ストレスといった心理的な問題まで多岐にわたりますが、脱毛や舐めたことによる皮膚炎、あるいは毛の飲み込み過ぎで毛球症などのリスクがあるため、あまりに長時間舐めていることに気づいたら早めに対処することが重要です。

皮膚炎の治療では、動物病院からエリザベスカラーの装着を指示されるかもしれません。硬くて重たいものは猫によっては一時的にストレスになります。

一方、市販の軽くて軟らかいエリザベスカラーは猫のストレスを軽減できますが、猫が舐めようとすれば患部に届いてしまう可能性があります。使用する場合は、診察した獣医師に相談し、本当に患部を舐めていないかしっかり観察しながら使用してください。

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