1.温度や環境の変化に対応するため

猫が寝る場所を選ぶときには、寝床の広さや高さだけでなく、温度や湿度、空気の流れ、柔らかさまで含めて、飼い主でも気がつかないような感覚で選んでいます。そして、その場所を気に入っていても、環境に変化があれば、別の快適な場所へ移動します。
たとえば、窓辺の場合は、日差しの角度が少し変わっただけでも暖かさが変わるので、同じような時間帯に移動することがあります。冬場にエアコンをつけるときは、暖かい空気が上にあがるため、高い場所を好む猫もいます。
また、最初はひんやりしていた猫ベッドや毛布なども、ずっと寝ていれば湿気がこもって、熱くなってくることもあります。猫は体感温度の変化を感じて「ちょうどよい状態」を選んでいるのです。
2.安全を確保するため

眠っている間は周囲への警戒が弱まり、猫はとても無防備な状態になります。
野生時代の猫は単独で行動していたため、同じ場所で長時間眠り続けていると、敵に居場所を察知される危険がありました。そのため、寝る場所を一ヵ所に固定せず、状況に応じてこまめに移動する習性が自然と身についたと考えられています。
現代の室内飼いの猫には外敵の心配はほとんどありませんが、その名残としての防衛本能とも考えられます。また、猫は数分程度の熟睡を繰り返す「コマ切れ睡眠」をとる傾向がありますが、これもこうした行動と関係しています。
猫は特に意識していなくても、本能的に複数の寝場所を使い分けることで身の安全を保とうとしているのです。
3.気分転換のため

猫は基本的に安心できる環境を好みますが、同時に「ほとんど変化がない状態」が長く続くことはあまり好きではありません。視界に入ってくる景色や聞こえる音、人間やほかの動物の動きが少し変わるだけでも、猫にとっては小さな刺激になります。
そのため、寝る場所をたびたび変えることで、猫は周囲の状況から安心感と適度な刺激を受けているのです。たとえば、窓際では外の音や光を感じながら寝られますし、静かな寝室では寝具の快適さを感じることができます。
特に室内飼いの猫は行動範囲が限られている分、ずっと同じ場所で眠るよりも自分で移動して環境に変化を与えることで気分転換をしているのです。
4.縄張り意識を満たすため

猫にとって寝る場所は、休息をする場所としてだけでなく「自分の場所」を確認するための拠点の意味もあります。アチコチいろんな場所で眠ることで、安心できる場所が複数でき、家全体を自分の縄張りにすることができます。いくつも居場所があることは猫の精神的な安定にもつながるので、リラックスして過ごせます。
特に多頭飼いの家庭では、ほかの猫と一定の距離を保つために寝場所を分散させる傾向があります。仲良しの猫同士はくっついて寝ることがありますが、個々にもお気に入りの場所を持つことの方が多いでしょう。
また、来客が多い家庭でも、人の気配や音から離れられる場所を選ぶため、ちょこちょこ寝る場所を変えることがあります。寝る場所を変えるのは、猫が安心できる環境を維持するための工夫でもあるのです。
まとめ

猫が寝る場所をこまめに変えるのは、野生時代から長く培われた危機管理や快適さを求めている習性が影響していることがわかりました。現在、家で飼われている猫であっても、野生の名残で寝る場所をこまめに変えていると考えられます。
そして、家の中に複数のお気に入りの場所があるのは、猫のメンタル面でも良い影響があります。そのため、寝る場所を頻繁に変える場合は、愛猫が自由に選べるようにしておくことが大切です。
あまりに頻繁に寝床を変える場合は、お気に入りの場所がない、または落ち着かない理由があるということも考えられます。
特に猫は囲まれた場所や静かな空間を好みます。ドーム型の猫ベッドや箱に毛布などを入れておくと愛猫も喜んで使ってくれるでしょう。