猫が頭を押し付ける「ヘッドプレッシング」とは?

猫が壁や床、家具などに頭をぐっと押し付けて動かない。この行動は「ヘッドプレッシング(Head Pressing)」と呼ばれます。眠る前の“すり寄り”や“甘え”とは異なり、壁に頭を当てたままじっとしていたり、同じ姿勢を長時間続けるのが特徴です。
この行動は、神経系(脳、脊髄、末梢神経)の異常が起きているサインとして知られています。脳炎や脳腫瘍、肝臓疾患などで脳に毒素が溜まった場合にも現れることがあり、放置すると命に関わる危険があります。もし愛猫がヘッドプレッシングのような動きを見せたら、すぐに動画で様子を記録し、動物病院へ相談することが大切です。
ヘッドプレッシングで考えられる危険なサイン4つ

ヘッドプレッシングのような行動が見られるとき、以下のような症状を伴っている場合は特に危険度が高い状態です。すぐに動物病院を受診しましょう。
1.呼びかけへの反応が鈍い・目がうつろ
飼い主が名前を呼んでも反応せず、ぼんやりしていたり、焦点が合っていないような目つきをしている場合は要注意です。
脳に炎症や出血、あるいは中毒などで意識レベルが低下している可能性があります。寝ているだけとは違い、「まばたきが遅い」「目線が合わない」「動きがぎこちない」などが特徴です。
2.壁や一点をじっと見つめたまま動かない
壁や家具の角など、同じ方向を見つめて長時間動かない場合は、脳内で情報処理が乱れているサインかもしれません。
空間認識や視覚情報をうまく整理できず、「どこを見ているのか」「どう動けばいいのか」が分からなくなっている状態です。部屋の隅でうずくまる行動も、混乱や恐怖から起こることがあります。
3.同じ場所を行き来する・ふらつく
同じところを何度も往復する、壁にぶつかる、まっすぐ歩けないなどは、神経系や前庭(バランスを取る器官)の異常による行動です。脳炎や脳腫瘍、または高血圧による血管障害が原因の場合もあります。
ふらつきや転倒が見られるときは、動物病院に連絡し「歩き方の動画」を見せると診察がスムーズです。
4.神経症状や全身症状
けいれん・よだれ・瞳孔の左右差・極端な元気低下や食欲低下といった症状は、明確な神経症状または全身疾患の進行サインです。
けいれん発作や瞳孔の左右差は、脳の圧迫や損傷を示している可能性が高く、放置すると意識障害や呼吸不全に至るケースもあります。「よだれ」「吐き気」「極端な無気力」は、肝性脳症や中毒による脳の異常反応でも見られます。
まとめ

猫が頭を壁や床に押し付ける「ヘッドプレッシング」は、一見おだやかに見えても、体の中では深刻な異常が起きていることがあります。脳炎や脳腫瘍、肝臓や腎臓の不調など、命に関わる病気が隠れているケースも少なくありません。
いつもと違う様子でじっとしていたり、呼びかけに反応しないなどの行動が見られたら、「疲れているだけかも」と自己判断せず、できるだけ早く動物病院へ。
愛猫の小さな異変に気づけるのは、日々そばにいる飼い主さんだけです。早い段階で気づき、行動することが、愛猫の命を守るいちばんの鍵になります。