『猫白血病ウイルス感染症』になるとどうなる?主な症状や感染経路、予防法まで解説

『猫白血病ウイルス感染症』になるとどうなる?主な症状や感染経路、予防法まで解説

「猫白血病ウイルス感染症」という病気をご存じでしょうか。白血病や貧血などさまざまな病気の原因となり、命にかかわることもある病気です。ここでは、主な症状や感染経路、予防法についてご紹介します。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

猫白血病ウイルス感染症とは?

聴診器をあてられる子猫

猫白血病ウイルス感染症は、猫白血病ウイルス(FeLV)が原因の感染症です。

猫同士で感染し、人や犬など他の動物にうつることはありません。

猫の種類や年齢を問わず感染しますが、生後間もない子猫は免疫力が低いため、特に感染のリスクが高く、注意が必要です。

一般的には、血液検査で診断されますが、偽陰性(感染しているのに陰性と判定される)の可能性もあるため、少なくとも2回検査することが推奨されています。

猫白血病ウイルス感染症の症状

体温を測る猫

ウイルスが体内に入ったからといって、必ず症状が出るわけではありません。免疫が働いて体内からウイルスを排除できたり、感染しても無症状のまま推移したりするケースもあります。

一方、感染から1ヶ月前後で、元気消失、食欲低下、発熱、下痢、口内炎、リンパ節の腫れといった症状が見られることも。この時期は「急性期」と呼ばれます。

その後、こうした症状はいったんおさまります。症状が出ずにそのまま回復する猫もいますが、感染から4か月以上経った際の検査で陽性となれば「持続感染」と診断されます。

持続感染となった場合、多くは3年以内に血液のがんである白血病やリンパ腫、腎臓病などの命にかかわることもある深刻な病を引き起こします。

治療法

猫と薬

残念ながら完全に治療する方法は、現時点では存在しません。そのため、個々の状態にあわせて治療を行って症状を抑えることで、生活の質(QOL)を維持していくといった方法がとられます。

たとえば、白血病であれば化学療法、腫瘍性の胸水であれば穿刺による胸水抜去、貧血には輸血といったように、個別に症状を見て、対応していきます。

また、ウイルスに感染していても症状があらわれずに生活している猫も珍しくありません。ストレスを減らす、定期的に健康診断・検査を受ける、食事・排泄の変化をこまめに観察するといったケアも併せて行っていくことも必要となります。

感染経路と予防法

グルーミングする2匹の猫

猫白血病ウイルスは、猫同士の密接な接触で感染することが一般的です。交尾や出産時の母子感染をはじめ、グルーミング(毛づくろい)や食器・トイレの共有、けんかによる噛み傷などが原因でうつることがあります。

外に出る機会がある、多頭飼育しているといった環境にある場合、感染のリスクは高くなりがちです。野良で暮らす猫との接触を避けるために、基本的には室内で飼育して、同居する中に感染している猫がいる際には、部屋を分けて食器やトイレなどの共有は控えましょう。

感染を完全に防ぐわけではありませんが、ワクチン接種も一つの選択肢です。また、新しく猫を迎える際には複数回検査を受け、陰性を確認するまで隔離することをおすすめします。

まとめ

子猫を抱く人

猫白血病ウイルス感染症は、猫にとって深刻な病気のひとつです。ただし、予防や早期発見といった適切な管理によってリスクを大きく減らすことができます。

まずは、ワクチン接種や定期的な検査、室内飼いを徹底しましょう。さらに、感染が分かっても飼い主がそばで見守って、丁寧にケアを行っていきましょう。

むやみに恐れるのではなく、正しい知識を持って接することで、愛猫もその子らしく穏やかに暮らしていけるはずですよ。

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